2024年(令和6年) 1月20日(土)付紙面より
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クラフトビール醸造・販売を通して「酒の酒田」を全国に向けてPRしようと、酒田市内外の企業3社が2022年春に立ち上げた「酒田クラフトビールプロジェクト」。市内に設けた醸造所で製造したクラフトビール「酒田トラディショナルビール」が完成し18日夕、同市の酒田まちなかホールでお披露目会が開かれた。副原料として庄内産「つや姫」を用いており、味わい良く芳香漂う出来に関係者は「おいしい」と太鼓判。同日から販売を開始した。
プロジェクトを立ち上げたのは、同市の京田西工業団地に酒田工場がある金属管製造などのパイプ・ラインエンジニアリング(東京都、池田和男社長)、市内で飲食店「Ravi」「あぶり家ろわ蔵」を展開する合同会社イデアル(安藤力人代表)、美容室「waft hair&make」(同市新橋四丁目、勝田貴美代表)の3社。
自らの店でクラフトビールを扱いたいと考えていた安藤代表が、常連客でビール好きの勝田代表と共に長く温めていた企画で、同じく常連の池田社長に相談したところ、自社での醸造設備製造事業参入も視野に入れて快諾、用地と建屋、設備を提供することにした。
立ち上げ以降、イデアル社員の堀明日美さんが研修を兼ねて都内の醸造所で試験製造を重ねたほか、昨秋にはパイプ・ラインエンジニアリング酒田工場敷地内に醸造所(広さ115平方メートル)を整備し、醸造タンクを設置した。
完成したのは、4種をブレンドしたホップ、つや姫を使用し、かんきつのような爽やかな芳香が特徴のペールエール。「プロジェクトのフラッグシップとなるもの。クラフトビールの入り口に最適」(堀さん)という。ラベルには酒田のシンボル「大獅子」をモチーフにしたデザインを採用した。
お披露目会には関係者ら約100人が参加。同市出身の池田社長がプロジェクト立ち上げに至った経緯など紹介し、「地元を盛り上げたい、地元に恩返しがしたいという思いで取り組んできた。庄内地域に誕生したビールを応援してほしい」とあいさつした後、矢口明子市長の発声で乾杯。琥珀(こはく)色に輝くビールを試飲した参加者からは「ホップの香りが最高」「ずっと飲み続けることができる」「IPAにも期待したい」「観光誘客へも貢献しそう」といった感想が聞かれた。
堀さんによると、年間4万リットルの製造を見込み、ペールエールのほか、来月以降、▽ホップの苦みが特徴的なIPA▽白ワインのような香りが特徴のホワイトエール▽モルト感とコクを楽しむスタウト―を定番ラインアップに加える予定という。クラフトビールは330ミリリットル入り600円(税込み)。公式オンラインショップや醸造所で扱っているほか、市内の酒販店でも販売を順次開始する。問い合わせなどは酒田トラディショナルビール=電0234(28)8826=へ。
2024年(令和6年) 1月20日(土)付紙面より
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鶴岡商工会議所の観光推進研修会が18日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれた。JR東日本新潟支社の和田佳史地域共創部長と、観光立国推進協議会委員でジャパンショッピングツーリズム協会(東京)の新津研一代表理事を講師に迎え、地域の今後の観光戦略の方向性を探った。
同商議所の地域活性化委員会(國井英夫委員長)と観光部会(橋本政之部会長)が、観光戦略に関する中長期ビジョンの策定に向けた勉強会として初めて開催。行政や観光事業者らを含め約60人が参加した。
和田部長は、地域の観光資源を生かした首都圏での情報発信の取り組みを紹介。「実は近い庄内」をテーマに、JR各駅の構内で実施しているデジタルサイネージ(電子看板)を活用した庄内エリアのプロモーションを昨年の夏と秋に続いて1月も展開。温泉や地酒に加え、氷結する玉簾の滝、寒鱈(かんだら)汁、「酒田のラーメン」など冬の観光資源のPR展開を説明した。
今年7月31日の羽越本線全線開通100周年に関連し、「庄内エリアへの誘客に向け首都圏などから注目が高まるさまざまな特別企画を実施し、地域が盛り上がる契機にしていきたい」と語り、地域と連携した観光誘客の取り組みを強調した。
新津代表理事は、急回復する外国からの旅行者(インバウンド)の現状を解説。旅行の際の消費額がコロナ禍の前と比較して大幅に増大しているデータを示し、「高収入層の旅行者が、自分にとって意味があると感じたものには惜しまずお金を出している。その土地の歴史や伝統に基づくスピリチュアルな体験やガストロノミーへの興味と関心が高く、その点で鶴岡には出羽三山と食文化という世界がうらやむ資源がすでにある。地元の人々が地元を大切にし、誇りを持ってこの資源を生かすべきだ」と指摘した。
2024年(令和6年) 1月20日(土)付紙面より
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民間の経済人や研究者などの有識者らで構成する「人口戦略会議」は、2100年の人口を8000万人で安定させることを目標とするよう政府に提言した。国立社会保障・人口問題研究所が同年の人口を約6300万人と推計したことから、人口減少のスピードを緩和させて8000万人を維持し、少ない人口でも成長力ある国を目指す対策の必要性を提言した。
