2024年(令和6年) 7月18日(木)付紙面より
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鶴岡市の大山、西郷、湯野浜、加茂4地区の自治会・自治振興会は16日、地震や津波などの大規模な災害が発生した場合、互いの避難所や備蓄物資などを提供し合う相互応援協定を締結した。自治組織単位での応援協定は同市内では初の取り組みで、歴史的につながりが深く住民間の交流も活発な地区同士が手を取り合い、共助の精神で大規模災害時の住民の安全確保と生活支援に当たる。
4地区は鶴岡五中学校区内にあり、「4地区懇談会(高館サミット)」を設けて定期的に集まり、地域課題を共有する話し合いを継続している。2019年6月の山形県沖地震の際、主に沿岸部の住民の迅速な避難などが課題となり、懇談会の場で相互応援の仕組みづくりについて協議を重ねてきた。
協定には▽コミュニティセンターなどの施設を避難所として使用▽備蓄品などの資源提供▽コミュニティセンター職員や自治組織役員の応援派遣―の3項目を盛り込み、応援期間は「災害発生の日から5日以内」と想定。被災した自治組織からの要請に基づいて応援する。
庄内沿岸部に津波警報が発表された、今年元日の能登半島地震の際には、大山コミセンに一時避難した加茂地区の家族がいたという。事前に電話連絡して避難できるかどうか確認した上で訪れた。
自治組織関係者は「応援協定があれば、連絡などしなくても気兼ねなく他地区のコミセンに避難できる。住民の安心につなげられる」と話す。津波災害のケースでは、加茂地区は大山地区へ、湯野浜地区は西郷地区へと、それぞれ隣接する地区への避難を想定している。
締結式がこの日、大山コミセンで行われ、4地区の各自治会・自治振興会の会長が協定書に署名した。代表して大山自治会の櫻井修治会長が「いざという時には連絡を取り合い、すぐに動ける体制ができた。市とも連携して素早い対応で住民を支援していく。協定の内容をそれぞれの地区住民に周知した上で、大規模災害発生に備えた訓練の実施など、相互応援の協力の形を具体的に確認していきたい」と述べた。