2024年(令和6年) 1月4日(木)付紙面より
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1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方で震度7の地震があり、鶴岡、酒田などで最大震度4を観測し、庄内の沿岸に津波警報が発表された。鶴岡、酒田、遊佐の3市町では計1万6503世帯3万6742人に避難指示が出され、最大5103人が避難所に避難し、一部の住民は不安と緊張の中で一夜を過ごした。津波警報は2日午前1時15分に注意報に切り替わり、同10時に解除された。交通機関も運休や欠航、道路の通行止めが相次いだ。3日午前現在、庄内地域など県内では人や建物への被害は確認されていない。
気象庁は今回の地震を「令和6年能登半島地震」と命名。逆断層型地震で、規模はマグニチュード7・6と推定。能登地方で建物倒壊、火災など甚大な被害が確認されている。石川県以外の最大震度は、新潟県で震度6弱、富山県と福井県で震度5強を観測。気象庁は能登地方に大津波警報、北陸地方を中心に庄内沿岸などの日本海側に津波警報を発表した。
庄内沿岸への津波に関する警報は、1993年7月12日の北海道南西沖地震での大津波警報以来で、31年ぶり。山形地方気象台によると、津波は酒田市飛島で1日午後4時57分に第1波20センチ、同5時52分に40センチを確認。酒田港では同5時12分に20センチの第1波、同7時8分に80センチを確認した。
声掛け合い避難所へ 波打ち際の人に「逃げろ」 鶴岡
避難指示は、鶴岡市3923世帯9204人、酒田市1万2336世帯2万6966人、遊佐町244世帯572人に出された。3市町に開設された鶴岡7、酒田75、遊佐3の計85カ所の避難所には、鶴岡市で最大2440人、酒田市で2303人、遊佐町で360人が避難した。このほか、高台にある駐車場などへ車で避難した住民も多く、発災後は一部で避難のための車の渋滞も見られた。
鶴岡市由良地区の旧由良小学校避難所は午後5時過ぎに開設され、開放された体育館には約40人が避難し、毛布やストーブで暖を取り、炊き出しも行われた。グラウンドに駐車した約30台の車の中でも家族と状況を見守る住民が多数いた。由良自治会副会長の齋藤勝三さん(58)は「近所に声を掛けながら避難してきた」、遠藤コヨノさん(93)は「防災無線を聞き、隣近所で声を掛け合い一緒になってすぐに避難してきた」と話した。
同市の湯野浜地区では、高台にある旧満光園駐車場に車で避難する住民が多かった。湯野浜二丁目の50代男性は「津波警報が発令されて10分で身支度して避難した」と話し、エンジンをつけて暖を取っていた。一方、警報が発表されて約20分後の1日午後4時40分ごろ、海岸の波打ち際を歩く人がいて、近くの住民たちが「逃げろ」と大声で叫んでいた。
同市鼠ケ関地区の鼠ケ関小学校の避難所には最大で約300人が避難したという。自治会の防災担当者は「1次避難場所に逃げた後、避難してきた人、直接小学校に来た人、どちらもいた」と話した。
酒田市役所には一時、約300人が避難した。家族で避難した40代女性は「自宅が海に近く、山形県沖地震(2019年)の時も避難した。何かあってからでは遅い」と話した。同市飛島では、高台にある飛島山グラウンドに最大約80人が避難した。酒田港に近い日和山公園駐車場には一時、100台余の車両が集まった。中山間部に避難する車両で、いずれも通称の八幡街道、松山街道で渋滞が発生した。
一方、2日午前には、同市本町二丁目の新井田川で、無人の小型船1隻が転覆しているのが見つかった。今回の津波の影響とみられ、油の流出防止のため、県庄内総合支庁は周囲にオイルフェンスを展張した。
潮位観測計に不具合 鼠ケ関検潮所
鶴岡市は1日、市の沿岸部で唯一、鼠ケ関に設置されている国土地理院の潮位観測計が不具合のため、今回の能登半島地震で到達した津波の観測データが得られなかったと明らかにした。
市によると、庄内に津波警報が発令されて約2時間後の1日午後6時25分、観測情報を市に提供している山形地方気象台から、正確なデータを計測できないと連絡があった。国土地理院によると、昨年12月17日から観測計の潮位データに異常が見られ、同19日にデータ公開を停止した。原因は不明で、復旧時期は未定という。
