2025年(令和7年) 3月19日(水)付紙面より
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庄内地域の多くの小学校で18日、卒業証書授与式が行われ、卒業生たちが6年間の思い出と新たな希望を胸に学びやを巣立った。
庄内地域では2校が既に卒業式を終え、18日は51校、残りの3校は19日に行われる。昨夏の豪雨災害で甚大な被害が出た酒田市八幡地域に位置する八幡小学校(金子尚校長)では在校生と保護者、教職員、来賓が見守る中、真新しい中学の制服に身を包んだ卒業生17人が体育館に入場し、午前9時から行われた。
国歌・校歌斉唱に続き金子校長が卒業生一人一人に卒業証書を手渡し、「卒業生の表情からは喜びとともに、中学校への希望と覚悟を感じる。『継続は力なり』。日々こつこつと努力を重ねることが目標の達成につながると信じ、力を尽くしてほしい。活躍を楽しみにしている。卒業生の輝ける未来に幸多きことを祈念する」とはなむけの言葉を贈った。
在校生がお別れの歌として「また会う日まで」を合唱、それに答えて卒業生が「旅立ちの日に」を館内に響かせた。在校生による花のアーチ、出席者の温かい拍手の中、卒業生は新たなステージに旅立つ決意を新たにし、会場を後にした。
2025年(令和7年) 3月19日(水)付紙面より
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鶴岡市下川の善寳寺(水口道雄住職)で17日、春彼岸に合わせた境内の夜間ライトアップが始まった。本堂正面やいずれも国の登録有形文化財の山門、五重塔などが光に照らされて宵闇に浮かび上がり、境内は厳かな雰囲気に包まれている。
善寳寺は1200年以上の歴史を持ち、海を守護する龍神を祭る。東北各地や北海道、北陸などの漁業関係者をはじめ全国から多くの参拝者が訪れ、鶴岡を代表する観光地となっている。境内のライトアップは2013年の山形デスティネーションキャンペーン・プレイベントで初めて実施した。以来、毎年さまざまなイベントに合わせて行っており、春彼岸に合わせての点灯は今回が初。
今回は本堂正面や山門、五重塔、弥勒尊像、五百羅漢堂などをライトアップ。このうち総ひのき造り、銅板ぶきの重厚な山門は、全体に施された彫り物の陰影も手伝い、宵闇に荘厳な姿を浮かび上がらせている。
ライトアップの期間は彼岸明けの23日(日)まで。連日午後6時から同9時まで点灯する。
2025年(令和7年) 3月19日(水)付紙面より
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2025年度の県内公立高校入試の合格発表が17日、各校で一斉に行われた。
このうち鶴岡南高と鶴岡北高が統合して2年目を迎える鶴岡市の致道館高の合格発表は同日午後4時に同校で行われた。受験生や保護者ら50人ほどが発表を待ち、合格者の受験番号が掲示されると同時に、掲示板前に殺到。自分の番号を見つけて、「やったー」と飛び上がって喜んだり、家族と共に合格のうれし涙を流したり、友人と肩を抱き合って「よかった」と笑顔を見せたりする受験生の姿があった。スマートフォンで番号が記された掲示板を記念に撮る受験生や保護者も多くいた。
合格した三川中3年の松山夕月(ゆづき)さん(15)は「入試問題の数学が難しく、合格できないと思っていたので、とにかくうれしい。入試から今日までドキドキしてとても長く感じた。大学に進学して好きな生物を学ぶのが夢です」と話し、一緒に訪れた母親や4月から致道館高3年生になる兄と共に合格を喜んでいた。
2025年(令和7年) 3月19日(水)付紙面より
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鶴岡市板井川の水無川で先頃、近くのくしびき南部保育園の園児たちが体長5センチほどのサケの稚魚を放流した。放流したのは約20万匹。子どもたちの「元気で帰ってきてね」の声に送られて川を下ったサケは、3~4年後、産卵のため再び生まれた川に戻って来る。サケのふ化・放流は昔から「育てる漁業の代名詞」と言われる。人手による漁業資源と食を守る大事な事業だ。
