2025年(令和7年) 1月30日(木)付紙面より
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海にまつわる民話や伝承を後世に伝える、一般社団法人日本昔ばなし協会(沼田心之介代表理事)と日本財団「海と日本プロジェクト」の推進事業「海ノ民話のまちプロジェクト」で、遊佐町に伝わる民話「鮭の招く石」が「海ノ民話アニメーション」に選定され、昨年12月に動画が完成。監督を務めた沼田代表理事が23日、遊佐町を訪れ松永裕美町長を表敬訪問するとともに完成報告会を行った。
海ノ民話のまちプロジェクトは日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で、全国各地の海にまつわる民話をアニメ化し、話に込められた警鐘や教訓を子どもたちに分かりやすく伝えようと2018年から取り組んでいる。前年度までに65自治体に伝わる67の民話のアニメ制作を行った。
今回、鶴岡市の「湯野浜の大亀」、酒田市の「トドの恩返し」に続き、県内3例目として同町の「鮭の招く石」を海ノ民話アニメーションに選定。鳥海山の麓にある永泉(ようせん)寺で、すみ着いたネコが毎日のように鮭を取ってくるのを不思議に思った和尚が、ネコを追いかけ近くの川に行くと、川の中にある不思議な石が鮭を呼び寄せ、鮭が川面を埋め尽くすほどあふれかえっていたというストーリー。江戸―明治期ごろまで生息していたと思われる、絶滅したニホンカワウソも登場する。沼田代表理事の取材・構想を基に、人気番組だった「日本昔ばなし」の制作陣らが作品を手掛け、約5分半のアニメに仕上げた。
完成報告会には町立図書館、町教育委員会、鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会などで構成した実行委員会など計10人が出席。沼田代表理事がアニメDVDとともに、海ノ民話のまち認定証を松永町長に手渡した。アニメを見た松永町長は「永泉寺の風景や鮭の姿など、よく特徴を捉えて描写されていてありがたい。町オリジナルの教材として活用し、子どもたちに町の特色や誇りを伝えていけたら」と感想を述べた。
沼田代表理事は「海と川の恵みを象徴するような話で、石に鮭が集まるという不思議にも魅力を感じた。子どもたちにはもちろん、親世代にも地元の魅力を知るきっかけとして広がってくれたら」と話した。
町では今後、町教育委員会や観光協会などと相談しながらアニメの活用方法を模索していくという。海ノ民話アニメーションはユーチューブ、同プロジェクト公式サイトでも見ることができる。アドレスはhttps://uminominwa.jp/
DVDの購入や動画に関する問い合わせは同プロジェクト事務局=電080(9264)3366=へ。