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鶴岡で活躍する人たちとの交流会「ディスカバつるおか」が29日、鶴岡市先端研究産業支援センターで行われた。鶴岡にUターンして少量多品目野菜の農業を始めた須藤明里さんや山王商店街の古民家をリノベーションしてカフェを運営する富樫あい子さんら6人を「ゲストスピーカー」に招き、取り組んだきっかけについて聞いた。
鶴岡の魅力を再発見してもらおうと市地域振興課が企画した。この日は市民をはじめ、内陸方面から鶴岡に移住した人たちなど合わせて24人が参加。車座になってゲストスピーカーの活動内容について耳を傾けた。
このうち、山形大学農学部3年生の渡会日菜さんのテーブルトークでは高校生に鶴岡の良さを伝える「一人暮らし講座」や大学生が温海地域でカフェを期間限定で開いた「シーサイドカフェ」を企画したいきさつについて紹介。「活動を通していろんな人たちと関わることができた。人とのつながりの大切さを学んだ」と語った。今回のイベントに参加した人たちは「鶴岡を盛り上げようと頑張っているゲストスピーカーの取り組みを知っただけでも良かった。力をもらった」「鶴岡の知らない部分を発見できて自分自身の引き出しが増えた」と感想を話した。
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正月三が日、庄内各地の寺社は初詣の参拝客でにぎわった。元日は朝方に冷たい雨が降ったものの昼頃には晴れ間も見え、大勢の家族連れなどが今年一年の健康や家内安全を願い、神仏の前で静かに手を合わせた。
今年、辰歳(たつどし)御縁年を迎えた鶴岡市下川の善寳寺(水口道雄住職)では31日夜から参拝客が増え始めた。1日午前10時過ぎには700台が駐車できる南側駐車場をはじめ、周辺の駐車場が全て満車となるなど参拝客で混雑した。
境内には大勢の家族連れが足を運び、本堂前のさい銭箱にお金を投げ入れて静かに手を合わせる姿が見られた。また、龍神様のご利益を得るため本堂でご祈祷(きとう)を受けた後は龍王殿に参拝し、お守りを買い求めるなどしていた。
両親ときょうだい合わせて6人で参拝した石井空蓮(あれん)君(14)=鶴岡二中2年=は「昨年から善寳寺へ初詣に来ている。部活で良い成績を出せるように、健康でいられるように願ってきた」と話していた。
2024年(令和6年) 1月4日(木)付紙面より
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鶴岡市の羽黒山山頂で31日から1日にかけ、五穀豊穣(ほうじょう)などを願う年越し行事「松例祭」が行われた。新型コロナウイルスによる規模縮小から4年ぶりの通常開催となり、国指定無形民俗文化財の「大松明(おおたいまつ)引き」などの神事が繰り広げられた。
出羽三山の開祖・蜂子皇子が、民衆を苦しめる病魔を焼き払って退散したという故事にちなんだ祭事。 位上(いじょう)と先途(せんど)と呼ばれる2人の松聖(まつひじり)が9月24日から100日間にわたって修行を積む「冬の峰」の満願に合わせて行われている。
大松明引きは31日午後11時ごろに行われ、ほら貝の合図で若者衆がツツガムシに見立てた大松明を走って引き、焼き払った。続いて「火の打替(うちかえ)神事」が行われ、新年の清浄な火がともった松明を山伏4人が振り回した。大学生の富樫心春さん(19)=庄内町余目=は「神秘的な神事だった。昨年は初めての大学生活を迎えていろいろな経験ができた。今年は特に勉強を頑張りたい」と話した。
2024年(令和6年) 1月4日(木)付紙面より
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元旦恒例の「新春走り初め」が1日、鶴岡市の鶴岡公園周回コースで行われた。コロナ禍の影響で開催は2020年以来4年ぶり。老若男女の市民ランナーが今年一年の健康を願いながら、久しぶりの走り初めを楽しんだ。
県縦断駅伝OBの呼び掛けで1973年に始まり、市陸上競技協会の主催で開催している。今年は県縦断駅伝メンバーなど競技者をはじめ、市内の持久走クラブや高校の部活仲間、一般市民など合わせて約90人が荘内神社前に集まった。スタート時の午前9時過ぎには少しずつ晴れ間も見え、ランナーたちが1周約1・2キロのコースを駆け抜けた。
鶴岡東高校3年で双子姉妹の遠藤はるかさん(18)、はるなさん(18)は「仲間と一緒に走るのが楽しくて、小学生の頃から参加している。しばらく開催していなかったので今日はとても楽しみにしていた。2人とも県内での就職が決まっているので、これからも走り初めに参加したい」と笑顔を見せていた。