2024年(令和6年) 11月13日(水)付紙面より
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酒田市の本間美術館(田中章夫館長)で、国指定名勝「本間家別邸庭園『鶴舞園』」の紅葉が見頃を迎えた。土曜限定で夜間ライトアップも行われ、色づき始めた樹木が幻想的に浮かび上がり、日中とは異なった趣が行楽客の目を楽しませている。
鶴舞園は、本間家第4代当主・光道翁が1813年、庄内藩主・酒井忠器(ただかた)公の領内巡検に際し、休憩所として造営。名称は池の中島に鶴が舞い降りたことにちなみ、忠器公が付けたという。面積は7350平方メートル。赤玉石、青石など北前船で運ばれてきた銘石、御影石で作られた大小の灯籠などが変化に富んだ地形に配されている。旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では二つ星を得た。
文化庁「本間美術館を中核とした酒田湊町文化観光拠点計画」の認定をきっかけに一昨年から、この時期にライトアップを実施。11月以降の閉館時間は午後4時半だが、毎週土曜日のみ2時間延長して対応している。
9日は日没近い午後4時半ごろにLEDライトが点灯、さらに灯籠内にろうそくがともされると、色づき出したモミジやカエデ、常緑の松、石灯籠が淡く浮かび上がった。友人と旅行で訪問したという50代女性は「昨年は日中に見たが、夜は全然違う雰囲気でとてもぜいたく。空気の冷たさも心地良く、より洗練された景色が広がる」と感嘆していた。同館によると、紅葉の見頃は今月中旬まで。ライトアップは16日(土)午後4時半ごろから。
小春日和となった11日、鶴岡市の風間家旧別邸「無量光苑 釈迦堂」(国登録有形文化財)では、ケヤキなどの紅葉が見頃を迎えた。一方で「雪つり」を施されたアカマツの緑と澄み渡った秋の青空のコントラストがよく映え、施設を訪れた人たちの目を引いた。
雪つりは樹木へ寄り添うように柱を立て、先端から各枝へ放射状に縄を張る技法。樹木の雪害を防ぐため縄で枝を保持する。釈迦堂では10月末から今月初めにかけ、菅原造園(鶴岡市)がアカマツなど6本の樹木7カ所に雪つりを施した。
11日は青空が広がり日中の気温は19度ほどまで上昇。釈迦堂の庭園を訪れた秋田県湯沢市の60、70代の夫婦は「湯沢は大雪が降るので、雪つりはなかなか見られない。青空の下でとても素晴らしい景色」と笑顔を見せていた。
丙申堂・釈迦堂を管理する公益財団法人「克念社」によるとカエデやモミジが色づく今月中旬が最も見頃となるという。釈迦堂、丙申堂とも12月1日から冬季休館に入るため、紅葉を観賞できるのは今月末まで。問い合わせは丙申堂=電0235(22)0015=へ。