2024年(令和6年) 12月10日(火)付紙面より
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「大黒様のお歳夜(としや)」の9日、庄内の鮮魚店は大黒様にお供えするハタハタ焼きの作業に追われた。長く庶民の味として親しまれてきたが、近年は庄内浜の水揚げが減少し価格が高騰。今年は天候不順が続き漁船が漁に出られない日が続いているため、鮮魚店やスーパーでは地物ハタハタの仕入れに苦慮したという。
創業60年を超える老舗の坂尾鮮魚店(鶴岡市千石町)では、2代目店主の坂尾和彦さん(62)が午前2時からハタハタ焼きの作業に追われた。焼くのは地物と秋田県産が半々で、合わせて約300匹。午前中に全て焼き終え、午後からみそを付けて田楽にして客へ引き渡すという。
坂尾さんは「今年はいつもの3分の1ほどしか焼かない。天候が悪くて船が(漁に)出ておらず、ハタハタの仕入れがとにかく大変だった。お客さんからの注文に『仕入れの数によってはお断りすることもある』と説明するのが鮮魚店としてつらい」と話す。
同市内の他の鮮魚店からは「10~20匹ほどしか仕入れられなかった」「なじみのお客さんの分だけ確保して店頭では売らない」という声も聞かれた。近年の不漁に加えて天候不順による出漁できない状況が影響し、スーパーや鮮魚店では価格が高騰。ハタハタ焼きの大黒様へのお供えを取りやめる家庭もあるという。