文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2024年(令和6年) 8月14日(水)付紙面より

ツイート

幽玄の世界にいざなう 荘銀タクト鶴岡 「黒川能」の特別公演 鶴岡100年プライド事業

 鶴岡市黒川地区の春日神社の神事能として継承されている「黒川能」(国指定重要無形民俗文化財)の特別公演が10日、同市の荘銀タクト鶴岡で開かれた。2つある能座のうち上座が能二番と狂言一番を上演し、市民や県内外から訪れた観客を幽玄の世界にいざなった。

 100年前の1924(大正13)年10月に、当時の鶴岡町が全国で100番目に市制を施行したのに合わせ、市が本年度展開している「鶴岡一〇〇年プライド」事業の一環で行われた。黒川村と山添村が54(昭和29)年に合併して櫛引村(66年に櫛引町)が誕生して70周年の節目でもあり、毎年7月下旬の夜に櫛引総合運動公園の水上舞台で開催している「水焔(すいえん)の能」に代わる公演として企画された。

 春日神社の大神に演能の許しを求め、舞台を清める「舞台まつり」に続き、能「羽衣」、狂言「千鳥」、能「春日龍神」が演じられた。天人が羽衣を着て舞楽を舞う約70分にわたる「羽衣」では、能面を着け天人を演じたシテの釼持貴利さんが、羽衣を拾った漁師が返そうとしないことに嘆き悲しむ様子や、舞を見せてくれるなら返そうという言葉に喜び舞う姿を演じ、会場に響く地謡の謡と笛、太鼓、鼓の音とともに、観客は500年以上にわたり連綿と受け継がれてきた黒川能の世界に浸っていた。

 特別公演には、首都圏鶴岡会の会員たちが「ふるさと訪問ツアー」で訪れ、荘銀タクト鶴岡の小ホールで開かれた「櫛引ゆかりの偉人展」とともに堪能した。

黒川能特別公演で演じられた能「羽衣」
黒川能特別公演で演じられた能「羽衣」


2024年(令和6年) 8月14日(水)付紙面より

ツイート

戦争がない平和をかみしめたい

 15日は終戦の日。79年前、国民が理不尽な犠牲を強いられ続けた忌まわしい戦争が終わった日だ。「戦争」は人と人との殺し合い。正気の沙汰ではない。その日以来、日本は戦争のない時代を送った。戦争は失うものばかりで、得るものは何もない無益な愚行である事を、日本が学んだ結果だ。しかし、世界では紛争が絶えないどころか、戦争が拡大している。

 戦争を知る世代が減る一方、日本が戦争をしたこと、広島と長崎に原爆が投下された事実を知らない若者も増えている。誰もが平穏な暮らしをするためには、今の世界の動きに目を向け、戦争は人類最大の犯罪である事に関心を持たねばならない。

◇      ◇

 「平和」とは―。その答えは、今年の広島原爆の日で、こども代表が述べた「平和への誓い」にある「目を閉じてください。緑豊かで美しいまち。人でにぎわう商店街。まちにあふれるたくさんの笑顔」―との言葉に、平和であることの幸せの全てが凝縮されている。今、世界各地で繰り広げられている戦争や紛争では、建物は破壊され、緑もなく、人々に笑顔はなく、あるのは恐怖だけ。まるで「平和」という言葉が存在しないかのようである。

 ロシアのウクライナ侵略のように、独立国の領土を奪おうとする戦争もあれば、イスラエルによるパレスチナ自治区・ガザ地区への攻撃や中東での紛争は、侵略戦争とは異なる民族や宗教問題が絡んで争いの構図を複雑にし、憎しみと報復の連鎖を生んでいる。学校や病院まで容赦なく攻撃を受けて子どもが犠牲になっている。平穏な暮らしを知らずに成長する過程で憎しみが心に刻み込まれるとなれば、戦争は終わることを知らない。

 日本は世界で唯一の戦争被爆国であることを内外に訴えているが、一方で東南アジアへの侵略や植民地支配で多くの国の人々を苦しめ、民間人を犠牲にした。戦争では、日本は被害者であり、加害者でもあった歴史的事実にも、しっかり目を向けなければならない。

◇      ◇

 昨年9月、東京の小学6年生が、岸田文雄首相に「政府はなぜ防衛費を増やすのですか。防衛費増加は戦争につながるような気がします」という手紙を出して話題になった。児童は社会科で学んで疑問を抱いた。周辺国との緊張感から防衛予算拡大に迫られるとしても、子どもだけにでなく、国民に丁寧に説明することが、政治には求められる。そして何よりも、対話こそが重要だ。

 「終戦」は、ただ争いが終わったことだけでなく、その後も争いのない時代であったことも意味する。戦争の悲惨さと無益さを、さまざまな記録資料から学ぶことができる。その学びから「平和」は全人類共通の「世界遺産」にしなければならないことが見えてくる。平和とは尊いものであることを、終戦の日にあらためて考えたい。

