2025年(令和7年) 4月3日(木)付紙面より
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鶴岡市と庄内町清川を結ぶ路線バスの廃線に伴い、同市藤島地域の自治振興会などが中心となって設置を進めてきた乗合大型タクシー「ふじつる号」が1日、運行を開始した。同地域北側を運行する「すまいる号」と南側を走る「ふれあい号」の2種類のデマンドタクシーと合わせ、藤島地域の公共交通体系を維持する。
「鶴岡―清川線」(庄内交通)は藤島地域で唯一のバス路線で、庄内町清川から藤島地域の三和地区、市藤島庁舎、JR藤島駅、渡前地区などを経て鶴岡市街地のエスモールまでを結んでいた。利用者の減少や運転者の高齢化のため今年3月31日に廃線となった。
藤島庁舎によると市街地の医療機関などを訪れるため、同路線を利用していた庄内町や藤島地域の住民は年間で延べ約5000人に上るという。こうした状況を踏まえ、交通空白地域を生まないため地元の自治振興会などが中心となり、既存デマンドを含めた地域全域の交通再編に取り組んだ。
1年ほどかけて協議と準備を進め、これまでデマンドタクシーの運営母体となっていた地域主体の協議会を拡大し、「藤島南部地域公共交通運営協議会」「藤島北部地域公共交通運営協議会」の2団体が本年度から新たな枠組みで地域公共交通を運行することになった。
今回運行開始となった「ふじつる号」は、委託を受けた出羽ハイヤー(鶴岡市新形町)と庄交ハイヤー(同市日和田町)がそれぞれ所有する大型タクシー(10人乗り)を定時定路線で使用。計2台で1日当たり往復2便を共同運行する。
路線は基本的に鶴岡―清川線を踏襲し、三和地区の京田橋からエスモールをつなぐ。さらにこれまでのバス利用者がよく訪れていた市立荘内病院など市街地の複数の医療機関にも停車する。庄内町清川―藤島は運営協議会と庄内町が連携し、同町運営のデマンドタクシーが藤島駅まで利用者を輸送。同駅でふじつる号に乗り換える方法をとる。
この日、新たな地域公共交通体系の運行開始を記念するセレモニーが市藤島地区地域活動センターで開かれた。乗合タクシーやデマンドタクシーの各車両が紹介されるとともに、車体へ取り付けるステッカーがお披露目された。皆川治鶴岡市長と富樫透庄内町長のあいさつの後、関係者がテープカットし、ふじつる号の運行開始を祝った。
藤島地域の北部(八栄島と長沼地区、藤島地区13町内会)ではデマンドタクシー「すまいる号」が、南部(東栄、渡前、藤島地区5町内会)は「ふれあい号」がそれぞれ運行しており、各地区の住民を藤島地域中心部のスーパーや医療機関へ運んでいる。