2024年(令和6年) 6月5日(水)付紙面より
ツイート
繁殖力が強く在来種の生態系に与える影響が大きいとして、環境省が特定外来生物に指定している植物「オオカワヂシャ」を、同省希少野生動植物種保存推進員の畠中裕之さん(57)=遊佐町吹浦=が、同町中心部を流れる小川でも確認し先月31日、遊佐高生3人と共に駆除した。
オオカワヂシャは、ヨーロッパからアジア北部が原産の帰化植物。ゴマノハグサ科の越年草で、国内では岩手県以南の川辺や水田、湿地に生育し野生化している。0・4ミリほどの小さな種子を数多く持ち、風に吹かれたりして勢力を拡大する。準絶滅危惧種の在来種「カワヂシャ」と交雑し、発芽能力のある種子を生み出すため在来種の遺伝的かく乱を起こすことが特に問題視されている。
畠中さんは、鶴岡市内でオオカワヂシャを確認したフロラ山形などの会員らの呼び掛けに応じて遊佐町内を探査。町役場にほど近い八ツ面川に群生しているのを発見した。
駆除作業は、大きなビニール袋を株にかぶせて種子が飛び散らないようにしてから根茎ごと引き抜いて処分する。人手が必要なため遊佐高生に応援を依頼。いずれも2年生の16歳で酒田市から通っている渡部美穂さん、小玉ひかるさん、佐藤未羽さんが「総合的な探究の時間」を活用して参加した。
3人は水面近くまで下り畠中さんを手助け。約20分で高さ1メートルほどに育ったオオカワヂシャ十数株を歩道に引き上げ駆除した。畠中さんは「この辺りの株をきれいにすることができた。とっても助かった」と感謝の言葉。3人は「作業は楽しかった」と口をそろえた上で、「特定外来生物のことは知識としてはあったけれど、いつも通学でそばを通っている川に生育していて、少し驚いた」と話していた。