2025年(令和7年) 4月9日(水)付紙面より
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鶴岡市立藤沢周平記念館の開館15周年記念企画展「『喜多川歌麿女絵草紙』の世界―歌麿と蔦重―」が同館で開かれている。鶴岡市出身の作家・藤沢周平さん(1927―97年)が、美人画で知られる喜多川歌麿を主人公に書いた浮世絵師にまつわる物語の魅力を紹介している。
藤沢さんは浮世絵師・葛飾北斎を主人公にした小説「溟い海」でデビュー。その後も同じ浮世絵師にまつわる題材の作品を手掛けており、浮世絵師や浮世絵の版木を彫る職人「彫師」を主人公にした作品は、デビュー前の投稿作品も合わせると十数編に及ぶ。
「喜多川歌麿女絵草紙」は1975(昭和50)年から76年にかけ、「オール讀物」で連載された。江戸時代後期に活躍した浮世絵師・喜多川歌麿と心ひかれた女たちの物語を中軸に、大河ドラマで注目される蔦屋重三郎、写楽など歌麿の周囲を取り巻く人々や絵師の葛藤を描いている。
展示会場には6編に分かれた各話の大筋や登場人物を紹介するパネル、「喜多川歌麿女絵草紙」のハードカバーや文庫、藤沢さんが参考資料とした浮世絵の研究本や人物伝、藤沢さんが自作した歌麿と蔦屋、社会的な出来事をまとめた年表、生原稿、歌麿や写楽の浮世絵(一部は印刷物)などを展示。これら貴重な資料は入れ替えをしながら期間を通して約50点が並ぶ。
このほか関連展示として上野や吉原、湯島天神など「喜多川歌麿女絵草紙」にも登場する江戸の名所を描いた歌川広重などによる浮世絵の数々が同館ロビーに飾られた。
展示は9月23日(火)まで。開館記念日の今月29日は無料で入館できる。展示図録は1冊1000円(税込み)で販売している。また、9月26日以降の記念企画展は「『たそがれ清兵衛』の世界」(仮)を予定している。休館日は毎週水曜(休日の場合は翌日以降の平日)と7月15日(火)―17日(木)、9月25日(木)。問い合わせは同館=電0235(29)1880=へ。