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荘内日報ニュース


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2024年(令和6年) 1月16日(火)付紙面より

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旬の寒鱈汁 嚥下食ごちそうに 鶴岡 タラのつみれ 淡雪のよう

 食べ物をかむ力、飲み込む力が弱くなった人から旬の食材をおいしく食べてもらうための調理方法を伝える実習講座「嚥下(えんげ)食ごちそうシリーズ・寒鱈(かんだら)汁」が14日、鶴岡市総合保健福祉センターにこふるで開かれた。タラの身で作ったつみれの柔らかさに、参加者から「口に入れると淡雪のように溶けた」と驚きの声が上がった。

 嚥下食をテーマとした同講座は、庄内文化センター(鶴岡市本町一丁目)の特別講座として開催しており、これまでサクラマスのあんかけや孟宗汁、カレーライス、庄内豚の角煮を題材としてきた。5回目の今回は庄内の冬の味覚・寒鱈汁を嚥下食として作る調理法を学ぶもの。講師は「鶴岡食材を使った嚥下食を考える研究会」代表で、うしお荘(鶴岡市湯野浜一丁目)支配人の延味克士さんが務めた。

 今回は鶴岡市内から11人の男女が参加。初めに延味さんがうしお荘で提供しているどんがら汁の調理法を実演した。延味さんは「昆布だしか水で作るのが一番タラのうま味を引き出す」と説明しながら、新鮮な庄内浜産のタラを調理。タイのように鮮やかなピンク色をした身はつみれにし、皮をむいた山芋や卵白、コーンスターチ、だしと一緒にフードプロセッサーへ入れて滑らかになるまで回した。コーンスターチはとろみを付けるためで、片栗粉よりも柔らかに仕上がるという。

 続いて鍋にアブラワタとどんがらを入れ、みそで味を調えた。注意点として延味さんは「味を調える前に白いアクを取るだけ。脂はできるだけ取らないようにする。この脂がタラのうま味」と解説した。また、手とスプーンでピンポン玉ほどのつみれを作り、最後に白子を入れて完成した。

 参加者たちは延味さんの実演を参考に、タラの身でつみれ作りに挑戦。どんがら汁が完成すると全員で試食した。1回目の講座から参加している鶴岡市の吉田喜恵さん(55)は「家族にいつか嚥下食が必要になると思い、さまざまなレシピを学ぶため参加している。すぐに手に入る材料ばかりなので、おいしい料理を食べて笑顔になるのを見たい」と話していた。

 また、延味さんは「食事は日々の必要な栄養を取るためだが、かみにくい、飲み込みにくいという人たちでも旬の食材を味わい、食事を楽しんでもらいたい。大切な誰かのために手を掛けて作るのが“本当の料理”。嚥下食をおいしく食べる方法を多くの人に知ってもらいたい」と話した。

延味さん(右)がタラの身をフードプロセッサーにかけ、つみれにする料理法を実演
延味さん(右)がタラの身をフードプロセッサーにかけ、つみれにする料理法を実演

完成したタラのつみれ入りどんがら汁。つみれの柔らかさに驚きの声が上がった
完成したタラのつみれ入りどんがら汁。つみれの柔らかさに驚きの声が上がった


2024年(令和6年) 1月16日(火)付紙面より

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寒さこらえ冷水浴びる 庄内町千河原 伝統行事「やや祭り」

 庄内町千河原地区に伝わる伝統行事「やや祭り」が14日、同地区の八幡神社で行われた。上半身裸の子どもたちが肩口から冷水を浴び、無病息災や身体堅固を願った。

 やや祭りは、安産の神様を祭る同神社の歳越祭の異称。弥生時代に在位した第15代応神天皇の皇子・大山守命(おおやまもりのみこと)が跡継ぎの争いで悪臣に追われ、千河原の妊婦にかくまってもらった際に「私は死んでも神となっておまえたちの身を守る。難産のときは私の名前を唱えよ」と言い残した伝説が祭りの起源とされる。

 祭りの名前の由来は、若者が手にしたわらで互いにたたき合った風習の掛け声が「ヤー、ヤー」だったという説や、子どもを示す京都なまりの「やや」が元など諸説ある。

 子どもたちが主役の祭りで、上半身裸の男の子たちがわらを編んだ「けんだい」と呼ばれる腰巻きを身に着け、両手にろうそくを持って冷水を浴び、無病息災や身体堅固を祈願する。今年は園児―小学6年の8人が参加した。

