2024年(令和6年) 6月9日(日)付紙面より
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東北公益文科大(酒田市)の公立化と機能強化について、知事と庄内地域2市3町の首長による初めての検討会議が7日、オンラインで行われた。公立化に当たっての設立団体について、県と一部事務組合「庄内広域行政組合」(2市3町で構成)が共同で設立団体となることで合意した。財政負担割合は「県55%、2市3町45%」とする方向で検討することにも合意した。市町別の負担割合は今後詰める。公立化の時期については示されなかった。
公益大の公立化については、新田嘉一理事長(平田牧場グループ会長)が就任4年目の2012年度に当時の学長体制を刷新し抜本的な大学改革を進め、6年目の17年度に慢性的な定員(235人)割れから脱却した成果を踏まえ、同年度に公益大の将来的な在り方として「公立化の検討」を吉村美栄子知事に文書で要請したのが始まり。これを踏まえ、庄内開発協議会が県に対し早期の公立化検討の要望を継続してきた。吉村知事は21年1月の4期目の知事選で公約に掲げた。
大学改革に伴い17―22年度の6カ年は定員を充足し、20年度には開学以来初めて収容定員(960人)を確保。単年度収支も黒字化。しかし、少子化に伴う18歳人口の減少など、大学運営を取り巻く環境はさらに厳しさを増し昨年度と本年度は定員割れとなり、大学の持続的な発展に向け早期の公立化が求められている。
知事と2市3町の首長による検討会議がスタートしたことで、公立化に向けた動きが大きく前進した。公設民営で設立された私立大学の公立化は、これまでの例では最短で1年半ほどの準備期間を要している。
この日の検討会議は冒頭のみ公開され、終了後に県の岡本泰輔総務部長が報道陣に説明した。設立団体については、意思決定がスムーズに進み、新たな運営コストが発生しないなどの理由から既存の庄内広域行政組合と県が共同で、公立大学法人の設立団体となる方向となった。
試算では地方財政措置を超えて発生すると見込まれる年間2―5億円程度の財政負担については、県と庄内2市3町が公益大設立時の負担割合「県55%、庄内2市3町45%」を踏襲。2市3町別の具体的な負担割合は、「基礎割」(均等割、人口割)と「応益割」(経済波及効果割、卒業生就職者数割)を要素に算定する方向で検討する。機能強化に関しては、専門機関の意見を聞きながら引き続き検討していく。大学は国際系の学部学科設置などの計画を進めている。次回の検討会議の日程は未定。
首長による初会議の終了後、矢口明子酒田市長は「公立化に向けた課題について、率直に議論することができ、合意に向けた道筋が一定程度見えてきた。引き続き議論して前に進めていく」とコメントを出した。
皆川治鶴岡市長は「公立化実現に向けた重要な会議になった」との認識を示し、「鶴岡市としても積極的に協力していく。今後、市議会にできるだけ早く丁寧に説明し、理解を得ていきたい」と語った。