2024年(令和6年) 6月18日(火)付紙面より
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庄内地域の文芸愛好家でつくる「らくがき倶楽部」の創設者の一人で、長く同倶楽部の会長を務め、地域の文芸活動をけん引した故畠山弘氏(昨年10月29日、94歳で死去)を偲(しの)ぶ会と、同倶楽部創立60周年記念の会が16日、鶴岡市の新茶屋で開かれた。畠山氏の遺族や交流のあった人々が集い、語り合いながら人柄と功績をしのんだ。
畠山氏は、全国組織の現代俳句協会会員として活躍し、俳誌「爐」を創刊して長く出版を続け、自身の句集をはじめ各種伝説・民話を集大成した「庄内の伝説」「庄内の民話」など多くの著書があり、数多くの文芸評論を発表。1986(昭和61)年度、第29回高山樗牛賞を受賞。64年に「らくがき倶楽部」の立ち上げに関わり、庄内地域の文芸活動や出版文化の興隆・発展に尽くした。県現代俳句協会会長など歴任。荘内日報新春句歌歳時記の俳句選者を長年にわたって務めた。
「故畠山弘先生を偲ぶ会」には約40人が参列した。遺影と本人の色紙、著書などを置いた献花台が設けられ、黙とうの後、全員が献花。発起人を代表して佐々木秀子らくがき倶楽部会長が、畠山氏の功績を紹介し、「らくがき倶楽部の酒席では、会員がほどよく酔った様子を、いつもにこにこしながら見守っていた。倶楽部の運営、会員の創作活動、出版などさまざまな面で適切な助言をいただき、みんなを支えていただいた」とあいさつ。
交流のあった人々が思い出を語り、県俳人協会の伊藤寛会長らが畠山氏の創作活動や作品世界など「畠山ワールド」を紹介。倶楽部会員を含むグリーンギターアンサンブルの4人が追悼演奏を披露した。夫人のカツ子さんが畠山氏の来し方に触れ、「こういう人がおったなと思い出していただければ」と謝辞を述べた。
らくがき倶楽部創立60周年記念の会では、皆川治鶴岡市長、橋本政之荘内日報社社長、阿部等鶴岡書店組合長が祝辞を述べ、県俳人協会顧問の阿部月山子さんの発声で乾杯。倶楽部の歩みを振り返りながら、さらなる発展を誓い合った。席上、畠山氏の功績をたたえ、名前を冠した新たな賞を秋ごろに創設する方針が示された。