2024年(令和6年) 6月28日(金)付紙面より
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20年ぶりとなる新紙幣の発行が7月3日に始まる。新紙幣発行後も現行の紙幣は利用できるが、交流サイト(SNS)では「現行紙幣が使えなくなり、預金が封鎖される」などの虚偽情報が流れ、旧紙幣を詐取しようとする書き込みもある。日銀山形事務所は新紙幣発行を前に、新旧の紙幣交換名目の詐欺被害に注意を呼び掛けている。
新紙幣のデザイン刷新は2004年以来で、表面の肖像画には1万円札に実業家の渋沢栄一、新5000円札に教育者の津田梅子、新1000円札に微生物学者の北里柴三郎がそれぞれ採用された。新たな偽造防止技術を追加したほか、額面の数字が現行の紙幣と比べ表面で2、3倍、裏面で5倍ほど大きくなり、誰でも分かりやすいデザインを取り入れた。それぞれの大きさは現行と同じ。
新紙幣発行後も現行の紙幣は利用できるが、「新紙幣発行後、旧紙幣は使えなくなる」とうその情報を流し、新紙幣との交換名目で現行紙幣を指定口座に振り込ませ、だまし取る詐欺の発生が懸念されている。
金融広報中央委員会による2022年金融リテラシー調査によると、山形県内の金融トラブル経験者の割合は11・9%と全国平均の7・3%、東北平均の8・9%を大きく上回り、全国最多になった。
同事務所の川村憲章所長は「新紙幣発行後も現在の紙幣は引き続き使うことができ、新しい紙幣に交換する必要はない。『従来のお札は使えなくなる』といった誤った情報や詐欺に注意してほしい」と呼び掛けている。