2024年(令和6年) 11月15日(金)付紙面より
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酒田飽海地区の大工らが加盟する酒田飽海建設総合組合(酒田市ゆたか三丁目、関川俊夫理事長)の木工教室が13日、同市の鳥海小学校(高橋奈緒美校長、児童134人)で行われ、組合員の指導を受け6年生24人が地元産杉材を使ったDVDラック作りに取り組んだ。
同組合は酒田市と遊佐町の大工、左官、板金、塗装など職人らで組織。地元産材を使った工作を通じ、木のぬくもりや良さ、製品を創作する喜び、達成感を感じてもらおうと毎年、両市町の小学校1校で木工教室を開いている。
この日は佐藤昭利技術部長はじめ組合員6人が同校を訪問。児童たちは6班に分かれ、組合員から「何事もまっすぐに」「金づちを使う時は最初は平らな面で打ち、最後は丸い面を使うと板が傷まない」などと指導を受けながら、きりで板に穴を開けたり、部材を組み合わせて金づちでくぎを打ったり、真剣な表情で取り組んだ。
組合員が部材を支えたり、曲がったくぎを抜いたりしながら作業。いち早く完成させた土井瑛太君(11)は「おじいちゃんが大工をやっており、手伝いをしたことがある。うまくできて楽しかった」と話した。
2024年(令和6年) 11月15日(金)付紙面より
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庄内町ぷちキッズモダンバレエサークルの発表会が10日、同町の響ホールで開かれ、幼児から一般までのメンバーが独創的なモダン・ダンス・バレエを披露した。
2007年に指導者の富樫希江さんらが立ち上げ、翌08年に響ホール事業推進協議会育成団体に。バレエの基本的な美しい動きを大切にしながら、自由で独創的な表現も含めた現代的なダンス表現の習得に励んでいる。現在は3歳児から一般の29人が活動。
町芸術祭参加の第17回発表会は、ファンファーレを合図に今夏のしょうない氣龍祭で披露した「スウィンギン・ヴィバルディ」の群舞で幕開け。第1部では、小学6年生たちが剣を手に華麗に踊る「剣の舞」、幼児や小学低学年がプードルに扮(ふん)したかわいらしい「そらのこいぬ」などの小作品が続いた。小5から高3による自作作品メドレーでは、選曲や振り付けなど全て自分たちで創り上げたもので、それぞれの個性がステージにあふれた。
第2部では、トーシューズのバレエ作品「トルコ行進曲」や社会人メンバーによるモダン作品を披露。精鋭16人が木星をバックに舞う「組曲惑星作品32~木星~」は、壮大な舞台が聴衆を引き込んだ。フィナーレはメンバー総出で「シンデレラ」の物語を華やかに表現し、会場は盛大な拍手と声援に包まれた。
2024年(令和6年) 11月15日(金)付紙面より
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「やまがたのスペシャリストに聞くトップセミナー」が13日、鶴岡市の鶴岡中央高校(兼子由香校長、生徒629人)で行われた。酒田市大沢地区で地域おこしに取り組む阿部彩人さん(44)が同校の1年生へ「人生をおもしぇぐするためには『できる』と信じてやってみること」と呼び掛けた。
同セミナーは、若者から勤労観や職業観を身に付けてもらい、地域産業の発展を担う人材育成などを目的とする県キャリア教育推進事業の一環。さまざまな分野の「やまがたスペシャリスト」が講師として県内各高校を訪れ、講演会でそれぞれの取り組みや地域の魅力を語り、高校生たちから郷土愛を養ってもらうもの。鶴岡中央高は昨年も阿部さんを講師に招いた。
1年生198人が聴講。阿部さんは「人や地域どつながりながら、地域の未来をつくる道。」と題し、「酒田東高、都内の大学を卒業後、ITやエンタメ業界で働いていたが古里の良さに気付いて2018年、酒田市へUターンし、八幡地域の大沢地区で地域おこし協力隊として活動した」と歩んできた道について語った。
また、21年に合同会社COCOSATO(ココサト)を設立し、地域資源を生かした特産品づくり、里山体験サービスの提供、地域の魅力を伝える動画制作などの取り組みを紹介し、「地域づくり、地域おこしは『ないものねだり』ではなく『あるもの探し』から。それを磨いて『おもしぇぐ』(楽しみながら)発信すること。地方は人口減少が著しいが裏を返せば一人一人の存在価値は高まっている。全世代が『わぐわぐ』しながら参加できる地域をつくろう」と語った。最後に今夏の豪雨で大きな被害が出た大沢地区の現状などを「地域が元通りになることは難しいが、いま大沢に住む人たちはしっかり前を見て歩みを進めている」と話した。
