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2024年(令和6年) 8月24日(土)付紙面より

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外来種ブラックバス有効活用 鶴岡高専の学生魚粉肥料開発 地域課題の解決、農業と環境にメリット

 鶴岡高専(鶴岡市井岡、太田道也校長)の学生が環境省の特定外来生物に指定されている「ブラックバス」を乾燥させて作った魚粉肥料が作物の成長を促している。コンニャク芋畑とヒマワリ畑にまいて調べたところ、ヒマワリについては茎の長さや葉の数、花の大きさのすべてが好結果に結び付いた。開発を担当した化学・生物コースの学生は「成果が出てうれしい」と話し将来的には外来種対策の一つとしてブラックバスの肥料化を広めたい構想を描いている。

 最上川のアユが食べられて困っている白鷹町から「釣り人が釣ったブラックバスの活用方法を検討してほしい」と依頼を受け化学・生物コースの学生が魚粉加工に取り組んだ。

 担当したのは▽篠原日菜乃さん(4年)=山形十中出身▽阿部麗華さん(4年)=酒田一中出身▽名和史雄さん(4年)=立川中出身▽太田隼人さん(4年)=三川中出身―の4人。白鷹町から送られた冷凍のブラックバス(1匹の体長は平均約50センチ)を解凍し、室温約60度のハウスに入れて乾燥した。最初は乾燥し過ぎて硬くなってしまい失敗したが、その教訓を糧に調整を繰り返した。魚体はウッドチップの機械で粉砕。実験は鶴岡市川代で庄内産コンニャク芋を栽培している齋藤力さん(66)=庄内こんにゃく芋生産組合長=の畑で行った。

 魚粉をまいた所とまかない場所との成長の違いを確かめたり、畑の土壌を分析。その結果、魚粉には植物が育つ三大要素の窒素やリン、カリウムのほか、カルシウムが豊富に含まれていることが分かった。カルシウムは土壌の「pH」を上げる効果もあった。学生の取り組みを支援した齋藤さんは「昨年と比べれば一目瞭然。特にヒマワリはよく育った」と評価する。学生の阿部さんは「白鷹町の担当者と協力してくれた齋藤さんが、とても喜んでくれて良かった。魚粉肥料は農作物だけでなく園芸にも十分使える」と手応えをつかんだ。

 今後は肥料製造会社に呼び掛けて全国の川や湖、ため池にはびこるブラックバスを使った魚粉肥料の商品化を目指す。阿部さんや篠原さんら学生は「ブラックバスから在来種を守り、かつての自然環境を取り戻すことができれば。農業と環境の双方にメリットがあり『ウィンウィン』になると思う」と笑顔を見せた。

 鶴岡高専の佐藤司副校長は「地域の課題解決につながる機会となり、学生にとってはとても貴重な経験を積んだ。社会に羽ばたいても今回の体験を生かしてほしい」と期待を寄せた。

【白鷹町のブラックバス対策】
 特産のアユを守ろうとブラックバスの駆除に力を入れている。2020年に町内を流れる最上川で「ロングラン釣り大会」(毎年5月~10月下旬)をスタート。釣ったバスを大小の大きさに関係なく1匹300円で買い取る、という全国でも珍しい取り組みを行っている。ブラックバスの食害で10分の1まで落ち込んだアユの漁獲量は少しずつ回復。昨年は約2000匹が確認された。鶴岡高専への検討依頼には「外来生物といっても一つの命。大切に扱いたい」という思いもある。

「すくすくと成長し、きれいなヒマワリが咲きました」とブラックバスの魚粉効果を喜ぶ鶴岡高専の学生。左から阿部さん、篠原さん、名和さん=実験した齋藤さん方の月山高原ひまわり畑
「すくすくと成長し、きれいなヒマワリが咲きました」とブラックバスの魚粉効果を喜ぶ鶴岡高専の学生。左から阿部さん、篠原さん、名和さん=実験した齋藤さん方の月山高原ひまわり畑

鶴高専の学生がブラックバスを原料に仕上げた魚粉肥料
鶴高専の学生がブラックバスを原料に仕上げた魚粉肥料



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