2024年(令和6年) 5月8日(水)付紙面より
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「ふじ(藤)の花」をキーワードにまちづくりを推進している鶴岡市藤島地域で、フジ棚の花が見頃を迎え、空を覆うような紫色の花と甘い香りが初夏の訪れを告げている。
同地域では1992年から地名にちなみ「日本一ふじの里づくり」を掲げ、住民にフジの苗を配るとともに、公共施設や中心部の道路沿いにフジ棚を整備している。
最もフジ棚が集中する市藤島体育館周辺には紫や白色の「カピタン藤」や「野田一歳藤」、「昭和白藤」など7種56本のフジが植えられている。同体育館によると、今年は今月1日ごろから本格的に色づき始めた。連休前から県内や仙台市、新潟県などから見頃について問い合わせがあり、2~4日は観光客で混雑したという。
6日正午ごろ、同体育館南側のグラウンドゴルフ場「躍動コース」を囲むように設置されたフジ棚(延長約400メートル)には、地元住民や観光客が訪れ「いい香り」などと言いながら、満開のフジ棚の下を散策する姿が見られた。
親子3人で天童市から訪れた30代男性は「以前庄内に住んでいた時に近くを通り掛かったことはあるがちゃんと見るのは初めて。とてもきれいですね」と話していた。
藤島地域では「第33回ふじの花まつり」を開催中で、主会期の11、12の両日は藤島歴史公園Hisu花で「ふじの花マルシェ」(出店、キッチンカー)や物産販売、和太鼓演奏など、東田川文化記念館でふじの花盆栽展やふじの花芸術文化展、写真展など各種イベントが行われる。まつりは今月31日までで、夜藤のライトアップ(20日まで)や加盟各店を巡るスタンプラリー(31日まで)なども行われている。
同まつりの問い合わせはふじしま観光協会内の実行委員会=電0235(64)2229=へ。平日の午前8時半から午後5時まで受け付ける。
2024年(令和6年) 5月8日(水)付紙面より
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鶴岡市出身の映画監督、冨樫森さんが庄内でロケを行った最新作『ふたりごっこ』が、25日(土)から鶴岡まちなかキネマで上映される。初日のこの日は上映後に冨樫監督が舞台あいさつを行い、作品への思いを語る。
冨樫監督は1960年、旧藤島町出身。相米慎二監督の助監督を経て、2001年『非・バランス』で監督デビュー。主な作品に『ごめん』『あの空をおぼえてる』『鉄人28号』などがあり、庄内では『おしん』『夏がはじまる』を撮影した。『ふたりごっこ』は、「晩秋の山形を舞台に、心の傷を抱えたままの女性が、一人の少女と出逢うことで蘇生し生きはじめる感動の物語」(チラシより)。
主人公あかり役を久保寺淳、少女エミコ役を成海花音、あかりの元夫役を吉沢悠が演じている。庄内ロケは2022年11月に行われ、鶴岡アートフォーラムや荘内日報社、主婦の店ミーナ、日和山公園、佐久間利兵衛観光農園などで撮影した。荘内日報では新聞社に勤める元夫を主人公が訪ね、心情を吐露する難しいシーンを撮影。社員らがエキストラとして参加した。
冨樫監督の舞台あいさつは25日午前11時40分からの回終了後に行う。映画を鑑賞した人が参加できる。鑑賞券は舞台あいさつの回限定で、オンラインは8日午前0時から、まちキネ窓口では同日午前9時15分から販売。なお、上映は31日(金)までの1週間を予定。問い合わせはまちキネ=電0235(64)1441=へ。
2024年(令和6年) 5月8日(水)付紙面より
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全国少年少女野球教室が5日、鶴岡市の鶴岡ドリームスタジアムで開かれた。鶴岡・田川地区の小学生約130人が参加。日本人投手として初めてメジャーリーグ(MLB)に挑戦した村上雅則さん(80)ら元プロ野球選手を講師に基本プレーを学んだ。
教室は少子化が進む中、子どもたちに野球の魅力と楽しさを伝えようと「日本プロ野球OBクラブ」(本部・東京都、所属する元プロ野球選手は約1300人)が毎年開いている。例年4月から6月にかけて47都道府県の各地区で教室を開催。総勢8000~9000人の子どもたちが参加している。
