2024年(令和6年) 11月10日(日)付紙面より
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7月の記録的大雨で被害を受けた酒田市升田の名瀑「玉簾(たますだれ)の滝」で8日夜、ライトアップが始まり、紅葉の中で幻想的に浮かび上がる滝が訪れた人々を魅了している。
玉簾の滝は落差約63メートル、幅約5メートルと県内で最も高さのある直爆として、市を代表する観光スポットとなっており毎年、地元の升田自治会(村上雅晴会長)が大型連休とお盆の時期にライトアップを行っていた。
豪雨の影響で落ち口付近の岩や木が削られて水の流れが変わってしまったほか、ライトを設置する台座4基のうち3基が被災、駐車場から滝前にある御嶽(みたけ)神社への参道が土砂や流木でふさがれてしまったことでお盆のライトアップはかなわなかった。その後、地元住民らで力を合わせ、ボランティアの支援を受けながら遊歩道の土砂撤去作業など復旧整備を行い、今回台座を仮復旧したタイミングでライトアップを企画した。
土砂を撤去し整備された参道には屋外用ライトが設置され滝への道のりを照らし、神社の横道から奥に進むと紅葉に囲まれた滝が煌々と姿を現す。形を変えてもその存在感と迫力は圧巻で、訪れた人々は色付いた木々に囲まれた滝をしばらく眺めたり、撮影したりなど思い思いに楽しんでいた。
自治会員の池田善幸さん(70)は「滝の形が変わったのは残念だが、これも自然現象として受け止めなければ。滝が訪れた人たちの癒やしになれるよう、今後も整備活動を展開したい」と話した。
ライトアップは10日までで、点灯時間は午後5時―9時。事業継続のため、訪れた人に100円の協力金をお願いしている。
2024年(令和6年) 11月10日(日)付紙面より
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荘内銀行(鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD、仙台市)は8日、仙台市内で記者会見を開き、荘内銀行が北都銀行を吸収合併し新銀行名を「フィデア銀行」とすることを正式に発表した。効力発生日は2027年1月1日付で本店は山形市に置く。
新銀行の頭取は、北都銀の佐藤敬取締役専務執行役員、代表取締役専務執行役員に山科宏幸荘銀常務執行役員がそれぞれ内定した。合併を見据え、来年4月から荘内、北都両行の頭取を佐藤氏が兼務する。荘銀の松田正彦頭取、北都銀の伊藤新頭取はいずれもフィデアHDの会長に就任し、各行に取締役として残る。
新銀行本店が山形市となることに伴い、鶴岡市の荘内銀行本店の機能が来年5月末に山形営業部(山形市)に移される。HD本社は引き続き仙台市に置く。
合併後の新銀行は、今年3月末時点での総資産が3兆656億円余となった。秋田銀行、山形銀行に次いで東北7番目の規模となり、東北で初めて県境を越えた広域地方銀行が誕生する。今後、両行は合併に向けてシステム統合など準備を本格化する。
会見でフィデアHDの新野正博社長は「合併による規模拡大、営業基盤の拡充を最大限に生かし、広域性と専門性の強みに磨きをかけて事業者支援による両県経済の活性化に一層貢献していく」と述べ、フィデア銀行の名称について「フィデアの名称が顧客や行員に浸透しており、新銀行の目指す姿とも合致している」、本店を山形市とした理由について「産業や事業者の集積と動向、銀行としての成長戦略などを考慮した上で最適な場所を選択した」とそれぞれ説明した。
新銀行頭取に就任する北都銀行の佐藤専務は「東北初の“2つの地元”を持つ広域地方銀行として、地域のお客さまから信頼を得られるようフィデアグループの総力を挙げて全力で取り組む。両行の優秀な人材を相互に活用し、有益な情報を流通させる。経営と本部業務の一体運営を進め、地域の事業者、自治体等の支援を強化できるような体制整備を進めたい」と抱負を述べた。
また、松田正彦荘内銀頭取は「顧客に合わせて荘内銀行はエリアを拡大してきた。どういったサービスが提供できるかを考え、新銀行名でスタートするのが最善と判断した」と話した。
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全日本柔道連盟(東京都文京区)の「メダリストによる中学校保健体育科武道(柔道)授業支援事業」が7日、鶴岡市の致道館高校柔道場で行われた。ロンドン五輪柔道男子73キロ級銀メダリストの中矢力さん(35)の指導で、致道館中の1年生が抑え込みや投げ技の基礎を学んだ。
