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2024年(令和6年) 6月29日(土)付紙面より

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大事な文化を守るということ

 鶴岡市朝日地域の旧大網小学校田麦俣分校を守る活動をしている、同市の南正一さんの本紙への寄稿「学び舎の灯りを消さないで」を読んだ。かつて地域の人々の心のよりどころだった田麦俣分校の傷みも進んでいる。南さんの「廃校校舎は手入れをし、活用すればいつまでも生き続けられます」との言葉は、そのまま文化を守ることに通じる。

 「守る」あるいは「護る」には、「大切にする、堅く保護する、規則を守る」などの意味合いがある。庄内には歴史、産業、教育など人の営みが関わることで守られてきた文化が多い。「守る」ということと、人が生きるということは、切り離せない関係にあるようだと、最近の本紙の記事を見ながら感じる。

     ◇       ◇

 庄内の美術団体「白甕社」が今年創立100年、酒田市が生んだ写真家・土門拳の偉業を子どもたちに分かりやすく、そして後世に伝えるための伝記漫画「鬼の眼 土門拳」が製作された。ユネスコの「食文化創造都市」に認定されて10年になる鶴岡市では「生きた文化財」と言われる在来作物を後世に伝えるための方策を生産者が語り合った。どれもが文化である。

 人は文化に囲まれて生きている。今ある文化は、過去を生きた人々の多彩な活動と思考によって生み出された。先人から託された文化・遺産を守ることは、将来世代に伝えていかねばならない今の世代の務め。文化や遺産には国宝や重要文化財もある。建造物、絵画、工芸品、古文書など有形の文化財と違って、民俗芸能などの無形民俗文化財は人がいなければ成り立たない。少子高齢化で、地域の伝統の保存環境も厳しくなっていることが心配される。

 鶴岡市の「いこいの村公園」のチューリップ畑は10万球のチューリップが咲き誇る花の名所。管理していた保養・研修施設の閉鎖で手入れが行き届かなくなると、市民有志が「チューリップを咲かせよう」と守り続けている。有志の会代表の中村恵二さんは著書『小説 四恩山のチューリップ』で「戦前からチューリップの栽培に心血を注いだ先人の歴史は守らねばならない」と語っている。

     ◇       ◇

 文化は古い物を大事にして守る事と同時に、文化は進化しながら受け継がれるものとの見方もある。庄内沖で進む洋上風力発電の事業化。巨大な風車が建つことを不安視する意見もある。だが、これまで見えなかった物を受け入れることも、庄内の人々の将来の生活を守ることにつながるのではないだろうか。

 庄内の文芸愛好家による「らくがき倶楽部」が創設60年を迎えた。一見、活動は地味と思われそうだが、しかし庄内の文芸活動の中で「いぶし銀」のような、重厚な存在感を示し、文芸活動を支えてきた。文化は人の力あって守られていることを、身の回りを見回して考えてみたい。

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