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2024年(令和6年) 6月26日(水)付紙面より

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羽越本線全線開通から100年

 日本海に沿って走る羽越本線は「日本海沿岸縦貫線」とも呼ばれ、殖産興業を推し進める時代背景もあり、物流の活発化による地域振興に大きな期待を背負って走った。羽越本線が新津から秋田まで全線開通したのは1924(大正13)年7月31日。新橋―横浜間に初めて汽車が走った1872(明治5)年から52年後のこと。

 羽越本線が今年、全線開業から100周年。JR東日本新潟支社は記念事業として、普段は新潟―酒田間で運転している観光列車「海里」を、「羽越線100周年記念号」として、全区間(約272キロ)の新津―秋田間で運転、沿線の駅ではさまざまなイベントを企画している。

◇      ◇

 JR新潟支社と秋田支社は100周年記念で、羽越本線の魅力をアピールするロゴマークを作った。100の数字の「00」の中に蒸気機関車と特急「いなほ」の車両を配し、100年の進歩をデザインした。ロゴで訴える狙いは「日本海の夕日に照らされて走る車窓からの秀景」。そんな車窓からの景色を、作家の藤沢周平さんは、鶴岡に帰省する折の鼠ケ関辺りの夕日を「これほど美しい景色が、ほかにあるだろうか」とエッセーに書いている。

 日本海沿岸は、北前船交易によって栄えた。明治時代になって各地で鉄道の建設が始まったが、東北では東北線や奥羽線が先行し、日本海沿岸にはなかなか光が当たらない。1903年、奥羽線が新庄まで延びる頃には「新庄から酒田への支線を」「いや、まず酒田―鶴岡間に鉄道を」などと、民間や町議会で論争になった。県議会も経済上や軍事的視点から陸羽西線や羽越本線建設の重要性を内務大臣に請願している。

 羽越本線は旅客列車だけでなく、貨物列車も走る日本海沿岸の大動脈路線。海沿いを通る事で、急峻な山の斜面が崩れて何度も列車事故が起き、長期運休を余儀なくされたこともあった。近年は車社会と少子化などの影響で利用者が減り続け、厳しい経営環境が続いている。

◇      ◇

 全線開通100周年は、羽越本線にとって大きな節目。普段は新潟―酒田間で運転の「海里」を羽越本線全行程の新津―秋田間で運転する。乗車時間は5時間余。往路と復路で別デザインの乗車記念証の配布などの特別イベントを用意している。

 JRの記念ロゴに「1924―2024」の数字が刻まれている。100周年の記念行事に終わることなく、これまでの年月の歴史を次の時代につなげていくにはどうすればいいかを、これを契機にJR、沿線市町村、住民、観光産業などが知恵を絞りたいところだ。羽越本線の「売り」はロゴにある日本海に沈む夕日の美しさ。普段夕日を見慣れているとしても、違った視線で眺めてみる。夕日の時間帯に、友人同士、近所同士が誘い合って「列車に乗ってみよう」という会があってもいいのではないか。

画像(JPEG)



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