2025年(令和7年) 1月29日(水)付紙面より
ツイート
有識者らによる日本ジオパーク委員会(JGC)は27日、「鳥海山・飛島ジオパーク」など全国10地域を日本ジオパークに再認定したと発表した。鳥海山を取り巻く酒田、遊佐、秋田県にかほ、由利本荘4市町の官民27団体で構成する鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会(会長・市川雄次にかほ市長)は再認定を受けて「引き続きエリア内外の皆さんと力を合わせ、さらなる改善とユネスコ世界ジオパーク認定に向けた活動を進めていくので一層の協力を」とのコメントを発表した。
ジオパークは地球活動がよく分かる地質や景観が大切に守られ、教育や持続可能な開発に活用されている地域。新たに同日、宮城県蔵王町による「蔵王ジオパーク」が加わり現在、48地域が認定。このうち10地域はユネスコ世界ジオパーク。
鳥海山・飛島ジオパークは2016年秋、JGCの認定を受けた。推進協と4市町などは「日本海と大地をめぐる水と命の循環」をテーマに掲げ、水と命の循環を観察することができる貴重な自然環境を形成する、この地域の豊かな自然・文化を次世代につなぐことを目的にこれまでさまざまな活動を展開してきた。
認定を継続するには4年ごとにJGCによる再審査を受ける必要があり、2回目の再認定に向けた調査が昨年10月30日から3日間行われ、JGC委員長の中田節也さん(東京大学名誉教授)、糸魚川ジオパーク協議会の香取拓馬さん(フォッサマグナミュージアム学芸員)の2人が訪問。ジオパークの見どころ「ジオサイト」を視察したほか、関係者からの聞き取りも実施。2人は調査終了時、「魅力的な所。発信方法によってはもっと素晴らしいものになる」と高く評価した。
鳥海山・飛島ジオパークの再認定理由についてJGCは「推進協議会が法人化され、5つのエリアごとに活発な教育やジオツーリズムの活動を展開している。鳥海山の山体崩壊と地震の隆起で生まれた象潟の景観の保全と研究が官学民一体で進んでいる」と説明。課題として「ユネスコ世界ジオパークを目指そうとの機運も高まる中、地域全体としてのジオパーク活動を推進し、地域の国際的価値の共有が求められる」としている。推進協によると、詳細な審査結果は来月中にも書面で届くという。
2025年(令和7年) 1月29日(水)付紙面より
ツイート
子どもたちに入浴マナーを伝える「温泉入浴教室」が27日、鶴岡市湯野浜の愉海亭みやじまで行われた。
湯野浜温泉旅館協同組合青年部(部長・佐藤航竹屋ホテル代表取締役)が例年、近くのひばり保育園の園児を招いて続けている恒例行事。この日は年長園児11人が参加、湯野浜海岸に湧き出た温泉でウミガメが傷を癒やしたという「開湯伝説」の紙芝居を鑑賞した後、佐藤部長から正しい温泉入浴の所作を学んだ。
かけ湯をした子どもたちは42度に保たれた温泉に入り「気持ちいい」と楽しそう。「体がポカポカしてきた」「おうちでも(マナーを)ちゃんとする」と笑顔を見せていた。
2025年(令和7年) 1月29日(水)付紙面より
ツイート
無投票の予想から一転して選挙戦になった県知事選は、現職の吉村美栄子氏(73)の5選で終わった。「初めから結果は見えていた」と言えば、敗れた金山屯氏(84)=福島県白河市在住=に失礼になるが、「県民に不利益になる知事選の無投票はあり得ない」との金山氏の姿勢は、候補者擁立を避けた自民党県連への批判も込められていたのではないだろうか。
政策論争を聞くこともできず、関心と争点に欠けた選挙だったことは、39・67%という、知事選では過去最低の投票率となって表れた。吉村氏の得票率約95%は“3度目の無投票”と言っていい選挙図式だった。半ば「信任投票」に近い状態で5期目を担う吉村氏の、県民の求めに応える責務はより大きいと言える。
◇ ◇
金山氏にとって究極の手作り選挙だった。選挙公報は約370文字の手書き。「18歳になられた皆さんおめでとう。あなたの一票で山形県の明日が決まります」と、選挙で投票することの大切さを訴えた。テレビの政見放送も、経歴を紹介するだけにとどめている。選挙事務所は構えず、自宅の白河市から新幹線で来県、山形駅前の街頭で通行人らに語り掛けた。