今から76年後のことはなかなか想像できない。人口戦略会議が提言した人口を庄内5市町の人口に当てはめれば約9万人。そんな中でどのように地域社会を維持すればいいのか。各地で庄内の将来を語り合う集まりが開かれている。心強い取り組みだ。
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鶴岡市朝日地域で中学生と住民による「地域語り合い」が開かれ、若い人に地元に残ってもらうにはどうすればいいかを探った。中学生から「多くの店があるといい」「交通網が発達してほしい」「大型ショッピングモールがほしい」「便利な都会もいいが、豊かな自然は残さなければならない」などの意見が出た。中学生が描く「将来像と夢」を「現実にする」気持ちを住民も一緒に持ち続けることが、地域の元気づくりにつながるのではないか。
県が実施した「山形いまどき若者アンケート」。16~40歳の572人が回答した(庄内からの回答者は14・3%)。約6割が「今住んでいる地域が好き」と答え、理由は「食のおいしさ、自然が豊か、日常生活が便利」など。現在住んでいる理由は「実家がある」が最多だが、「この地域が気に入ったから」という回答もある。「気に入った」という回答者に転勤者がいたら、山形の魅力を積極的に発信することで、U・Iターンの呼び込みにつながる。もちろん庄内も。
高校生が郷土の魅力を考える「若者『庄』学校ワークショップ」。県庄内総合支庁の事業で、郷土愛を育みながら地元の良い点を探し、若者の地元定着を目指す。「今まで自分たちの地域の良さを知らなかったのは、知ろうとしなかったからか」など、地域の魅力を知ることは庄内への定着の第一歩となる。
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遊佐町の中学生と高校生が直接選挙で選ぶ「少年町長」と「少年議員」。町は予算を出して少年議会が決めた公的施設などの整備を任せている。少年議会の自主的な活動をまちづくりに生かすことで、若者は自分たちの町に誇りを持つ。
櫛引地域の将来像を考える「どうする櫛引」という話し合いもあった。少子化が進んでも、いつまでも住み続けられる地域にするため、人と人のつながりを大事にし、子どもの頃に親しんだ遊びや地域の伝承行事を守りたい。地域を考えるさまざまな話し合いで共通するのは「手をこまねいていないで、とにかく行動しよう」。人口が減っても活力を維持する手だては、活発な意見の出し合いで必ず見つかるはずだ。
2024年(令和6年) 1月20日(土)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡工業高校(平山豊校長)の研究発表会が18日、同市の荘銀タクト鶴岡で行われた。生徒が古くなった自転車を使って、電気を発生させる「エアロバイク」に作り変えた取り組みなどを披露した。
今年4月から3年生が3~4人のチームを組みそれぞれ設定したテーマに沿って研究を進めてきた。テーマのタイトルは▽エアロバイク製作(機械科)▽アルコール発酵を利用した消毒液の合成(環境化学科)▽避難路誘導灯の製作(電気電子科)▽いさこい~三川町民が帰る家計画~(建築科)▽英語学習用アプリ モンスターズイングリッシュ(情報通信科)▽AIを活用した自動養蚕システム製作(現代化研究会)▽デジタルファブリケーションを活用したものづくり活動・研究(同)。代表7チームの生徒がスライド上映を通して、いきさつや製作過程、苦労した点などを分かりやすく説明した。
このうち、エアロバイク製作の機械科チームは「使わなくなった自転車を再利用し、車用のオルタネーターでペダルをこぎながら発電できるトレーニングマシーンを作りたかった。目標にしていた12ボルトまで届かず、もっとギア比を高くして回転数を上げる必要が課題として浮かび上がった」と報告した。
発表会には全校生徒とアドバイザーとして県内外の機械、製造、サービス系など各企業の代表者ら関係者合わせて約500人が参加。発表後の質疑応答でアドバイザーは「研究テーマの視点がとてもいい。さらに工夫や改善を加えてアップデートすれば、素晴らしいものになる」と評価した。
2024年(令和6年) 1月20日(土)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡高等養護学校(矢野裕之校長)の2年生が18日、同市小真木原総合体育館で清掃奉仕活動を行った。4階の観客席や3階アリーナで生徒たちがほうきやモップを使い、地域への感謝を込めて施設をきれいにした。
同校では5年ほど前から、総合的な探究の時間を利用して「自分たちでできるボランティアをしよう」をテーマに2年生が清掃奉仕活動を行っている。コロナ禍前は児童施設や高齢者施設などを訪れていたが、近年は公共施設で実施している。
今回は生徒16人が引率の教員と共に市小真木原総合体育館を訪れた。自在ほうきやちり取り、ごみ袋を持参した生徒たちは4階で手分けしながら観客席の下や通路などを掃き、集めたごみはちり取りで片付けた。また、3階アリーナでは施設からモップを借りて床をきれいに拭いた。冬季はフットサルやテニスなども屋内で練習するため、アリーナの床は汚れがたまるという。
同校の白幡響花さん(17)は「中学生の頃卓球の試合で使っていた体育館が清掃できれいになるのはうれしい」と笑顔を見せていた。生徒たちの奉仕活動は25日にも行われ、小真木原公園内の市陸上競技場や朝暘武道館を清掃する予定。