2025年(令和7年) 3月21日(金)付紙面より
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地球以外に生命はいるのだろうか―。全国の高校生や大学生が宇宙生物学について学ぶ慶應義塾大学先端生命科学研究所の「慶應アストロバイオロジーキャンプ」が17―19日の3日間、鶴岡市覚岸寺の鶴岡メタボロームキャンパスで開かれた。
アストロバイオロジーとはアメリカ航空宇宙局・NASAが提唱した造語。地球生命の起源や地球外生命の探査、人類の宇宙進出などに関わる新しい研究分野として注目を集めている。慶應先端生命科学研究所は宇宙サイエンスに関心を持つ研究リーダーを育てようと2016年から「アストロバイオロジーキャンプ」を開いている。9回目の今回は全国13都道府県から高校生と大学生、高専生、大学院生の合わせて24人が参加した。
初日の17日は東京科学大学地球生命研究所の藤島晧介特任准教授ら専門家3人が講演した。このうち東京理科大学物理学科の木村智樹准教授は生命の存在が期待される木星の衛星「エウロパ」について説明。木村准教授は「エウロパは1000年に1度、地中から水を噴射していることが分かった。地球の海底で湧き出る熱噴出孔に近い生命環境があるかもしれない」と語った。
宇宙研究を志す生徒や学生は各研究者の講演に興味津々。女子生徒は「エウロパが水を噴出するメカニズムを知りたい。水以外に別の物質も出ているのだろうか」と関心を寄せていた。
2025年(令和7年) 3月21日(金)付紙面より
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県立産業技術短期大学校庄内校(佐藤俊一校長)の卒業証書授与式が19日、酒田市京田三丁目の同校体育館で行われ、2カ年の修業年限を終えた32人が学びやを巣立った。
本年度の卒業生は生産エンジニアリング科6人、情報通信システム科13人、IT会計ビジネス科13人。それぞれ専門的な知識・技能を修得しこの日を迎えた。
この日は卒業生と保護者、教職員ら計約100人が出席。卒業生一人一人に卒業証書を手渡した佐藤校長は、ドイツの教育哲学者、オットー・フリードリヒ・ボルノウが残した「過去には感謝を、現在には信頼を、未来には希望を」という言葉を紹介した上で、「産業界、社会全体から実践的技術者、経営センスの優れたビジネスパーソンとして皆さんの力が求められている。この期待に応えるため学校で学んだ高度先端技術・知識をそれぞれの持ち場で存分に発揮してほしい。明るい未来に向けて時代を転換していくゲームチェンジャーになって。大いなる躍進を遂げることを祈念する」と式辞を述べた。
吉村美栄子県知事のあいさつを村山朋也県庄内総合支庁長が代読。同校教育後援会長を務める加藤聡酒田商工会議所会頭らの祝辞に続き、卒業生を代表しIT会計ビジネス科の佐藤緑さん(20)=酒田市=が「2年前に誓った目標を成果に変えるなど学校生活を通し成長することができた。この春から新しい風に全ての思いを乗せ、それぞれの未来を描いていく。これからさまざまな試練があると思うが、庄内校で学んだ知識と技能を胸に秘め、まい進していく」と旅立つ決意を述べた。卒業生たちは晴れやかな表情で新たな一歩を踏み出した。
2025年(令和7年) 3月21日(金)付紙面より
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「2024ヨーロピアン・スシ・チャンピオンシップ」で優勝したポーランドのピョートル・クチさん(36)が14日から18日まで4泊5日の日程で来鶴し、鶴岡市立加茂水族館魚匠ダイニング沖海月の須田剛史料理長(50)の元で日本料理を学んだ。
ピョートルさんは昨年9月にモナコで開かれたスシ・チャンピオンシップで金メダルを獲得。主催者側から「にぎりずしの本場・日本に招待し須田料理長の直接指導を受ける」という豪華な優勝賞品が贈られて来日した。
主な体験は酒田の市場で鮮魚の目利き、生きたヒラメの活締めと薄造り、だしの取り方、懐石料理作りなど。このほか人気ラーメン店「晴天の風」(鶴岡市伊勢原町)で実地研修と出羽三山神社・斎館で精進料理の会食が組み込まれた。
このうち、沖海月での和食研修では2日間かけて須田料理長からネタの仕込みとすしの握り方など和食全般について教わった。来日3回目というピョートルさんは「須田さんの指導を受けて自分が作ったすしを日本の料理スタッフに食べてもらったのは初めて。とても緊張した」と苦笑い。須田料理長は「すしに懸けるピョートルさんの熱意が伝わってきた。ヨーロッパのすしチャンピオンだけあって腕前はいい」と評価した。体験後は鶴岡市内の飲食店を訪れ、本格的なにぎりずしと焼き鳥を食べながら日本の食文化に触れた。
ピョートルさんは「滞在期間中、須田さんが熱心に教えてくれた。私にとっては一生の宝物。日本でこのような貴重な体験を積めたことはアメージングでしかない」と感想を話した。今月下旬には働き場所をフランス・ニースにある収容約250人規模の大型レストランに移籍し腕を振るう。
2025年(令和7年) 3月21日(金)付紙面より
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酒田市定期航路事業所(中條和志所長)は2025年度版の「飛島さんぽガイドマップ」を作成した。好評だった前年度版に引き続き、県内在住の漫画家・わらびもちきなこさんが月刊誌で連載中のバードウオッチング漫画「しあわせ鳥見んぐ」とタッグを組み、表紙面には定期船「とびしま」にもラッピングされている描き下ろしイラストを使用するなど飛島の魅力を発信している。
わらびもちきなこさんが「まんがタイムきらら」(芳文社)で連載中の「しあわせ鳥見んぐ」は、県内を舞台に女子大生らが野鳥観察「鳥見」を楽しむ物語。これまでに単行本が3巻刊行され、趣味系漫画として多くのファンを獲得している。
作品に飛島などが登場した縁で、23年7月から両者の交流が始まり、昨年春に第1弾のコラボガイドマップを作成。昨年秋には右舷側に飛島出身の「時庭翼」、左舷側に「宮内すず」のラッピングが施された定期船とびしまがお目見えした。また、ガイドマップのイラストを使ったポスターやキャラクターのアクリルスタンドなどを展示している同事業所の「しあわせ鳥見んぐコーナー」は大勢のファンが訪れる“聖地”の一つとなっている。
マップは両面フルカラー蛇腹折りでA2判の大きさ。表紙面には定期船とびしまの船体にもラッピングされている時庭翼、宮内すずにトビシマカンゾウをあしらった描き下ろしイラストを使用。持ち歩きやすいよう島の地図を大きくし、下部に「ウオーキングコース」や「ネイチャー体験コース」など目的別のコースを紹介した。裏面にはキャラクターたちとともにバードウオッチングや釣りなど飛島の体験スポットや動植物の見頃などを解説している。マップは1万8000部発行。同事業所のほか、酒田駅前交流拠点施設ミライニなどで無料配布している。
中條所長は「冬場でも定期船に乗りに来てくれるファンもおり、SNSでも大きな反響がある」と話していた。本紙の取材に対し、芳文社を通してわらびもちきなこさんは「描き下ろしイラストはトビシマカンゾウや荒崎海岸の風景をモデルに自然豊かな飛島の魅力が伝わるよう意識して制作しました。ぜひガイドマップを手に島を巡っていただけるとうれしいです」とコメントした。
同事業所では定期船とびしまの子ども無料キャンペーン期間として4月26日から5月31日まで小学生・幼児の乗船料を無料にする。