2024年(令和6年) 11月30日(土)付紙面より
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山形大学農学部(渡部徹学部長)が中心となって取り組んでいる循環型農村経済圏(庄内スマート・テロワール構想)で生み出した「スマテロ食品」が充実してきた。これまで商品化したのは庄内豚のベーコンやあらびきウインナー、庄内産小麦を使った鶴岡名物の麦きりなど7品。来年1月には生パスタと餃子の皮が新商品としてラインアップに加わる予定だ。
庄内スマート・テロワール構想は、庄内というエリアの中で「農」と「食」を循環させ、持続可能な食糧自給を目指す。山大農学部や生産農家、加工食品会社、飲食店、地元スーパーが「ワンチーム」になり2016年に本格スタートした。
庄内産小麦「ゆきちから」は鶴岡市の羽黒・藤島・西郷地域を中心とした農家が栽培。地元食品会社などが収穫した小麦を使って中華麺や麦きりに加工して販売している。庄内産大豆の「スマテロ納豆」は鶴岡市の主婦の店と酒田市のト一屋で定期的に販売しているが毎回売り切れる人気商品だ。
年明けに売り出すのが生パスタと餃子の皮。富樫製麺(鶴岡市神明町、富樫拓也代表取締役)が庄内産小麦を原料に開発した。いずれも無添加にこだわりモチモチとした食感と小麦の味が楽しめるよう仕上げた。今のところ地元スーパーと産直施設で販売を予定する。
富樫代表取締役は「特に生パスタは庄内産ゆきちからの配合をどのようにすればおいしくなるか、鶴岡南銀座通りのレストラン『ハレトケ』さんと一緒になって試食を繰り返し、黄金比率を引き出した。これからも地元農家が栽培した作物を地元で消費する取り組みに協力していきたい」と話した。
山大農学部の浦川修司教授は「スマテロ食品は生産農家や民間企業の協力を得て開発してきたが、だいぶ出そろってきたな、という感はある。これからも循環型農村経済圏の社会実装を進めていきたい」と語った。来年の夏には庄内豚の「スマテロ生ハム」がデビューする。