2024年(令和6年) 11月26日(火)付紙面より
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第21回全国藩校サミット盛岡大会が23日、岩手県盛岡市の同市民文化ホールで開かれた。庄内からは旧庄内藩主酒井家第18代当主の酒井忠久さん(78)=致道博物館名誉館長、日本美術刀剣保存協会長=夫妻、致道館文化振興会議(会長・橋本政之荘内日報社社長)の役員・会員14人、全国から44藩の藩主家当主ら約1200人が参加。「盛岡宣言」で、かつての藩校教育の伝統や精神を次代の人づくりにつなぐ決意を新たにした。
全国藩校サミットは一般社団法人漢字文化振興協会が主催し2002年に東京・湯島聖堂で第1回を開催。07年には庄内藩校・致道館のある鶴岡市で第6回大会が開かれた。
達増拓也岩手県知事はあいさつで県出身の大リーガー・大谷翔平、菊池雄星両選手らの活躍も紹介。内舘茂盛岡市長は盛岡藩校・作人館が輩出した多くの先人の生き方を学ぶ「先人教育」で子どもたちの郷土愛を育む取り組みを紹介した。
作人館の流れをくむ市立仁王小学校の6年生50人が、平民宰相・原敬ら同校出身者について学んでいる「先人教育」の成果を劇や合唱で熱演した。
座談会は徳川宗家第19代当主の徳川家広さん(59)、水戸徳川家第15代当主で漢字文化振興協会長の徳川斉正さん(66)、盛岡藩南部家第46代当主の南部利文さん(54)が登壇した。
斉正さんは「子どもの頃、歴史の授業になると先生からいじられた」と末裔(まつえい)ならではのエピソードで会場を和ませた。家広さんは「常識が壊れた時は歴史に学ぶ。各藩校で歴史的事例をたくさん学んでいたからこそ、日本は幕末の変動期を乗り超え西洋化に成功した。時代の変化に対応した藩校の精神、教育は今の日本にとっても非常に重要だ。自分のためだけでなく地域のため、国のため、世界のために役立つという教育・精神はこれからも受け継いでほしい」と強調した。
南部さんが「盛岡宣言」で「目まぐるしく変化し続ける時代に、先人たちが連綿と受け継いできた崇高な精神を決して途絶えさせることなく、さらに磨き上げ、世界中の人々の豊かな未来を紡ぐ『人づくり』に貢献していく」と誓った。致道館文化振興会議の橋本会長は「庄内では今春に開校した中高一貫校の名称に藩校名『致道館』が冠された。藩校の精神がこれからの人づくりに生かされることを期待している」と話した。
来年の第22回大会は11月に福岡県朝倉市(秋月藩)で開かれる。