今回、自民党県連は野党系の吉村氏を支援した。もちろん初めてのケースだ。同県連は、自民党の派閥裏金問題の逆風、4年前の知事選で擁立した元県議がダブルスコアで大敗したことなどが尾を引いて擁立を断念した。また山形新幹線整備、昨年の豪雨災害の復興などの政策で、吉村氏と遠藤利明自民党県連会長(衆院山形1区)との協力姿勢が一致したためとされる。
夏に参院選がある。自民党県連は前回の知事選で敗れた元県議を立て、野党系は現職と新人2人の計3氏が出馬予定だ。県の参院議員は2人とも野党系。自民はその一角を崩そうと狙っている。そうであれば今回の知事選で候補者を立てて戦い、地盤を固めておくべきではなかっただろうか。衆院は県内3選挙区とも自民が占めている。知事選で候補者を見送った自民党県連の政治姿勢は、消極的と言われても仕方ない。
◇ ◇
知事選で山形大の学生らが山形市の大型商業施設で、東北初の「こども選挙」の模擬投票所を設けた。子どものころから選挙に関心を持ってもらい、有権者全体の関心を高める狙いがあった。しかし、金山氏は選挙で庄内入りすることはなく、吉村氏も後半インフルエンザに感染した。街頭に選挙が行われているという雰囲気はなく、選挙戦は低調なままだった。
金山氏は、当選が目的でなく、県民は次期県政を委ねる人の過去の行政実績を評価し、検証するために無投票は避けるべきだと述べていた。信任に近い形で当選した吉村氏も、重く受け止めなければならない言葉である。併せて5つの公約の具現化をより丁寧に説明する責任がある。
2025年(令和7年) 1月29日(水)付紙面より
ツイート
本県が誇る多様なラーメンとそばの魅力を発信するイベント「『ラーメン県そば王国』inさかた」が25日、酒田市のホテルリッチ&ガーデン酒田で開かれ、多くの人でにぎわった。
本県の麺文化の魅力を広く発信し、知名度向上や誘客促進を図ろうと県は2023年10月に「ラーメン県そば王国」の商標登録を特許庁に申請、昨年8月に登録された。同年山形市で開催した記念イベントに続き、地域のにぎわい創出につなげようと酒田市民有志や民間事業者らで組織する実行委員会(小田かほる委員長)が初めて企画した。
この日は▽山形鶏プルチキン(山形市)▽尾花沢そば街道(尾花沢市)▽アル・ケッチァーノ(鶴岡市)▽中華そば雲ノ糸(同)▽酒田のラーメンを考える会(酒田市)―の5店舗・団体がブースを構え、自慢のラーメンやそば計約2500食を提供。スタートとともに来場者たちは続々と目当てのブースに並び、昼食時には家族連れなど多くの人で会場のテーブルは満席に。「おいしい」「好みの味」など口々に話しながら食べ比べを楽しみ、ラーメンやそばを頬張っていた。
市内から家族7人で訪れていた30代男性は「ラーメンとそばの3種類を食べた。だしなどに違いがあってどれもおいしい。子どもが小さいので、屋内でゆっくり食べられるのはありがたい」と。4歳の長女は「全部おいしい」と笑顔で話していた。
会場には地元の日本酒や県内のクラフトビール、酒田米菓の物販ブースもあり、来場者たちが思い思いに楽しんでいた。小田委員長は「ラーメンとそばを通して、多くの人に山形県の食文化や魅力を知ってもらうきっかけになれば。来年以降の継続的な開催も検討していきたい」と話した。
2025年(令和7年) 1月29日(水)付紙面より
ツイート
「文化財防火デー」(1月26日)に合わせて鶴岡市消防本部は管内の指定文化財施設で消防訓練を行っている。
文化財防火デーは1949(昭和24)年、現存する木造建造物では最古として知られる奈良県・法隆寺の金堂で火災が発生し、堂内の壁画が焼失したことを教訓に定められた。火災が起きた1月26日を防火デーとして全国で予防活動を展開。鶴岡市消防本部でも各指定文化財施設の職員と合同で訓練を繰り広げている。
このうち27日に鶴岡市家中新町の致道博物館(酒井忠順館長)では職員と消防本部署員ら合わせて15人が参加。博物館の職員が旧西田川郡役所(国指定重要文化財)のそばに設置されている消火栓にホースをつないで高々と放水した。初期消火訓練では酒井館長ら職員が消火器の使い方を学んだ。
酒井館長(50)は「大切な建造物を管理する私たちにとって有事の事態はあってはならないことだが、職員の連携体制を確認した。改めて文化財を守る意識を高めたい」と話した。消防本部の担当者は「通報、初期消火ともに迅速な対応で良かった」と講評した。
消防本部ではこの後、大寶館や松ケ岡開墾場でも防火訓練を行う。