2024年(令和6年) 12月4日(水)付紙面より
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鶴岡地区を中心にした庄内地域の文芸愛好者でつくる「らくがき倶楽部」(佐々木秀子会長)が表彰する、2024年度(第54回)の「らくがき文学賞」と、郷土出版記念の「畠山弘賞」「大泉散士賞」の「らくがき三賞」の授賞式が1日、鶴岡市の新茶屋で行われた。文学賞は、認知症の母親の介護体験をつづった「わっしーメモ」を荘内日報紙上に連載し、出版した公益社団法人認知症の人と家族の会県支部世話人副代表の鷲田良平さん(53)=鶴岡市、荘内日報社販売部長=に贈られた。
らくがき文学賞は、同倶楽部が1970(昭和45)年に制定し翌71年から表彰を行っている。荘内日報に掲載された随想や随筆、紀行文、紙面で紹介された出版物などの中から最も優れていると認められた作品に贈られており、これまでの受賞者は37人(うち1人は特別賞)。また、前年度に出版されたさまざまな分野の郷土の作品から選ぶ、畠山弘賞には池田道正さん(85)=鶴岡市=の「野に生きた絵師 池田月潭の画跡」、大泉散士賞には井東敬子さん(57)=同=の「ナリワイ起業」が選ばれた。
同倶楽部は今年、創立60周年を迎えたのを機に、創設時の発起人メンバーでもあり、庄内地方の出版文化に大きく貢献した故畠山弘氏、故大泉散士(本名・阿部整一)氏の功績をたたえ、郷土出版記念賞に両氏の名前を付して命名。これまでの文学賞と合わせ「らくがき三賞」の呼称とした。
授賞式には約20人が出席。佐々木会長が「昨年亡くなられた畠山氏は生前、『らくがきは、文芸の礎であり、創作の始まり』と力強く話されていた。今後もらくがき三賞の贈賞を続けたい」とあいさつし、3人にそれぞれ賞状と盾、記念品を贈った。来賓代表で荘内日報社の橋本政之社長がお祝いの言葉を述べた。
受賞者が出版の経緯や本に込めた思いをスピーチ。鷲田さんは「介護は大変でつらいことが多いが、わっしーメモには楽しいこと面白いことをあえて書いた。この本が介護家族の方々に少しでも役立てばうれしい」、明治から大正時代にかけて活躍した縁戚に当たる池田月潭の生涯を作品とともに紹介した池田さんは「多くの人々の協力で、月潭の生の歴史の一端を知ってもらうことができた」、鶴岡に移住して14年になるという井東さんは「らくがき倶楽部の賞を受賞して、ようやく鶴岡人になれた感じがする」とそれぞれ語った。授賞式後は、記念撮影と祝賀懇親会で3人の受賞を祝い合った。