2024年(令和6年) 9月8日(日)付紙面より
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女性科学者の草分けとして活躍し三川町の名誉町民第1号となった加藤セチ博士(1893―1989年)の生き方を学ぶ特別授業が6日、三川町の押切小学校(渡邉岳校長、児童122人)で開かれた。
加藤博士は押切新田生まれ。北海道帝国大学(現北海道大学)卒業後、国立総合研究所・理化学研究所初の女性研究員として勤務した。有機物質の分光分析などに業績を残し、後に「庄内のキュリー夫人」と呼ばれた。その一方で若い女性研究者の育成にも力を入れた。1968(昭和43)年、三川町の名誉町民に。母校の押切小には加藤博士の資料を展示した顕彰コーナーがある。
特別授業は押切小の創立150周年を記念し、元中学校国語教師で加藤博士の業績を探究している長南征子さん(80)=鶴岡市馬場町=を講師に招いた。長南さんは2025年度中学3年生向け道徳教科書「生き方を創造する」に加藤博士に関する文章を執筆した。
特別授業で長南さんは加藤博士の生い立ちや女性への偏見が強かった当時の世の中を変えようと尽力した生き方について紹介した。その中で長南さんは「セチ先生は苦難をバネにして生き抜いた女性」と語った。
この日は5、6年生29人と地域の人たちや関係者合わせて約50人が参加した。授業を終えた長南さんは「なぜ名字が城戸から加藤に変わったのか、いまだに不明。深く調べなければならないことが多い。ただセチ先生は世の中のため本当に力を尽くした人物に変わりはない」と話した。150周年記念式典は11月16日、同校で開かれる。
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出羽三山神社(阿部良一宮司)が行う女性だけの山伏修行「神子(みこ)修行道場」が6日、鶴岡市の羽黒山で始まった。全国各地からの参加者が10日までの4泊5日の日程で、山頂付近の「吹越籠堂(ふきこしこもりどう)」に寝泊まりしながら、三山の拝所を巡る山駆け、滝行や南蛮いぶしなどの荒行に挑む。
神子修行は1993年、出羽三山の開山1400年を記念し、それまで同神社では男性にしか許していなかった山伏修行を女性に開放する形で始まった。今年の参加者は23―74歳の73人。北海道から熊本県までの各地のほか、米国や欧州などの海外からの参加者もいた。
初日の6日は、頭に白い布の宝冠を巻き、紅花染めのそろいの装束の参加者たちが、随神門前に集合。神事の後、正午前にほら貝の合図とともに入山。雨が降る中、羽黒山の石段を登り、修行に入った。今回は昨年より日程を1日延ばし、5日間とした。
10回目の参加という東京都武蔵野市の50代女性は「山のエネルギーを頂き、自然と一体化できる。1年1回の心身のリセットです」、初めて参加した京都市の林富美さん(49)は「たまたま申し込んで、幸運にも参加できた。何かしらの縁を感じる。先入観を持たず、修行とはどんなものか体験したい」と話した。
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バレーボールトップリーグ・SVリーグ女子のプレステージ・インターナショナルアランマーレ(アランマーレ山形)に新加入した海外出身2選手の入団会見が6日、酒田市のプレステージ・インターナショナル山形BPOパークで行われ、両選手は「チームの勝利に貢献したい」などと抱負を語った。
1日付で加入し、6日からチーム練習に参加したのは、オレクサンドラ・ビチェンコ(28)=ウクライナ出身、ドンポーン・シンポー(20)=タイ出身=の両選手。ビチェンコ選手は身長192センチの高さを生かし、オポジット、アウトサイドヒッターとしてプレー。これまでウクライナやトルコ、フランス、中国などのクラブで活躍してきたほか、2019、22年にはウクライナ代表に選出された。背番号は1。「仲間と一緒になって互いを信じ合い、サポートし合いながら、常にベストを尽くしたい」と抱負を語った。
