2024年(令和6年) 11月30日(土)付紙面より
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いよいよ年の瀬。普段に増して飲酒の機会が多くなるが、酒を飲んで車を運転することはもちろん厳禁。そして車だけでなく、改正道路交通法によって、11月1日から自転車の酒気帯び運転も厳罰化された。これまでは「酒気を帯びて運転してはならない」との規定はあったが、罰金や懲役が科されることになった。酒類の提供者も同様の扱いになる。
飲酒運転で事故を起こせばその後の人生が暗転する。仕事を失うことがあれば、生活が立ち行かない。アルコールと酔いの状態には個人差があるが、ビール1本、日本酒1合で陽気になって判断力が鈍るという。飲酒量にかかわらず、とにかく飲んだら自動車も自転車も乗ってはならない。
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街にジングルベルがにぎやかに流れ、一年を振り返ろうという忘年会も多くなる。忘年会に限らず、仕事帰りに飲酒する機会も多いが、酒は注意力を鈍らせる。山形県警の調べで、2024年10月末現在、自動車を飲酒運転して検挙された者は40人(鶴岡署管内19人、酒田同18人、庄内同3人)で、県全体の約27%を占めている。検挙件数は土曜と日曜に多い。週末は気が緩むのだろうか。
これまでは「飲んだら車に乗れないから、自転車で行こう」という人もいただろう。しかし、自転車の酒気帯び運転の罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に厳罰化された。自転車に乗ると知って酒を提供したなどの場合も懲役や罰金が科される。自転車事故による重大事故も起きている。「自転車も飲んだら乗らない」を、固く心に刻まねばならない。
改正道路交通法で、スマートフォンを見ながら自転車に乗る「ながらスマホ」も取り締まりの対象になった。ながらスマホでは、つい視線はスマホに集中してしまう。もちろん前方の状況にも視線が注がれているとしても、注意力が散漫になっていては、自転車と言えども安全な運転はできない。「自分は大丈夫」と思うのは過信だ。
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自転車でのながらスマホが減らないのは、危険であることを十分認識していないせいだろうか。街の中ではスマホを握り締めている人が目立つ。いっときも手放せないのは、あふれる情報を見逃してはならないという意識が働いているのか、それとも体の一部として溶け込んでいるためだろうか。だが、ながらスマホは危険だ。
都会のように公共交通機関が整備されていない地方は、車に頼らざるを得ない。もちろん自転車も。だが飲酒で運転免許を取り消され、運転できなくなった時の生活の“損失”を考えれば飲んだら乗らないは鉄則。タクシー代や運転代行の料金も飲み代のうちとして用意しておくのが賢明だ。車代を惜しんで取り返しがつかなくなる事態を避けるためにも、飲んだら乗らないは、社会の決まり事だ。