2024年(令和6年) 6月2日(日)付紙面より
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「しのたまわく、まなんでしこうしてこれをじしゅうす(子曰学而時習之)」―。庄内藩校致道館の学風を受け継ぎ、半世紀を超えて続く「少年少女古典素読教室」の本年度開講式が1日、鶴岡市の致道博物館内の御隠殿で行われた。同市内の小中学生たちが8月上旬までの2カ月余り、「論語抄」の素読を通じて地域に息づく伝統の学風に触れる。
素読は致道館が奨励した学習法の一つで、中国古典の漢文を大きな声を出して読むのが特徴。教室は、同市が1968年度から2年間、当時の文部省の文化財愛護モデル地区に指定されたことをきっかけに始まり、継続されている。現在は市中央公民館、致道博物館、致道館文化振興会議が共催し開講している。
本年度は市内の小学1年生から中学1年生までの男女12人が受講し、初参加が5人。保護者ら大人3人も受講する。7月下旬までの毎週土曜の朝に40分の学習を行い、夏休み期間の7月29日―8月3日の1週間は午前5時40分から早朝素読に取り組む。
開講式には受講生と保護者、講師陣が出席。主催者の観世安司中央公民館長、酒井忠順致道博物館長、橋本政之致道館文化振興会議会長があいさつし、「学ぶ仲間同士の交流も楽しんで」「素読を通して藩校致道館や致道博物館も身近に感じてください」と激励。講師陣は「勉強で大切な声を出して読むということを学んでほしい」などアドバイス。続いてテキストとなる論語抄の冒頭の一節を全員で素読し、御隠殿に子どもたちの元気な声が響いた。
初めて受講する朝暘六小2年の熊谷凛さん(7)は保育園で論語に触れて好きになり、昨年の「第2回庄内論語素読検定」で初級に合格した。「論語をもっと好きになって、今年は中級合格を目指したい」と目標を語った。致道館文化振興会議は9月に3回目となる論語素読検定を予定している。