2024年(令和6年) 11月29日(金)付紙面より
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県は19日、県の「里の名水・やまがた百選」に本年度、新たに7カ所の湧水を選定したと発表した。庄内地域からは、鶴岡市下川の「七窪地蔵清水」と、同市田麦俣の「柳清水」の2カ所が選ばれた。来月4日に県庁で、保全団体の代表者らへの選定書交付式が行われる。
県は、水環境を大切にする心と郷土愛を育むとともに地域活性化を図り、観光資源としての活用につなげることを目的に、2015年度から選定事業を行っている。今回を含め、これまでに82カ所の湧水が選定されており、庄内地域は30カ所となった。県は選定基準として▽良好な水質と水量を有する▽地域住民などによる保全活動が行われている―に加え、親水性と利活用、自然景観などの項目を設け、高い評価を得た湧水の中から「里の名水」を選定している。
2024年(令和6年) 11月29日(金)付紙面より
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酒田市が制定する「新田産業奨励賞」の授賞式が27日、同市のガーデンパレスみずほで開かれ、矢口明子市長が受賞した1個人3企業に賞状などを手渡した。
同市名誉市民で平田牧場グループ会長の新田嘉一氏(91)=楢橋=による多額の寄付をもとに基金を造成し1990年に創設、先進的な取り組みで地域産業の振興に貢献し、他の模範となる市内の企業・団体・個人を顕彰している。新市誕生後の2006年、旧平田町で行われていた同様の制度を合わせ一本化した。
本年度は、酒田の伝統工芸品「船箪笥(だんす)」の再興に向けて尽力する加藤渉氏(50)=北今町、品質にこだわった酒造りに徹し今年6月には「上喜元酒田早生」を発表した酒田酒造(日吉町二丁目、佐藤正一社長)、観光工場「オランダせんべいFACTORY」を開設、交流人口拡大に寄与している酒田米菓(両羽町、佐藤栄司社長)、県内でいち早く高性能機械を導入するなど林業の効率化を進める遠田林産(上青沢、遠田勝久社長)の1個人3企業が受賞した。
この日は矢口市長が受賞者・社の功績を紹介した上で、「地域産業の裾野を広げ、産業の振興に貢献した個人・団体のさらなる飛躍への励みにしてもらうことがこの賞の目的。受賞を契機になお一層の活躍・繁栄を期待する」と式辞、賞状と記念の盾を手渡した。
祝辞で新田嘉七平田牧場社長は新田会長のメッセージを紹介、「地元で頑張っている皆さんからさらに活躍してもらいたいとの思いで創設した賞。皆さんは酒田の未来を明るく照らす希望の光。これまでの努力に敬意を表し、今後の活躍を心より応援する」と述べた。
これを受けて加藤氏、佐藤正一社長、佐藤栄司社長、遠田社長が登壇しそれぞれ、さらなる飛躍を誓った。
引き続き記念講演が行われ、同市出身で市最高デジタル変革責任者(CDO)の本間洋氏(68)=NTTデータグループ相談役=が「変わらぬ信念と変える勇気」と題して講話。「デジタル変革(DX)は目的でなく、生産性向上や社会課題の解決、事業の成長に向けた手段・道具」、そして「変わるということは意外と楽しいこと。楽しみながら変革・変化を」と呼び掛けた。
2024年(令和6年) 11月29日(金)付紙面より
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「そっとのぞいてみてごらん♪みんなでおゆうぎしているよ♪」―。鶴岡市立加茂水族館(奥泉和也館長)の淡水魚コーナーに本物の「めだかの学校」がお目見えした。
水族館と連携して展示学習(衣替え)を進めている同市の加茂水産高校の生徒が「水族館に来た人たちを楽しませよう」という遊び心で考えた。縦横約1メートルの水槽の中にミニチュアの黒板や生徒と先生の机、掃除用のバケツを備え付け、見事に「教室」を演出。黒板には「めだかの学校」の歌詞を書いた。
昔は田んぼの水路や小川に多くいた「ニホンメダカ」(キタノメダカとミナミメダカの総称)も今では絶滅危惧種に。「教室」の中を悠々と泳ぎ回るキタノメダカの姿に「見ていると愛おしくなってくる」「メダカの学校そのものだね」と来館者の笑顔を誘っていた。
「めだかの学校」の作詞は茶木滋、作曲は中田喜直。1951(昭和26)年にNHKのラジオ番組の中で発表された。今でも童謡の不朽の名作の一つとして多くの人に親しまれている。
加茂水産高校の生徒たちは「学校っぽさを出すためにレイアウトの仕方やメダカをどれくらい入れた方がいいか工夫してみた。今回の展示を通してメダカの魅力とメダカが生息できる自然環境を守っていこうという思いが生まれればいいなと思う」とメッセージを添えている。しばらくの間、展示している。
2024年(令和6年) 11月29日(金)付紙面より
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酒田市名誉市民で世界的写真家・故土門拳さん(1909―90)の写真作品の中から、「質感」に焦点を当てた「土門拳のマチエール!」展が、同市飯森山の土門拳記念館(佐藤時啓館長)で開かれている。
フランス語の「マチエール」とは英語の「material(マテリアル)」と同じ意味で、作品の材質や質感を表す絵画的な言葉。土門さんは青年期、画家に憧れていた時期があり、写真家として大成後も雑誌の取材などで「マチエールの問題こそ近代油絵の重要な課題であると同時に、油絵とは全く違った意味で近代写真の重要な課題だと思う」と話すなど、絵画的な視点から写真について語っている。被写体の質感や触感に焦点を当て、仏像写真をクローズアップした「古寺巡礼」や1948年に発表した連作「肉体に関する八章」などから厳選した計161点を展示した。
皮膚の質感が伝わりそうなほど1匹のカエルを画面いっぱいに大きく撮影した「肉体は地に伏せど、神これを召し給(たま)わず」、傘、足袋、筆などさまざまな職人の「手つき」をクローズアップして写した連作「職人の手」、土門さんが「まるまるとふくらんだ下腹、指を突込んでくすぐりたくなるような大々としたお臍(へそ)」と、仏像の形から伝わる魅力や質感を語ったという「薬師寺金堂日光菩薩立像腹部」など、見る人の触覚に訴えるような作品が並ぶ。
展示は来年1月19日(日)まで。第43回土門拳賞を受賞した石川真生さん(沖縄県)の作品展「石川真生私に何ができるか」も同時に開催している。