全柔連の支援事業は、中学生が受ける武道(柔道)の授業に五輪メダリストを派遣し、技の示範や講話などを通し生徒の主体性を伸長する授業づくりを支援するもの。致道館中が全柔連に申し込み、中矢さんが派遣された。
中矢さんは愛媛県松山市出身。幼稚園の時に3歳上の兄の影響で柔道を始めた。中学生時から全国大会に出場し、ジュニア、シニアの国内外大会で活躍。2012年のロンドン五輪は決勝で敗れたものの銀メダルに輝いた。現在は現役を引退し東海大男子柔道部副監督を務めている。
授業は1年生99人全員が3クラスに分かれ参加。このうち1年2組は準備運動で前回り受け身の基礎として、中矢さんと現役選手の飯田匡則さん(セコム)から「体の正面から転がると頭を打つので、肩から回るように」と指導を受けた。
続いてけさ固めや横四方固めなど抑え込みの技術、投げ技として膝車と体落としの2つを学んだ。立ち技について中矢さんは「投げる際、引き手は『命綱』とも言われ、相手を安全に投げるためとても重要。引き手を離すとけがにつながるので十分注意して」と呼び掛けた。
授業の最後に質疑応答が行われ、生徒たちからは「中矢さんが柔道を始めたきっかけは」「銀メダルを取った時の気持ちは」と質問が飛んでいた。
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鶴岡市の朝暘第三小学校(成澤和則校長、児童547人)の5年生が6日、自動車リサイクルを手掛ける山形オートリサイクルセンター(酒田市広栄町二丁目、伊藤雄一郎社長)を訪れ、自動車の解体やリサイクルについて学んだ。
同社は1955年、自動車中古部品の販売業として創業し、64年に自動車解体業に転換した。現在はリユースパーツ販売や金属原料のリサイクルなど車の循環産業を展開している。地元の小・中学生を対象に体験学習の場を提供しているほか、交通安全団体への寄付活動など地域貢献にも積極的に取り組んでいる。
この日は社会科見学の工業コースを選んだ25人が訪問。児童たちは社員から説明を受けながら、解体で取り出した自動車のエンジン、リユース部品の保管倉庫、特殊車両での解体・プレス作業、解体前に行うエアバッグの作動処理やエアコンの排ガス作業などを見学した。部品の保管倉庫では大小さまざまな自動車部品が並ぶ棚を見て、児童たちは「ハンドルだ!」「ワゴンのバンパーがある」などと話しながら興味津々の様子。「1年間でどれくらいの車を解体しますか」「解体後プレスしたものはどうなるのですか」など熱心に質問していた。
児童の一人、茂木結叶(ゆいと)君(11)は「重機を使ってプレスする作業がすごいと思った。車は好きで、使われなくなった後再生するためにたくさん工程があるのが面白いと思った」と話した。
2024年(令和6年) 11月10日(日)付紙面より
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酒田市の酒田港古湊埠頭(ふとう)で6日、改正SOLAS条約に基づく埠頭への不審者侵入を想定した訓練が行われ、関係機関が有事の際の連携について確認した。
同条約は、海上における人命安全のため1914年に採択された国際条約。2004年7月の改正条約発効に合わせ施行された国内法「国際航海船舶・国際港湾施設の保安確保に関する法律」で、総合訓練、基本訓練の実施が義務付けられている。
訓練は、迅速な情報の伝達、事態収束に向けた連携を確認する場として酒田港保安委員会(委員長・本間隆県港湾事務所長、加盟25機関)が企画した。
この日は同委員会を構成する県港湾事務所、酒田海保、酒田警察署、酒田消防、酒田税関支署などから約80人が参加。この日の訓練は「不審船の捕捉・制圧と不審物を積んだドローン対応」「外航旅客船への臨検と不審者確保」の2部構成で行われた。
ドローン対応訓練では、埠頭上空に侵入したドローンに酒田海保巡視艇「べにばな」が妨害電波を発すると操縦不能となり岸壁に落下。さらにドローン内から不審物が発見され、防護服に身を包んだ県警機動隊員2人が周囲の放射能などを計測しながら慎重に近付き、不審物を密閉型の容器に入れて処理した。
一方、外航旅客船には同税関支署、同署、酒田海保らの係官が臨検。刃物を持って隠れていた不審者が車で逃走すると、パトカー2台が追跡。同署員らが不審者を取り囲み、連携して身柄を確保するなど約1時間にわたって訓練を繰り広げた。
酒田港危機管理担当官の相川武司酒田海保部長は「訓練の成果を踏まえ、速やかな処置ができるよう連携を維持し、酒田港の安全を堅持する」と講評した。