2024年(令和6年) 11月28日(木)付紙面より
ツイート
サケの溯上(そじょう)数が本州でトップクラスを誇る遊佐町の月光川水系で、水揚げがようやく本格化した。同町直世(すぐせ)の箕輪鮭漁業生産組合採捕場では24日、清流で知られる牛渡(うしわたり)川に仕掛けた鉄製のわなに入ったサケ500匹近くを捕獲、人工ふ化のためすぐに採卵、受精作業を行った。
同水系での平年遡上数は10万匹を超える。しかし近年は不漁続き。今季も平年の3分の1弱にとどまっているが、日によっては400匹ほどが上がるようになり、ようやく活気づいてきたという。
採捕場が月光川河口から約1・5キロと近いため、体力をあまり消耗することなくさかのぼってきたサケは元気いっぱい。組合員らは、跳ね回るサケの頭部を縄文人も使ったとされる木製のこん棒でたたき気絶させた。
続いて採卵作業。捕獲したばかりの雌サケの腹を鋭利な刃物で割くと、鮮やかなオレンジ色をした宝石のようなイクラがどっとあふれ出た。同組合の佐藤仁組合長は、7月25日の大雨で牛渡川も氾濫したものの早期に土砂のしゅんせつを終えたため、「サケの溯上には影響していないと思う」とし、今後の漁に期待をかけた。