2024年(令和6年) 12月11日(水)付紙面より
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市内循環バスの大幅な拡充で地域公共交通の確保・維持に顕著な功績があったとして、庄内交通(鶴岡市、村紀明社長)と鶴岡市の2者連携の取り組みが、本年度の地域公共交通優良団体の国土交通大臣表彰に選ばれた。国交省が9日、発表した。16日に国交省本省で表彰式が行われる。
庄内交通は2022年10月、市と連携して、高齢者の移動手段の利便性向上などを目的に、市街地を巡る路線バスを再編した。それまでの平日2コース12便から、土日曜祝日を含めた毎日の3コース48便へ運行を大幅拡大。バス停も58カ所から79カ所に拡充した。同時に、車両も中型バスから12人乗りの小型車両に変更し、住宅街でもスムーズに運行できるようにした。運賃は一律300円。運行に向け、市は事前の住民向け説明会や意向調査、高齢者割合が多いエリアの抽出などで連携し、利用促進に向け連携した。
国交省は、利用が低迷する市内循環線を再編し、きめ細かな運行ルートの設定によって高齢者をはじめとする住民の利便性を向上させ、地域への積極的な利用促進の働き掛けなど、利用者を従前の約5倍に増やしたことなどを評価した。地域公共交通部門での大臣表彰は全国で5件が選ばれた。
運行開始後、庄内交通には各方面から視察に訪れている。同社の村社長は「全国で5事例の一つに選ばれたことは、とても名誉なこと」と喜び、「運行開始から2年経過したが、利用者は伸び続けている。地域の住民だけでなく、インバウンドを含む観光客の利用も可能で、まだまだ伸びしろはある」と話した。皆川治市長は「利便性が大幅に向上し、市民生活を支える重要な足として定着している。今後も協働によって持続可能な公共交通網の構築に取り組んでいく」とコメントした。