2024年(令和6年) 12月1日(日)付紙面より
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酒田北港(酒田市)の開港50周年記念式典が29日、酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた。物流やにぎわいの拠点として本県経済を支えてきたこれまでの歩みを振り返り、より一層飛躍していけるよう一丸となって活性化に取り組んでいく決意を新たにした。
酒田北港は、最上川河口部に位置する酒田港本港地区の取扱貨物量の増大、船舶の大型化に伴って1970年に起工し74年11月1日、第1船入港をもって開港した。
中国黒龍江省ハルビンとの間に「東方水上シルクロード」(92年)、韓国・釜山港間に定期コンテナ航路(95年)を開設。その後、総合静脈物流拠点港(リサイクルポート港、2003年)、国直轄港湾整備事業着手対象「重点港湾」(10年)、リサイクル貨物分野「日本海側拠点港」(11年)と指定・選定が相次ぎ、経済交流を支える物流拠点港として機能している。
コロナ禍の影響で中断していた大型クルーズ船の寄港も昨年に再開し、今年はこれまでで最も多い8隻が寄港。さらに今年4月には本県沖で進む洋上風力発電の事業化に向け、港湾法に基づく国土交通省「海洋再生可能エネルギー発電等拠点港湾(基地港湾)」の指定を受け、新たなスタートを切った。
この日の式典は県港湾協会(会長・吉村美栄子県知事)、酒田港湾振興会(会長・矢口明子酒田市長)が主催し、国や県、庄内地域の行政・経済関係者ら計約150人が出席。主催者を代表し吉村知事が「酒田港の活性化、本県の経済の発展につながる取り組みを力強く推進したい」、矢口市長が「未来に向かって一層飛躍できるよう、利用促進とにぎわい創出に取り組んでいきたい」とそれぞれあいさつした。
渡邊茂国土交通省東北地方整備局副局長、加藤聡酒田商工会議所会頭、新田嘉一庄内開発協議会最高顧問が祝辞。くす玉を割って節目を祝った。
引き続き東北整備局長や県土木部空港港湾課長など歴任した岡田光彦国際航路協会副会長が講演、「酒田はたびたび訪問したが、港湾振興に懸ける思いがひしひしと感じられた」などと述べた。
2024年(令和6年) 12月1日(日)付紙面より
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鶴岡市の冬の風物詩「切山椒(きりさんしょう)」作りが市内の各菓子店で最盛期を迎えた。
切山椒は、明治後期に一日市町(現・本町二丁目)にあった菓子店「長崎屋」の主人が東京・浅草の仲見世で酉(とり)の市で売られていた菓子をヒントに作ったのが始まりとされる。もち米に砂糖と山椒の粉を練り込んで作る短いそば状の餅菓子で、毎年12月17日の七日町観音堂のお歳夜(としや)に開かれるだるま市に、だるまとともに縁起物として並び、年の瀬の縁起菓子として100年以上も親しまれてきた。
つるおか菓子処「木村屋」(吉野隆一社長)では、11月中旬から同市覚岸寺のファクトリーストア工場で製造を始めた。職人が板状の餅菓子を機械で裁断し、その際、刃に餅菓子がくっつかないように振ったでんぷん粉を、袋詰めする前にふるいで払う作業を行っている。13日までに、黒砂糖入りと白砂糖入りの「切さんしょ」2種類合わせて1万9200箱を販売する。吉野社長は「サンショウは家の鬼門に植えられ、厄よけの意味がある。厄を払って良い年が迎えられることを願って召し上がってほしい」と話していた。
2024年(令和6年) 12月1日(日)付紙面より
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自衛隊の炊き出し訓練や防災グッズ展示などを通し、地域住民から防災への知識を深めてもらう「まちなか防災フェスタ」が30日、鶴岡市の鶴岡銀座商店街で開かれた。家族連れなどが足を運び、鶴岡市ではめったに見られない野外炊事車や、水だけで調理できる食料品など各種防災グッズを見学した。