 この日は比較的穏やかな天候だったが、日中の気温は5度前後。子どもたちが1人ずつ境内に設置された祭壇に立つと、白装束の大人たちが肩口から勢いよく冷水を浴びせた。体を震わせながらも寒さをぐっとこらえる姿に、集まった見物客や家族からは「よく頑張った」などの声援とともに大きな拍手が送られていた。

 参加した中鉢陽大(はると)君(10)=余目三小4年=は「寒かったけれど、野球でいっぱい活躍できるように祈った」と震えながらも笑顔で話していた。

上半身裸の男の子たちが冷水を浴びて無病息災などを祈願
上半身裸の男の子たちが冷水を浴びて無病息災などを祈願


2024年(令和6年) 1月16日(火)付紙面より

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変化球 新・ロボット工学の三原則

 アメリカのSF作家アイザック・アシモフ(1920―1992)は、ロボットをテーマに多くの作品を発表した。約70年前に次のような「ロボット工学の三原則」を提唱している。

 「第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

 第二条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。

 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。(小尾芙佐訳)」

 当時は初期のコンピュータが発明された時代で、やがて機械が人間を滅ぼすのでないかと、本気で心配され始めた。アシモフは人間とロボットが共生する社会の背景に三原則を考えたが、ロボットをAI(人工知能)に読み換えれば、まさに現代が直面する問題に通じる。

 昨年はAIの話題が急に増えた。特にチャットGPTなどの登場で、誰でも日常的に使える機会が増えた。しかし実用には各方面から問題提起がされている。人間が意図的に悪用すれば、恐ろしい道具となる可能性は大きい。これは小説の中だけの空想ではなくなった。

 フェイク動画を使って偽情報を拡散させたり、犯罪に利用する事例が発生している。このように倫理に反し社会を混乱させる不安があるが、最も危険な使い方を忘れてはいけない。

 それは軍事利用によるリスクだ。すでに殺人AI兵器の開発に積極的な国があるという。現在は銃の引き金を引くのは心を持った人間だ。しかし効率的に殺人と破壊だけを目的にするAIが兵器に組み込まれたら、戦争のあり方が変わってしまい、恐ろしさは核兵器に勝るとも劣らない。ウクライナやガザの惨状を見るにつけ、その思いを強くする。

 国連はようやく、人間の判断を介さず目標を攻撃するLAWS(自律型致死兵器システム)への対応が急務とする決議を、昨年12月に採択した。だが具体的な規制方法については、まだこれからの議論を待つ段階だ。

 AIを人間を脅かすモンスターでなく、役立つ存在として発展させるためのルールは何か。アシモフのロボット工学三原則を読み直すと、今でも着眼点の鋭さと定義の簡潔さに感心する。AIの問題を考えるには、このような視点を忘れてはならないだろう。

論説委員 小野 加州男


2024年(令和6年) 1月16日(火)付紙面より

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廃棄リンゴを活用 自ら栽培ヤマブドウ SDGsスペシャルミックスジャム 山大農学部4年 安岡千穂さん

 フードロス削減に向け、山形大学農学部食料生命環境学科・アグリサイエンスコースの安岡千穂さん(4年)が、廃棄リンゴと在来果樹のヤマブドウを使ったオリジナルジャム「SDGsスペシャルミックスジャム」を作製した。昨年12月の先行販売では約130個が完売。来月に追加販売を予定している。

 同学部の高坂農場では果実の約3割が未利用で、堆肥として利用されている。それらを有効活用し在来果樹の商品価値を見いだそうと卒業論文の一環で作製した。ヤマブドウを自ら栽培・収穫し、一般や学生などに試食を繰り返しながら約半年間で作った。

 ジャムはヤマブドウに対してリンゴ(ふじ)を4倍使用。ヤマブドウの独特な苦みを抑え爽やかな風味を残しつつ、リンゴの甘みが感じられる万人受けする味に仕上げた。リンゴ単体のジャムに比べて老化やがん、生活習慣病などの予防効果があるとされる抗酸化力の数値が3倍高いという。120グラム入りで価格は400円。先行販売分では廃棄リンゴを約30キロ使用したという。

