2024年(令和6年) 11月19日(火)付紙面より
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酒田市指定無形民俗文化財「庄内出羽人形芝居」を受け継ぐ人形遣い師、津盛柳貳郎(本名・斎藤均)さん(70)=同市広野=の襲名40周年を記念した特別公演が16日、同市の松山城址館で開かれ、秋田県鳥海村(現・由利本荘市)で明治初期に誕生した「猿倉人形芝居」(秋田県無形民俗文化財)と共演。集まった100人余の観客を魅了し合った。
庄内出羽人形芝居は、猿倉人形芝居の高度な技術を故・津盛柳太郎さんが習得、工夫・独特な芸風を取り入れて生まれた。柳太郎さんに師事した斎藤さんは1984年に柳貳郎を襲名し技を受け継いでおり、日本だけでなく海外でも公演し高い評価を受けている。2010年に市制定「庄内文化賞」を受賞。その2年後に市無形民俗文化財に指定された。
この日は猿倉人形芝居を継承する3団体のうち木内勇吉一座(秋田県由利本荘市)が出演し、ユーモアあふれる「三番叟(さんばそう)」で場を清めた後、ヒヒ退治で有名な「岩見重太郎」、女性と和尚のやりとりを描いた「鑑鉄坊さんの花傘踊り」の3番を上演。柳貳郎さんはおはこの「春日熊野丞たぬき退治」、オリジナルの音楽に合わせて若い娘と和尚さんが華やかに舞う「出羽人形ばやし傘踊り」を披露した。一番終わるごとに満席となった会場から大きな拍手が送られた。
城址館に隣接する松山文化伝承館では現在、資料や写真パネルを通して柳貳郎さんのこれまでの歩みを紹介する企画展「現在(いま)に生きる庄内出羽人形芝居―津盛柳貳郎襲名40周年記念展」が開かれている。会期は12月15日(日)まで。問い合わせは松山文化伝承館=電0234(62)2632=へ。