2024年(令和6年) 8月31日(土)付紙面より
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防災・減災について学びを深める出前授業が29日、酒田市の東部中学校(宮嶋弘樹校長、生徒188人)で行われ、2年生52人が災害発生時の行動などについて考えた。
市では、大人向けの防災講話を毎年行っていたが、児童・生徒からも災害時の対応について学んでもらおうと市危機管理課が企画。東北大学災害科学国際研究所の協力で初めて実施した。
東北大学では、東日本大震災の経験と教訓を踏まえた「減災教育事業」に取り組んでおり、2014年度から「減災教育『結』プロジェクト」として、震災経験の継承と非常時の対応力向上を目的に、全国の小・中学校で出前授業を行っている。今回、県内で初めて同校を含めた同市内の小・中学校3校で実施した。
この日は同研究所のプロジェクト講師・保田真理さん(68)が同校を訪問。発災前から発災時、復旧、復興までの各時間軸上で自分や家族、行政、住民の行動と役割を考えるワークショップツール「Our Timeline」について説明し、「災害直後、時間経過による状況の変化をイメージしながら何が必要か、何ができるか考えてみて」と講話。生徒たちは5、6人の班に分かれ、「7月の日曜正午ごろに震度6の地震が発生。沿岸部で津波の恐れもあり」と想定し対応などを話し合った。
生徒たちは「地震の30分後ってどうしたらいいんだろう」「避難所にペットって連れて行けるのかな」「避難所が分かってないと行けないよね」など多くの意見を交わし、時間経過とともに変化していく具体的な行動をタイムラインに書き込んでいた。中には「災害後に元気づけることも大切だよね」といった精神的に寄り添った意見も。保田さんからのアドバイスを受けながら、災害時の行動指標となるタイムラインを完成させていた。
齋藤泰良(たいら)さん(14)は「これまで災害のニュースなどを見ると準備をしないとと思っていたが、何を準備したらいいのか分からなかった。自分だけでなく家族や地域のために何ができるか考える良い機会になった」と話した。