一方、ドンポーン選手は身長175センチのアウトサイドヒッター。これまでタイのクラブでプレーし、アンダー世代から同国代表歴もある。背番号は4に決まり、「長年の夢がかない、うれしい。スピードを武器に自分の力を確かめながらチームの勝利に貢献したい」と述べた。
会見に同席した北原勉監督は「『NEO Aranmare』のスローガンの下、外国人選手の持つパワフルさ、日本人選手の巧みさを融合し、もう一段階上のアランマーレをお見せしたい」と。大規模改修工事を終えた生誕の地・INPEX酒田アリーナ(酒田市国体記念体育館)でホーム開幕戦(10月18、19日)を迎えることについて「うれしい。昨季はもどかしい思いだった。地元の力をチームの力に変えたい」と話した。
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鶴岡市の朝暘第四小学校6年生約80人が3日、地域学習の一環で学区内の田川地区を訪れ、平安時代後期から鎌倉時代初めにかけて南庄内を治めていた豪族・田川太郎一族の墓などの遺跡を巡り、地元の歴史や文化を学んだ。
田川地区の歴史的資源を活用したまちづくりや発信に取り組んでいる「ぶら田川隊」のメンバーが案内役となり、田川コミュニティセンターの歴史資料展示室、同コミセンの向かい側にある丘陵地「七日台」の山頂の田川太郎一族の墳墓群、戦国時代頃とみられる山城跡と防御のために深く掘られた堀切り跡、麓の岩屋千体仏などを訪れた。
岩屋千体仏で6年生たちは、ぶら田川隊から「願い事をかなえるため仏像を一体借りて自宅に持ち帰ってお祈りし、願いがかなった後は二体にして返す」という風習を聞き、興味津々の様子で見学。ガイド役は「受験の時に借りていくといいよ」と児童たちに語り掛けた。
ぶら田川隊のメンバーは「若い人に地元の歴史を知ってもらうことは大事なこと。今後ともこうした地域学習を継続していただきたい」と話していた。
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酒田市の酒田光陵高校(藤田雅彦校長)の生徒たちと教育系動画を発信している葉一(はいち)さん(39)が協力して制作した同校をPRする動画「とある男の体験入学!専門高校の魅力とは!?」が完成し、3日から動画投稿サイト「YouTube」で公開されている。
葉一さんは1985年福岡県生まれ。高校時代に恩師と出会い教師を志した。東京学芸大進学後、小中学校の教員免許を取得。卒業後に民間会社勤務や塾講師を経て、2012年6月から動画投稿サイト「YouTube」で授業動画の配信を開始。無料で自由に勉強ができる「フリーラーニング」などを目標に活動している。葉一さんのYouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」の登録者数は約205万人。
学校紹介動画は同校が2023年から3カ年で取り組んでいる「県魅力ある県立高校づくり推進事業」の一環として制作。今年6月19、20日に葉一さんが同校を訪れ、各学科の取り組みなどを撮影、編集作業を経て完成した。
動画は約52分。藤田校長の学校紹介、機械制御、電気電子、環境技術、ビジネス流通、同会計、情報、普通各科の授業風景や取り組み、生徒へのインタビューの8章構成。
このうち、環境技術科の授業では葉一さんが生徒の指導で小型ショベルカーの作業を体験。操作に悪戦苦闘しながらも、アームを動かし土砂の移動に取り組んだ。インタビューでは部活動や勉強などそれぞれの取り組みを生徒たちが紹介。同校の後藤颯太生徒会長(3年)は「この学校は地域起点、部活動、総合選択の3つが魅力。地域活動ではボランティアなどがあり、部活動ではインターハイに出場する部が多い。さまざまな学科があるのでいろいろな学びができる。大変なこともあるが入学して良かった」と答えていた。同校では「専門高校独自のカリキュラムを多くの人に知ってもらえれば」と話している。