2024年(令和6年) 6月26日(水)付紙面より
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酒田市広野地区に伝わる農業祭事「虫送り」が22日、地区内で行われた。広野小学校(阿部美穂校長)の5、6年生と保護者、地区住民が協力し制作した「舟神輿(みこし)」「花梵天(ぼんてん)」の行列が練り歩き、五穀豊穣(ほうじょう)や安寧を祈願した。
同様の祭事は、農薬がなかった時代に病害虫から稲をはじめとする作物を守るため、広く庄内地方全域で行われていたが、農薬の普及や農業の近代化に伴って廃れたとされる。同地区でも1950年ごろに一時途絶えたが、地元の有志が83年に復活させた。その後は毎年、広野コミュニティ振興会(佐藤淳会長)が中心となり、田植えや一番除草が終わる6月中に行っている。
この日は午前中、児童18人と保護者、コミ振役員らが広野コミュニティセンターに集まり、竹やヨシを組み上げて長さ約2メートルの舟神輿2基、竹に季節の花をあしらった「竹刀花(しないばな)」を飾った高さが5メートル近い花梵天を仕上げた。
午後からは地区の鎮守・広野皇大神社で神事の後、鐘と太鼓を先頭に、児童たちが願い事をつづった「願い旗」を配置した舟神輿と花梵天の行列が出発。「田畑に飾ると虫が寄ってこない」という言い伝えがある竹刀花を沿道で見守る地区民に配りながら、同校を経由し広野コミセンまで約1・2キロを練り歩いた。
いずれも6年で舟神輿制作を担当した長南夏蒼(なつあ)君(12)は「世界平和を願った。神輿作りは意外と簡単だった」、「願い旗」作りを担った菅原あかりさん(11)は「家族の健康などを祈った。『願い旗』は50本もあったので大変だった」とそれぞれ話した。