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2024年(令和6年) 9月18日(水)付紙面より

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酒田港沖の風力発電が前進する

 酒田港は今年4月、港湾法に基づいて国土交通省から「海洋再生可能エネルギー発電等拠点港湾」に指定され、2027年度に洋上風力発電基地港湾の完成を目指す。同港沖は洋上風力発電導入の「有望な区域」に指定され、既に「促進区域」に指定されている遊佐沖と合わせ、洋上風力発電事業が大きく前進する。それに向けた港の整備を祝う式典が先頃開かれた。

 洋上風力発電設備は、重厚長大な資機材を扱うため、耐久力がある強固で広いふ頭が要る。港の整備はそのためのもの。洋上風力発電導入は、先行する秋田県に続いて酒田港と青森港が同時に基地港湾に指定され、日本海側で再生エネ導入が加速することになる。

     ◇       ◇

 遊佐沖に導入される風車は高さ約260メートル、羽根の直径は約235メートルの大きさの想定だ。酒田港で基地港湾になる場所は、国際コンテナターミナル南側の埋立地のうち「大浜西埠頭」約34ヘクタールを予定。風車建設に必要な資材を運ぶ大型船の出入港、資材の仮置き場として利用するため、水深12メートルの岸壁、航路、防波堤、外周道路などのふ頭を整備する。事業費は122億円。

 庄内沖の風況は、洋上風力発電導入の潜在能力が大きく、将来の再生エネ供給地としての期待が持たれている。遊佐沖の事業では現在、事業者の選定が進んでいる。同沖の想定海域は沿岸漁業に配慮して海岸線から1カイリ(約1・8キロ)沖の、南北約8・3キロ、沖合約5キロの区域に設定。海底に固定する着床式で発電出力45万キロワットは、酒田共同火力発電所の総出力70万キロワットの半分強に当たる。

 地球温暖化に負荷をかけない洋上風力発電は、政府が目指す再エネ導入の一翼を担う。少子化、人口減少、若年層の都市流出に悩む地方都市にとって、酒田港一帯の整備で新たな産業が創出され、雇用が生まれれば若年層の地元定着と、それに伴う付加価値も期待できる。洋上風力発電に寄せる地域経済活性化への期待感が膨らむ。

     ◇       ◇

 県は気候変動への影響などから、県内に再エネを中心としたエネルギー供給基盤を整備、地域の中にエネルギー源を分散配置したい考えだ。さらに現在導入目標に掲げている再エネ開発目標101・5万キロワット(原発約1基に相当)を、新たに策定するエネルギー戦略では1・5倍を目指す方針だ。北海道小樽市などの沖では将来、原発5基分の風力発電導入の予定という。

 庄内地域は風況状況が良く、洋上を柱とした風力発電導入の潜在力は全国7番目に大きい。鶴岡市の沿岸地域では山間部への新たな風力発電導入が計画されている。風力発電については洋上でも陸上であっても、環境・景観・生態系などを心配する声がある。一方、洋上風力を含む再エネ導入は、時代の要請ということになるようだ。

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