2025年(令和7年) 2月1日(土)付紙面より
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遊佐沖で進む洋上風力発電事業が地域に与える影響や課題について、地元住民も含めて具体的な議論を行う「遊佐沿岸域検討部会」(部会長・三木潤一東北公益文科大公益学部長、委員28人)が30日、遊佐町吹浦の鳥海温泉「遊楽里」で開かれた。公募の結果、事業者に決まった「山形遊佐洋上風力合同会社」が初めて出席。2030年6月の運転開始に向け、今年4月ごろからボーリングなど海底地盤調査に入るなどのスケジュールを示した。
同部会は地元住民や海域利用者、経済団体の代表、国、県、同町の担当者らで組織。この日はウェブ出席や一般住民、合同会社を構成する5社のうち総合商社の丸紅(東京都)、総合建設業「丸高」(酒田市)、関西電力(大阪市)の社員を含め約80人が参加した。
県環境エネルギー部の遠藤和之次長が「本日を皮切りに事業が本格的にスタートする。この地域の活性化が図られるよう、皆さんには引き続き協力をお願いする」とあいさつ。
事業者の選定経過などが報告された後、丸紅が事業概要を説明。出力450メガワットの着床型風車を海岸から約2キロ沖合以遠の南北約8・3キロ、東西約3・3キロの範囲に計30基建設することや、資機材の搬入などを行う基地港を酒田港にするなどとした。
今後はほぼ2カ月おきに地元構成員会議を開きながら協議を進め、今年12月には公募占用計画の認定を目指す。海底地盤調査は4月ごろから約半年間をかけ、鉄製やぐらを用いたボーリング調査や、円すい形のコーンを海底に貫入させ抵抗を調べるCPT調査などを実施する。
地元委員からは「できるだけ漁業者の負担にならないような対応を」「建設地は年間を通して好漁場。自分たちの世代で漁ができなくなることには釈然としない思いがある」「漁業影響調査は漁業者が信頼できる業者に実施してもらいたい」などの声が上がった。
合同会社は「われわれだけで決めることはない。今後も皆さんと一緒に事業を進めていく」「町と協議し住民説明会を適宜、開催していく」などと回答した。
事業の進展に伴う地域共生策への補助金に充てる基金については、公平性、公正性、透明性の確保が必須とした上で、合同会社からの出捐金全額をいったん町で受け取って「遊佐町洋上風力振興基金」(仮称)を造成し分配する考えが示された。