2024年(令和6年) 5月31日(金)付紙面より
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遠隔操作導入実験 さらなるアップデート目指す
25日に酒田市飛島の荒崎海岸一帯で行われた「飛島クリーンアップ作戦」の際、合同会社とびしま(同市飛島)、石井製作所(同市京田四丁目)などで構成する「テックアイランド合同会社」(同市飛島)が開発を進める海ごみロボット「UMIKATAS(ウミカタス)」2台の実践導入実験が行われた。遠隔操作のロボットが漂着ごみを積載し石などが散乱する海岸線を走行するなど、関係者は一定の手応えを実感。実装に向け、さらにアップデートを目指すという。
飛島で2001年から開催しているクリーンアップ作戦は、天候による定期便の欠航などで開催できない年があるとごみが蓄積し、島民や地元住民だけでは継続的な環境維持ができない問題が浮き彫りになっている。
離島が抱える社会問題に対し最新技術の力で解決の道を切り開こうと、2020年から合同会社とびしま、石井製作所、鶴岡高専、仙台高専がロボットの導入実験を開始。昨年6月、合同会社を立ち上げた。
ウミカタスは20年10月から開発に着手。翌21年から島での搬送実験を繰り返し、昨年のクリーンアップ作戦ではコントローラーを介して作動する状態で海岸線上に1台、海岸から島内部につながる遊歩道に1台試験的に導入した。
4年目となった今年は、海岸線を走行する1台を遠隔操作。動力はバッテリーで、耐荷重は100キロ。キャタピラの前後にバランスを取るための補助輪、前方にカメラが付いており、インターネット回線と衛星回線を通じて荒崎海岸から約2キロ離れた施設で走行をコントロールした。
足場の悪い海岸線で、今まで人の手で運ぶのが大変だった車のタイヤやポリタンク、ガスボンベなどの大型で重量のあるごみを運搬。さらに目視の範囲内からコントローラーで操作を行う1台が遊歩道の急坂部分を運搬したことで、トラックにごみを積み込む際の“バケツリレー”がより安全に。距離も短縮され、参加者や島民の負担が大きく軽減された。
テックアイランド合同会社CTOを兼任している仙台高専総合工学科の園田潤教授(社会システム工学など)は「遠隔操作は個人の身体能力や場所に左右されず、クリーンアップ作戦に参加できるようにすることが目的。今後はカメラ台数の増加や360度カメラを使った視野の広範囲化、足回りの補強などを考えていきたい」と話した。