県内の河川ではサケを採捕、ふ化から放流というサケ増殖を手掛けている。中でも遊佐町の月光川水系は、国内でもトップクラスの放流数を誇るが、今季は河川への遡上(そじょう)数がこれまでになく少ない。気候変動による海水温の変化なども影響しているのではないかともみられている。
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県内の川や海で捕獲されたサケの数は、今年1月末時点で約5万2000匹余。今季の採捕数は過去30年で最も少なくなる見通しという。温暖化による海洋環境の変化が影響している可能性は高いと指摘されている。庄内沖で漁獲される魚種に変化が見られたり、北海道でもサケ漁の時期にブリが大量に水揚げされたこともあった。海の生き物は環境の変化に敏感で、わずかな海水温の変化が回遊域や回遊時期に影響するのだろう。
遊佐町の月光川水系でのふ化・増殖事業の歴史は古い。江戸時代からサケが遡上し、庄内藩も川をいけす状にして「種川」として自然産卵を手助けしたこともある。1908(明治41)年、同水系の資産家や農家の人が組合をつくったのが、現在の「箕輪鮭漁業生産組合」につながった。
ふ化した川から海に下ったサケの稚魚は、オホーツク海やベーリング海などを回遊し、子孫を残すため再び放流された川に戻って来る。5センチほどだった稚魚が、成長しても生まれた川を忘れない「母川回帰」の生態には、何らかの方法で川の特徴が脳細胞に刻み込まれているとか、体内時計のような太陽コンパスを持っていて川の「におい」をかぎ分ける、などとの説がある。いずれにしても、そうした習性を持つサケは人の食生活にとってありがたい存在。
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月光川水系のふ化場では過去、ふ化事業の先進地とされた新潟県・三面川での採捕が不漁だったことでふ化卵を提供し、新潟県知事から感謝状をもらったこともある。また、北海道沿岸の海で水揚げされるサケに、月光川水系で放流したサケが多い事で感謝されたこともある。
サケ捕獲数の不振は山形県だけでなく、本州全体が似た傾向にあるとされる。その背景になっている要因として、記録的な暑さの影響などによる「海面水温の上昇」があると考えられる。人の暮らしの利便性は高まっているが、それによって環境に負荷を与えていることの一端が、サケの遡上数減少から見えてくるようである。
2025年(令和7年) 3月19日(水)付紙面より
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酒田東高校(齋藤一志校長)の2年生4人が中心となって企画した映画上映会「世界一の映画館をもう一度あなたへ、酒星劇場」が15日、酒田市の港座で開かれた。多くの市民らが鑑賞に訪れ、生徒たちの活動の集大成に上映後、大きな拍手が送られた。
課題研究の一環で酒田の映画文化について学びを深めた現在の3年生が昨年、「映画文化復興チーム」を結成。その後、本年度の課題研究で映画を使った中町の活性化に取り組む2年生が先輩の研究を引き継ぎ今回、芝居小屋として開業し大正時代から映画館としても営業していた歴史ある劇場「港座」での上映会を企画した。
上映会の中心メンバーはいずれも同校2年の遠藤埜乃佳さん(17)、阿部ことみさん(17)、成田ほのかさん(17)、後藤絵梨花さん(17)の4人。生徒たちは課題研究の中で、昭和時代に「世界一の映画館」と評され1976年の酒田大火で焼失した映画館「グリーンハウス」の存在を知り、映画館の復活による中心市街地活性化を目標に取り組んできた。
この日は2回合わせて約160人の市民らが港座に来館。コーヒーの提供や、グリーンハウスで上映前に流れていた「ムーンライトセレナーデ」を流すなど、往時の映画館の雰囲気を味わってもらおうとの趣向が来館者たちを楽しませた。
同市がメインロケ地となった午後のプログラム「アイ・アムまきもと」上映後、リーダーの遠藤さんが「約1年かけた準備の中で、多くの経験と学びが得られた。酒田の魅力を再認識してもらえたらという思いから、町並みが多く登場するこの映画を選んだ。多くの人が鑑賞に来てくれたことに感謝」とあいさつ。来館者たちは生徒たちに大きな拍手と激励の言葉を送っていた。