地域住民が防災への知識を深め、日頃から実践的な防災活動に取り組むための意識醸成を図ろうと、本町一丁目第三町内会(佐藤充夫会長)主催、鶴岡銀座商店街振興組合や鶴岡みゆき通り商店街などの協力で初めて開催した。
イベントは午前10時にスタート。メインの自衛隊炊き出し訓練には、東根市の神町駐屯地から訪れた第20普通科連隊重迫撃砲中隊の隊員9人と、自衛隊山形地方協力本部鶴岡出張所の谷宏所長が参加した。隊員たちは早朝から野菜の下ごしらえをし、会場で野外炊事車にカレールーや肉と一緒に煮込んで約200人分のカレーライスを作った。
車上では、テニスラケットほどもある木べらやお玉を使って隊員たちがカレーをかき混ぜ、付け合わせのソーセージのゆで作業と米の炊飯も同時に行われた。訓練を見守る市民へ谷所長が「この部隊は鶴岡市、三川町、庄内町の担当で災害時に駆け付けて救助や炊き出しを実際に行う。一昨年の年末に発生した鶴岡市西目の土砂崩れや今年7月の豪雨災害でも活躍した」と説明した。
このほか鶴岡市消防本部の消防車をはじめ、東北電力ネットワーク鶴岡電力センターの高所作業車など災害時に活躍する各種車両、県や市、地元企業などがAED(自動体外式除細動器)や非常パック、防災食など各種防災グッズを展示。親子連れなどが見学し、防災への意識を高めていた。
2024年(令和6年) 12月1日(日)付紙面より
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県少年警察大学生ボランティアと酒田第一中学校(阿部周校長)の有志生徒がネットトラブルの被害防止を呼び掛けようと作成していたタブレット用壁紙の完成報告会が26日、酒田警察署(小川広治署長)で行われ、参加した生徒と学生に感謝状が贈られた。
同署などによると、2023年に全国で検挙された特殊詐欺の受け子のうち、5人に1人が20歳未満の少年。また、ゲートウェイドラッグといわれる大麻事案では少年1222人が検挙され増加傾向にあり、SNSなどで誤った情報が発信されていることなどが原因と考えられるという。一方、SNSなどに起因する事案で被害を受けた子ども(18歳未満)は1665人で、このうち小学生は139人、小学生の被害は10年前に比べ5倍に増加し、同署管内でもネット上での誹謗(ひぼう)中傷やトラブルなどの相談件数は増加しているという。
県警では児童・生徒が被害に遭わないよう、小中学生が利用している学習用タブレットに着目。若い世代の視点を取り入れ、被害防止を呼び掛ける壁紙を作成し、子どもたちに活用してもらおうと大学生ボランティアと酒田一中の協力で実施した。タブレット壁紙の作成による啓発は県警で初の取り組み。
壁紙作成は今年9月に行われ、大学生ボランティアの東北公益文科大の学生7人と酒田一中生3人が参加。参加者たちは意見を交換しながら同署が提供したフリー素材などを使い、「立ち止まって考えよう イジメ、書き込み、闇バイト」などのメッセージが書かれた計21点のデザインを完成させた。
この日の完成報告会には県警の岡崎浩隆生活安全部長をはじめ赤坂宜紀市教育長らが出席。岡崎部長が作成に携わった生徒3人と代表学生2人に感謝状を手渡した。
公益大4年の内山満月さん(21)は「自分たちは中学生の時にタブレットを使っていなかったので、学校での使用方法や役割を中学生たちから教えてもらいながら作成した。低学年にも伝わるよう、絵だけでなく漢字や言葉使いなども工夫した。壁紙を見た小・中学生のネットトラブル防止につながれば」、酒田一中2年の本宮想愛(そな)さん(13)は「絵を描くのが好きで、自分の好きなことでまちを守る活動に参加することができて良い経験になった。壁紙を通してネットトラブルが予防できたら」とそれぞれ話していた。壁紙は今後、市教育委員会を通して市内の小・中学校に配布し、児童、生徒がダウンロードできるように整備するという。