2024年(令和6年) 8月23日(金)付紙面より
ツイート
「第14回高校生バイオサミットin鶴岡」の決勝が21日、鶴岡市先端研究産業支援センター・レクチャーホールで行われた。全国各地から高校生92人が参加し、それぞれの研究について「成果」と「計画」の2部門で発表した。5年ぶりにポスター発表形式をとり、審査員や他校の生徒に向けて高校生たちが研究内容を生き生きと語った。
慶應義塾大先端生命科学研究所と県、鶴岡市が実行委員会をつくり、2011年から毎年夏休み期間中に開催している。今回は書類審査を経て、18都道府県から応募があった95点(63校178人)による1回戦(オンライン形式)が7日に行われた。9日に結果が発表され、成果発表部門39点、計画発表部門15点が決勝へ進出した。
21日の開会式で慶應先端研の荒川和晴所長が「決勝戦本番では全力で発表に臨んでほしい。2日目の22日は初の試みとして高校生同士の議論や交流の場を設けた。さまざまな研究を知って自身の糧にしてほしい」とあいさつした。
続いて成果発表部門の決勝が行われ、39点を半数ずつに分けて研究内容をポスター発表。発表と質疑応答などは計10分で、これを6回繰り返す。うち4回は慶應先端研や鶴岡高専、全国から集まった研究者などによる審査員が聴講。審査員は1作品につき5点満点・減点方式で審査した。
発表の内容は「ネギの香りが人にとって快か不快か」といった身近なものをはじめ、「岐阜のオオサンショウウオを守る」といった地域特性の高い生物と外来種による交雑の問題を取り上げたもの、「エジプトに渡った日本米のルーツ」といったワールドワイドなものと多岐にわたった。
地元庄内から決勝に進出した酒田東高2年の高橋宏太さん(16)は、野菜を食べる害虫のハスモンヨトウの防除対策として食酢の効果に関する研究を発表。「審査員から実験方法の別アプローチについていろいろアドバイスをもらった。緊張したが今後の研究の参考になりそう」と話した。
また、昨年の計画部門発表決勝で審査員特別賞を受賞した同校2年の後藤心さん(17)は、遺伝子異常による難病「ファブリー病」の原因として、細胞内に蓄積する糖脂質Gb3の研究を発表。「舌がんに見られる細胞株OSC―19もGb3の蓄積が確認できた。蓄積のメカニズム解明がファブリー病の治療につながるかも知れない。壇上での発表と違い、内容を審査員へうまく伝えることができた。他の発表も聞いて自身の知識を深めたい」と話した。
続いて計画発表部門の決勝が行われ、酒田東高2年の佐藤凪紗さん(17)が現在研究を進めている「光合成を行うウミウシ」についてポスター発表した。
バイオサミットは22日に荒川所長の講演やラボツアー、高校生同士による議論と交流を兼ねた「World Poster Session」など。表彰式は23日に行われる。