2025年(令和7年) 4月9日(水)付紙面より
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「言論の自由を貫き真実を報道する」などと、荘内日報は新聞発行の精神を掲げている。「信頼できる確かな情報を伝える」ことを表明し、目指すは身近なニュースをたくさん届けようという「郷土愛」。世界の出来事を伝える全国紙と違って、荘内日報のような地域紙は取材地域が限られるが、だからこそ全国紙が伝え切れない地域限定の身近なニュースを届けることができる。
表現が適当かどうかだが、全国紙を「標準語」に例えれば、地域紙は「方言」ということになるだろうか。どこの地域でも、そこに住む人々は土地の言葉を大事にし、「文化」として長く受け継いできた。荘内日報も、その伝統に沿うようにして、身近な出来事を伝え続けている。
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ひと昔前に比べ、科学と文明は異次元的に進歩した。SNS(ネット交流サービス)や動画投稿によって、多くの情報をどこにいても知ることができる。だが、それを安易に見ているだけで良いのだろうか。「コツコツ」と物事を積み重ねることが努力とすれば、新聞を読むことも「コツコツ」に通じるであろう。
インターネットの情報は、興味を引き付けるように編集して発信している。だが、そこには不確かな情報も潜んでいるとの指摘もある。大都市圏での選挙ではSNSや動画投稿を参考にして投票行動した人もいたとされる。見たいものに共感して拡散させることで、選挙に大きな影響を与えたという。SNSなどには、真偽不明の情報などがそのまま拡散してしまう怖さがある。昨年の能登半島地震でも不確かな情報が被災者を惑わせ、かつての熊本地震では動物園からライオンが逃げたと、関係のない写真を添付した偽投稿があった。
SNSなどは誤情報であったとしてもそのまま拡散してしまうことがある。新聞は間違いがあれば「訂正」を出す。訂正は取材記者にとって最大の不名誉だが、それ以上に新聞社の信用(信頼)に関わる。記事は念には念を入れて取材し、担当デスクや校閲記者が確認作業をする。すべては「信頼できる記事を届ける」ためだ。その作業は、全国紙も地域紙も変わる事はない。
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ネット上で多様なニュースを見る事ができるのは便利だ。その元になっているのは、新聞社などの取材による記事が多い。新聞記事は大勢の記者が取材し、調査と確認を経ている。テレビの報道番組でも新聞社名を明記して記事を引用して解説している。新聞の信用性の高さを示すものだと思う。
新聞にも電子版がある。しかし、宅配された新聞のページをめくる感触は、電子版にはない。何よりも記録性という素晴らしさがある。6日から「春の新聞週間」が始まっている。荘内日報は信頼できる身近な情報を伝えていきたい。ぜひ郷土の出来事に触れていただきたい。