 11日、山形市の同大小白川キャンパスで行われた記者会見で安岡さんは「廃棄果実が有効利用され、ジャムを買っていただいた人に『また食べたい』と言ってもらえてうれしい。ジャムを通してSDGsについていろいろな人に知ってもらいたい」と話した。

 ジャムの追加販売は高坂農場で行う。問い合わせは同農場=電0235(24)2278=へ。

廃棄リンゴとヤマブドウのオリジナルジャムを作った安岡さん
廃棄リンゴとヤマブドウのオリジナルジャムを作った安岡さん


2024年(令和6年) 1月16日(火)付紙面より

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「お弁当・お惣菜大賞2024」 山形優味(鶴岡市)最優秀ダブル受賞 おにぎり部門 天ぷら部門 県産食材 味へのこだわり高評価

 全国規模のコンクール「お弁当・お惣菜大賞2024」のおにぎり部門と天ぷら部門で山形優味(鶴岡市錦町、丸山環社長)の商品が全国1位の最優秀賞に輝いた。同社は2022年の同コンクールお弁当部門で最優秀賞、23年の同部門で優秀賞を獲得しており、3年連続の受賞。2部門でのダブル受賞は初めてという。全て山形県産の食材を使い、彩りなどの見た目以上に味へのこだわりが審査員の高い評価を得た。丸山社長は「庄内の食の素晴らしさを示すことができた」と喜びの声を上げている。

 最優秀賞に輝いたのは、おにぎり部門が「磯の香り満載おにぎり」、天ぷら部門が「海老千本」。両部門とも1000~1100点の応募があった。「磯の香り満載おにぎり」は、手摘み岩のりおにぎりと極寒ふのりおにぎりのセット。おにぎりに使った米は県産ブランド米のつや姫と雪若丸を絶妙にブレンドした。米を炊く際には地物野菜とシイタケの軸から取った精進だしを使用し、のりの風味を引き立てた。

 「海老千本」は、庄内浜で水揚げされた甘エビを使用。丁寧に殻をむいた身はぷりぷりした食感が出るように下処理し、「海老千本」1本に対して12尾を用いたぜいたくな一品となっている。天ぷらには石臼でひいた庄内産の小麦を使った。

 2品とも庄内を中心とする山形県産の食材にこだわり抜き、化学調味料や添加物を一切使用せず日本料理の基本となる素材そのものの味を生かした。味が重要となる審査では2品とも満場一致で最優秀賞に選ばれたという。

 「鶴岡料理すず音」(鶴岡市錦町)、「美酒宝魚 銀のすず」(同市末広町)、「酒田料理 銀のすず」(酒田市こがね町二丁目)などを経営し、今回受賞した2品を考案した丸山社長は「つや姫をはじめ庄内、山形産の食材の素晴らしさを全国にアピールすることができて本当にうれしい。弁当や総菜を通し、山形の食の魅力をさらに広く伝えていきたい」と話した。コンクールの表彰式は来月中旬に東京都内で行われる。

 「磯の香り満載おにぎり」「海老千本」とも、表彰式に合わせて来月中旬から同社が経営する各店舗で取り扱いを開始する予定。要望があればコース料理に組み込むことも検討している。単品での価格は調整中。問い合わせは山形優味=電0235(22)3231=へ。

 お弁当・お惣菜大賞はデリカテッセン・トレンドショーが主催し、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、 専門店等で実際に販売している数多くの弁当、総菜、サラダ、パンなどから、食の専門家で構成された審査員により特に優れた商品を選出し表彰するプログラム。これまで「なだ万厨房」や「日本橋弁松総本店」などの有名店が最優秀賞を受賞している。今回は11部門に全国から1万4992点の応募があった。

「お弁当・お惣菜大賞2024」の2部門で最優秀賞を獲得した「磯の香り満載おにぎり」(右手前)と「海老千本」
「お弁当・お惣菜大賞2024」の2部門で最優秀賞を獲得した「磯の香り満載おにぎり」(右手前)と「海老千本」

最優秀賞を獲得した2品を考案・調理した丸山社長
最優秀賞を獲得した2品を考案・調理した丸山社長



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