2024年(令和6年) 11月27日(水)付紙面より
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鶴岡市日吉町で長らく地元住民から親しまれてきた「天満大自在天(てんまんだいじざいてん)神社」が同市内の荘内神社(石原純一宮司)境内へ移され25日、荘内神社で遷座祭が行われた。日吉町の住民有志などが参列し、昔から伝わるご神体の菅原道真像を新しい社にお迎えした。
天満大自在天神社は、500年ほど前の16世紀ごろに最上家重臣で六軒小路に住む早田理右衛門が、大宰府天満宮より白梅と共に御神霊を勧請したとされる。学問の神や雷神として神格化された道真公を祭るのが天満大自在天神社であり、学業成就や受験合格、疫病退散などのご利益があるという。
1622(元和8)年、酒井忠勝公が信州松代から庄内に入部した際、領内で行列を進めていると小路の奥に梅の古木と天満宮があることに気付き、祭典の日には毎年欠かさず家臣を代参させていたという。
時代は移り1962(昭和37)年、天満大自在天神社がある土地を山形銀行が取得し、同行鶴岡駅前支店が設置された。翌年、日吉町有志が天神講を組織し、毎年5月25日の祭典は多くの参拝者でにぎわった。
その後、鶴岡駅前支店が鶴岡支店(本町二丁目)内に移転し、2022年に鶴岡駅前支店跡の敷地を石庄建設(鳥居町)が取得した際、老朽化した同神社社殿の維持管理が問題となった。天神講、山形銀行、石庄建設の3者は、酒井家の縁で天満大自在天神社の祭事を務めてきた荘内神社の石原宮司に相談したところ、荘内神社境内へ遷座し末社として継承することになった。
今月初め、荘内神社宝物殿西側に新しい社殿が建立され、向かって左側には荘内神社と親交がある岩津天満宮(愛知県岡崎市)から贈られた紅梅が植えられた。来春には太宰府天満宮から白梅が届けられるという。また、阿部多グループ(鶴岡市文下)が創設100周年記念事業の一環として朱色の鳥居を寄贈した。
遷座祭には日吉町の住民や山形銀行鶴岡支店関係者、天満大自在天神社の責任役員など20人余りが参列。神職や崇敬者などによる行列が斎館を出発し、新しい社殿へ道真像を運んだ。社殿前で神事が行われ、石原宮司が祝詞奏上。関係者が玉串をささげ、神様の“引っ越し”を祝った。
石原宮司は「新しい社殿の向こうには致道館高校が見える。学業成就のご利益もあるので多くの方にお参りしてほしい」と話した。