2024年(令和6年) 7月31日(水)付紙面より
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酒田市名誉市民で世界的写真家・故土門拳さん(1909―90年)が撮影した多様な「眼(め)」に焦点を当てた「The Eyes―土門拳が撮った眼」展が、同市の土門拳記念館(佐藤時啓館長)で開かれている。
土門さんは生前、「被写体に対峙(たいじ)し、ぼくの視点から相手をにらみつけ、そして時には語りかけながら被写体がぼくをにらみつけてくる視点を探る。そして火花が散るというか、二つの視点がぶつかった時がシャッター・チャンスである」と書き残している。多くの被写体の“眼”を意識し撮影していたことに焦点を当て、今回の展示会で企画。20世紀のドキュメンタリー写真を代表する「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」のほか、仏像写真をクローズアップした「古寺巡礼」、昭和の著名人たちの肖像を収めた「風貌」などから厳選した計184点を展示した。
愛知県出身の薬理学者・故田村憲造が真剣なまなざしで顕微鏡をのぞく姿、世界的版画家・故棟方志功が一心不乱に版画に向き合う眼力、「古寺巡礼」の中で仏像の「視線」を感じる作品などが並ぶ。
また、東京・銀座の路上で、靴磨きの少年が笑顔を見せた瞬間を捉えた「銀座のシューシャインボーイ」、福岡県立川児童相談所で不安げにカメラを見る戦争孤児たちを写した「保護されたこどもたち」など、戦後の子どものたくましさや純粋さをたたえた「目」が印象的。
展示は10月22日(火)まで。8月30日(金)から第30回「酒田市土門拳文化賞受賞作品展」も同時開催する。