2024年(令和6年) 12月5日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡工業高情報通信科の生徒たちが、AI(人工知能)を活用した養蚕の自動化に向けた取り組みを進めている。昨年度の研究を引き継ぎ、3年生5人が本年度、飼育中の蚕の頭数をカメラで読み取り自動的に数えるシステムを構築。先月28日には、実際に使用する鶴岡市の松ケ岡開墾場3番蚕室で、養蚕担当者にデモンストレーションを行い、取り組みの成果を披露した。
5人は課題研究の授業で構築を進めた。昨年度の3年生が作成したAIカメラを使い、6月から校内で約300匹の蚕を飼育しながら成長過程に応じて約1000枚の写真を撮影。データをAIに学習させ、蚕を認識するプログラムを組み上げて認識率を向上させ、温度と湿度を測る機能も加えた。
3番蚕室では毎年、同開墾場を管理する地元の松ケ岡産業が6月に「春蚕」、9月に「晩秋蚕」を飼育する。このうち春蚕は、鶴岡市の委託で保育園や幼稚園、小学校向けに約2・5センチに成長した蚕30匹と餌の桑の葉を一緒にした「飼育キット」を無料配布し、例年50施設分ほどを準備している。
飼育を担う松ケ岡産業の清野忠常務(62)は「配布する蚕の数に合わせて桑の葉の量を調整している。多くのキットを用意するため、自動化は大変助かる」と評価。班長の大滝空さん(18)は「5人が協力し合い、認識率を向上させることができた。改善の余地はまだあり、研究を後輩に引き継ぎたい」と話した。