2024年(令和6年) 12月4日(水)付紙面より
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インバウンドの回復に伴うフードダイバーシティー(食の多様性)に対応しようと、宿泊施設や飲食店を対象としたハラール食やベジタリアン食の入門セミナーが11月28日、鶴岡市の総合保健福祉センターにこ・ふるで開かれた。料理家で世界各地の地域フードプロデュースを行う比嘉康洋さんが、ベジタリアンの考え方や市販品の活用などについて話すとともに調理のデモンストレーションを行った。
鶴岡市では山形大農学部の留学生のうち3分の1以上がイスラム圏の出身者であることや、インバウンドの回復で菜食主義の旅行者が増えるなど「ハラール&ベジ」に備えようと、鶴岡商工会議所が会員の宿泊施設または飲食店の経営者や料理人などを対象に開いたもので12人が参加した。
ベジタリアン(菜食主義)とは一般的に肉類は食べずに魚類や乳製品はOK、完全菜食主義のヴィーガンは動物性のものはもちろん乳製品や卵、動物の骨などから取っただしも摂取しない人のことをいう。ハラールはイスラム法で「許されたもの」を意味し、牛肉や鶏肉は食べられるが禁じられている豚肉や両生類の食材、アルコールを使った調味料は食べられないという。
比嘉さんは「ベジタリアンの中にも段階があり、乳製品や卵は摂取するが肉や魚は駄目な人もいる。宗教やその土地の文化によるもののほかに、健康上であるとか動物保護など理由はさまざま。自分はチェックシートを作って客に何が食べられるかなどを記入してもらい、柔軟に対応している」と話した。
さらに大豆ミートや植物性ツナ、ソーセージ、動物性のものを使わないデミグラスソースやチーズ、マヨネーズなどを紹介しながら、キノコの豆乳グラタンやヴィーガンフィッシュタルタル、大豆油淋鶏などを作り、「既存のメニューに市販のヴィーガン対応食材を合わせ、どう工夫すれば対応が可能になるか考えておくとよい」とアドバイス、「鶴岡は風土や精神文化などの影響を受け、さまざまな食文化があり、既にフードダイバーシティーといえる。地域全体でフードダイバーシティーに取り組むことで、選ばれる観光地になれるし店の魅力と価値が生まれる」と話していた。
参加した遠藤和彦さん(ナチュラリテ)は「野菜中心のレストランなので、普段からベジタリアンには対応している。調理器具なども分けなければならないハラールに対応するには、もう少し検討が必要」と話していた。