2024年(令和6年) 11月15日(金)付紙面より
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「ANAホールディングス旅と学びの協議会」は読書と旅をテーマにした新しいツアーづくりを進めている。旅を通して本と触れ合い、人と語り合うことで質の高い旅行商品を生み出すことが目的。その最初のプロジェクトツアーが庄内を舞台に行われ、協議会のメンバーや首都圏に住む一般合わせて14人が参加、読書体験を組み込んだ旅のスタイルを検証した。
同協議会は2020年に結成した。メンバーは東京学藝大大学院の准教授でスタディサプリ教育AI研究所所長の小宮山利恵子さん(代表理事)、駒沢女子大観光文化学類教授の鮫島卓さん(理事)、慶應義塾大大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さん(アドバイザー)、ANAホールディングス執行役員で未来創造室長の津田佳明さん(理事)を中心に一般個人や企業、各自治体で構成。「教育工学」「観光学」「幸福学」の視点から旅を科学的に検証している。
プロジェクトツアーのタイトルは「本と旅する やまがた庄内」。今月8日から10日までの2泊3日の日程で、湯野浜100年キッチン―善寳寺―ショウナイホテルスイデンテラス―土門拳記念館―山居倉庫―ミライニ酒田市立図書館―ピノコッリーナファームガーデン&ワイナリー松ケ岡を巡るコースを組んだ。今回は読書環境が充実した酒田市と鶴岡市を候補地に選んだ。
宿泊客用に約2000冊の本を用意している鶴岡市のスイデンテラスでは、ツアー客がそれぞれお気に入りの本をチョイス。田園が広がる景色を背景にゆったりとした時間が流れる時を過ごした。最終日に訪れたワイナリー松ケ岡ではワインの試飲やテラスランチ、「野外読書」を楽しんだ。
ツアー参加者は「スマホを使わない時間帯が増えデジタルデトックスにつながった」「子育てに忙しく読書する時間が取れなかったが今回のツアーを通して自分と向き合い自己肯定感が高まった気がする」「藤沢周平の小説に登場したみそが実際に売られていて本の内容とリンクして良かった。リアル感もより一層強くなった」と好評だった。
協議会メンバーの一人で丸善雄松堂(東京都中央区)の岩田千穂さんは「庄内は読書の旅にマッチしている地域の一つだと思う。これからも『本』という共通のキーワードで集まった参加者同士の出会いの機会となり交流が生まれる旅を探っていきたい」と話した。
協議会ではこの後、ツアー参加者のアンケート結果を集約しながら来年春をめどに「本」と「旅」をテーマにした具体的な商品開発(ツアー)を目指す。
2024年(令和6年) 11月15日(金)付紙面より
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観光に関する国際認証団体「グリーン・デスティネーションズ」(本部・オランダ)による2024年版の「世界の持続可能な観光地トップ100選」に、鶴岡市の手向地区が選ばれた。1400年にわたる山岳信仰の伝統に基づく住民によるまちづくりの取り組み、持続可能な観光開発の取り組みが評価された。今回、日本から選定されたのは手向地区など5地域。先月16日に公表された。
トップ100選の選出は世界中の観光地から優良事例を募集して14年から毎年行い、観光地管理、自然と景観、文化と伝統などの観点を審査対象としている。今回は45カ国から170件以上の応募があり、この中から32カ国の100地域が選ばれた。12月にチリで授賞式が開催される。日本からは手向地区のほか、岩手県の遠野市と釜石市、長野県千曲市、京都府宮津市が選出された。
手向地区は、同地区自治振興会(勝木正人会長)が「礼拝と観光に基づく手向地区の発展」のタイトルで取り組みを応募し、「文化と伝統」分野で100選に選ばれた。出羽三山の一つ羽黒山の麓にある山岳信仰の地として、宿坊文化や修験道などの文化的資源を生かしたまちづくりを進め、住民によるワークショップなどを通して「信仰と観光」をテーマにした将来ビジョンを作成。北海道大大学院の協力で、手向地区の歴史的・文化的な価値の明確化に向けた調査活動や、保存と観光促進に関するガイドライン作成などにも取り組んでいる。
100選の選出について、勝木会長は「地域の独自の文化と歴史を守り育てる取り組みが世界に認められた。これを機に、さらに持続可能な観光地としての発展を目指したい」と話している。