画像(JPEG)


2024年(令和6年) 8月14日(水)付紙面より

ツイート

こしゃたなマルシェ盛況 菓子や雑貨、夏野菜 三川 酒田光陵高生もサポート

 障害者が作った品物を販売する「こしゃたなマルシェ」が9、10の両日、三川町のイオンモール三川で開かれた。

 障害者の取り組みを応援しようと県庄内総合支庁が庄内にある各就労継続支援B型事業所に呼びかけて企画した。これまでは総合支庁のロビーで開いてきたが今回はイオンモール三川の協力を得て、買い物客でにぎわうメインストリートを会場にした。

 マルシェには▽障害者支援センター「よつばの里」▽多機能型事業所いちほ▽障がい者福祉サービス事業所たぶの木▽もみじが丘▽障害福祉サービス事業「作業所月山」「スローワーク新町」▽障がい福祉サービス事業所いっぽ▽障害者支援オフィス「ひので」▽「りーふ」―などが参加。酒田光陵高校のビジネス流通科の生徒が実習を兼ねて販売を手伝った。

 店頭にはアクセサリー、パウンドケーキといった菓子類、生活雑貨、夏野菜などが並び、立ち寄った人たちがお気に入りの品を買い求めた。子どもを連れた主婦は「丹精込めて作られたものばかり。完成度が高くて驚いた。障害者の頑張りを支えたい気持ちになる」と話した。こしゃたなマルシェは秋にも開く予定。

買い物客でにぎわう「こしゃたなマルシェ」
買い物客でにぎわう「こしゃたなマルシェ」


2024年(令和6年) 8月14日(水)付紙面より

ツイート

「らくがき文学賞」に鷲田さん(鶴岡) 認知症の母親の介護体験つづった「わっしーメモ」

 鶴岡田川地区を中心にした庄内地域の文芸愛好者でつくる「らくがき倶楽部」(佐々木秀子会長)が表彰する、2024年度(第54回)の「らくがき文学賞」と、郷土出版記念の「畠山弘賞」「大泉散士賞」の選考結果がまとまった。文学賞には、認知症の母親の介護体験をつづった「わっしーメモ」を荘内日報紙上に連載し、出版した公益社団法人認知症の人と家族の会県支部世話人副代表の鷲田良平さん(52)=鶴岡市=が選ばれた。授賞式は12月1日に予定されている。

 らくがき文学賞は、同倶楽部が1970(昭和45)年に制定し翌71年から表彰を行っている。荘内日報に掲載された随想や随筆、紀行文、紙面で紹介された出版物などの中から最も優れていると認められた作品に贈られており、これまでの受賞者は37人(うち1人は特別賞)。

 また、前年度に出版されたさまざまな分野の郷土の作品から選ぶ、畠山弘賞には池田道正さん(鶴岡市)の「野に生きた絵師 池田月潭の画跡」、大泉散士賞には井東敬子さん(同)の「ナリワイ起業」が選ばれた。同倶楽部は今年、設立60周年を迎えたのを機に、創設時の発起人メンバーでもあり、庄内地方の出版文化に大きく貢献した故畠山弘氏、故大泉散士(本名・阿部整一)氏の功績をたたえ、郷土出版記念賞に両氏の名前を付して命名。これまでの文学賞と合わせ「らくがき三賞」の呼称とした。

 らくがき文学賞に決まった鷲田さんは、認知症を発症し、2014年に80歳で亡くなった母・京子さんを8年にわたって介護し、看取った。介護体験を自らのブログで発表し、母との日常の悲喜こもごもを率直に記した。これを基に18年11月から23年1月まで月2、3回のペースで荘内日報に連載。これをまとめて昨年9月、著書「わっしーメモ 母の認知症 介護あれこれ」を出版した。鷲田さんは荘内日報社販売部長。自身の体験を社会に還元しようと、悩みを抱える家族などの支援活動にも力を入れている。

 鷲田さんは「母の認知症を周囲に知られたくない一心で、当初は隠していた。でも、一人で外出して帰宅できなくなることが度々あり、迷子になったときに何らかの手助けになればと思い、周囲に知ってもらうためにブログを始めた。つらい体験よりも母とのほっこりする話題を多く取り上げるように心掛けた。読んだ方々から少しでもつらさを忘れてもらい、何かしら共感してもらえればと思いながら体験談をまとめた」と話し、受賞に「伝統あるらくがき文学賞に選ばれたことは、大変光栄です」と笑顔で語った。

「らくがき文学賞」の書「わっしーメモ」
「らくがき文学賞」の書「わっしーメモ」

鷲田良平さん
鷲田良平さん



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field