2024年(令和6年) 6月27日(木)付紙面より
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東北公益文科大学の大学院公開講座が22日、鶴岡市馬場町の同大学鶴岡キャンパスで開かれた。
公開講座のテーマは「庄内地域の課題解決と企業経営~事業承継を考える~」。高齢化に伴い企業経営の世代交代が求められている中で、「親族承継」「社員承継」「第三者承継」をキーワードにした。
講師には、建設機械に取り付ける各種バケット製造のイワテック(鶴岡市東岩本)の宮崎正相談役(74)と産業用ロボット用ワイヤーハーネス製造の山形ハーネス(鶴岡市友江)の水口啓一社長(56)、漬物製造販売の老舗・本長(鶴岡市大山一丁目)の本間光廣会長(79)の3人を招いた。宮崎相談役が社員承継、本間会長が親族承継、水口社長は前社長から引き受けたいきさつについて紹介した。
公開講座には大学院生や学生、一般市民ら合わせて20人が参加。ウエノ(鶴岡市三和)の上野隆一社長を司会者に「事業承継のタイミングは」「経営権をバトンタッチして心配事はなかったか」「現在の状況は」といった参加者の質問に答える形で進めた。
その中で宮崎相談役は「還暦となる60歳前から承継を考え、65歳にはバトンタッチしようと決めていた。そのためには会社の借金はゼロに、プールしたお金で設備投資ができるようにした。この間、新社長に推す工場長(現・佐藤広幸社長)と意識の共有を図り、スムーズに移譲できたと思う。今は自分から口を出すことはせず、佐藤社長を支える役目に徹している」と振り返った。
水口社長は「新社長として継承するものはする、もちろん新事業展開にも挑戦する、というスタンスを大切にしている。何かと社長業は忙しさやプレッシャーからネガティブに受け取られがちだが、決してそうでもない。やりがいと楽しさがあることを理解してほしい」と話した。
本間会長は「息子が後を継いだが、今の若い人は仕事とプライベートの区別をきっちりするところが良いところ。新商品の開発を進める中で、漬物業界とは全く関係ない分野からヒントを得ていることもプラスに働いている。今後『100年企業』を目指す経営者にとって一番大切なのは、やはり常に挑戦する気持ちを持ち続けることではないだろうか」と語った。