今年、山形では鶴岡が会場となり、村上さんをはじめ酒田市出身で広島東洋カープと北海道日本ハムファイターズ(1940―80年)でプレーした渋谷通さん(73)ら元プロ野球選手6人、審判員、場内アナウンサー合わせて10人が講師として訪れた。
野球教室で村上さんは直球の正しい握り方やフォームを指導。「テイクバックの時はボールを握った手の甲がホームベースに向くように」「ピンチになってもピッチャーは『打たれたらどうしよう』と弱気になったら絶対駄目。強い気持ちを持つことが一番大事」とアドバイスした。元メジャー投手の指導を受けた子どもたちは「教わったことをいつもの練習で試したい」と笑顔を見せた。
会場では鶴岡地区野球連盟の審判員を対象にした講習会も行われ、元セ・リーグ審判員の篠宮愼一さん(66)と元パ・リーグ審判員の小林晋さん(78)を講師に一塁塁審としてジャッジする時のポジショニングについて学んだ。
全国少年少女野球教室は来年、山形では酒田会場を予定している。
▽村上雅則さん 山梨県大月市生まれ。1963年、当時の南海ホークスに入団。翌年メジャーリーグに挑戦し2年間、サンフランシスコジャイアンツでプレーした。その後、南海に戻り82年に現役を引退(日本ハム)。元ダイエーや西武で投手コーチを務めた。現役生活18年間の成績は566試合に登板し103勝82敗30セーブ。防御率3・64を残した。
2024年(令和6年) 5月8日(水)付紙面より
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庄内町に町立図書館・内藤秀因水彩画記念館がオープンした。最近の図書館は、本を閲覧して借りるだけから、利用者の使い勝手を考えて多様な機能を備えるようになった。両施設は別棟だが廊下でつながっており、図書館に足を運んだ際に、日本を代表する水彩画家の作品に触れることができ、利用者の文化・芸術に対する意識醸成が期待される。
一方、酒田市に新しい「市文化資料館光丘文庫」が18日、オープンする。同市の歴史と文化を集中展示しながら、貴重な歴史資料の散逸を防ぐ目的も持つ。文化は地域に活力をもたらす役目を果たすといわれ、大勢が利用してこそ文化施設が持つ機能が生きることになる。
◇ ◇
新しい町立図書館は楕円(だえん)形をしている。中央の一般図書スペースを囲んで児童図書、キッズスペース、読み聞かせなどができる場所、学習室、軽い食事ができるカフェスペースも設けた。郷土資料コーナーがあるのは、郷土の歴史に関心を持っている人にとってはうれしい。
隣接する内藤秀因水彩画記念館は、新図書館に連結する形で全面的にリニューアルされた。内藤画伯は小学校教員になったが絵を諦められず、東京美術学校(現東京芸大)で学び、トルコ大使館員だった実兄・内藤智秀の元で数カ月間トルコで過ごした後フランスに留学。日本水彩画会理事長、日展審査員などを務めた。旧余目名誉町民になり、没後に全作品約2400点を町に寄贈した。「絵のある図書館」あるいは「本のある美術館」というのも、町の誇りとするところであろう。
一方の酒田市文化資料館光丘文庫。酒田大火の記録など市の歴史資料を収集・保存・展示する施設として開設。光丘文庫は本間家から寄贈された古文書、文化財などを保存・管理してきた。酒田市総合文化センター内の旧中央図書館が移転したことで、空きスペースを活用してオープンする。旧中央図書館の広さは約1450平方メートル。既存の旧市立資料館と光丘文庫のスペースより広く、展示内容の充実が期待される。
◇ ◇
図書館と聞いて浮かぶのは「本を借りる」というアナログ感や、本を高く積んだ書架で館内がやや薄暗いというイメージもあった。しかしここ数年来、イメージを変える図書館が相次いでいるという。カフェがあって、ふと立ち寄ることができる気軽さもある。図書館という文化の雰囲気に触れるだけでもいい。
庄内町立図書館・内藤秀因水彩画記念館も酒田市文化資料館光丘文庫も市街地の中央にあり、人が集まりやすい地理的環境にある。本に触れ、美術を鑑賞し、郷土の歴史を知る。施設を上手に利用して育て、文化の発信拠点にしていくのは、利用者の力。そうすることで地域の活力を生むだけでなく、人づくりの拠点にもなる。