2023年(令和5年) 10月24日(火)付紙面より
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原爆の被害を受けた「被爆ピアノ」を使ったコンサートが22日、酒田市の土門拳記念館で開かれた。
被爆ピアノは爆心地から約3キロ以内にあったピアノとされ、十数台程度が現存している。
コンサートは土門氏が追い求めたテーマの一つである「原爆(広島・長崎)」に鑑み、平和について考えるきっかけにしてもらおうと同館が2020年度から開催している。
この日のコンサートは市民ら約50人が参加。最初に被爆ピアノを持って全国各地を回っている調律師の矢川光則さんが講話。矢川さんは「今回のピアノはホルゲルといい、広島市の旧段原町で所有者だった和子さんと共に自宅で被爆したもの。和子さんは今年8月に亡くなられたが、ピアノを通して平和を考えるきっかけにしてもらえれば」などと話した。
続いて同市の光國寺ピアノ教室に通う小学1年から一般までの生徒と光國寺菊榮さんら9人がサン・サーンス作曲「動物の謝肉祭より白鳥」、ラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」など計12曲をソロや連弾などで披露。フィナーレでは酒田うたごえ喫茶(高橋治代表世話人)のメンバー14人も加わり、被爆ピアノの伴奏で梅原司平作詞作曲の原爆をテーマにした反戦歌「折り鶴」を会場全体で歌い上げ、平和への思いを新たにしていた。
2023年(令和5年) 10月22日(日)付紙面より
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県外に住む家族が地域を訪れ、未就学児の子どもを町の保育園に通わせながら短期滞在する「保育園留学」が庄内町で始まった。同町では初の試み。最初の受け入れとなったのは東京都港区在住の航空機パイロット、アードレイ・サイモンさん(44)=英国出身、妻の知沙さん(37)、春斗(はると)君(4)、海斗(かいと)君(0)の一家で、町内のゲストハウスに今月14―21日まで宿泊しながら、子どもたちは車で同町狩川の認定こども園「からふる」(松田透園長)に通園している。同町を選択したのは、首都圏では体験できない自然環境ときめ細かい保育環境が決め手になったといい、知沙さんは「自然に触れ合ったり、多くの人と交流したりと、東京ではできない経験ができている。来年もまた来たい」とこれまでの体験を振り返った。
保育園留学は、地域と子育て家庭をつなぐ留学プログラム。1―2週間程度、子どもが保育園に通いながら家族で宿泊施設に滞在できる暮らし体験で、多様な子育ての選択肢の一つとして北海道や新潟県などで実施されている。県内では同町のほか、米沢市、鶴岡市、西川町の3市町で受け入れが進められている。
同町では保育園留学などに取り組む「キッチハイク」(本社・東京都台東区、山本雅也CEO)と連携し、県の補助事業を活用して実施。0―5歳の子どもとその家族を対象に、今年7月末から募集を開始し、サイモンさん一家のほか、首都圏を中心に3件の申し込みがあった。
このうち、同園での活動の最終日となる20日には、4歳児の親子事業が行われ、サイモンさん夫妻と春斗君を含め、園児とその父母ら計約30人が参加。同園から徒歩で近くの風車村までハイキング。子どもたちは道中、松ぼっくりやクルミを拾いながら歩き、約1時間半で到着。その後、ジャングルジムや滑り台などで遊んだり、家族でお弁当を味わったりなど大喜び。食後にはサイモンさんが英語で読み聞かせを行った。
同町での暮らしについて、サイモンさんは「町民みんなが家族のように温かく、すごくリラックスできた」、春斗君は「友達と一緒に遊んだりして、とても楽しかった」とそれぞれ話した。
知沙さんは「子どもたちに日本人らしさを身に付けてもらいたいと思っており、この時期に庄内町に来られて本当に良かった。本人たちも自然豊かな地で体をいっぱい使って活動し、新しいことを学んだと思う」と満足気に話していた。担当する同町企画情報課移住定住係では「移住定住が究極の目標だが、まずは気軽に来てもらい、この町を好きになってもらえれば」と。同日午後には春斗君のお別れ会が同園で行われ、一家は21日に同町を離れる。
保育園留学は鶴岡市でも22日から1週間、鼠ケ関保育園で行われる。
2023年(令和5年) 10月22日(日)付紙面より
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鶴岡市芸術文化協会に所属する華道5流派による「第60回各流合同いけばな展」が21日から、鶴岡アートフォーラムで始まり、季節の花々の芸術が会場を彩っている。
第67回鶴岡市芸術祭、令和5年県民芸術祭参加。池坊、古流松應会、小原流、華道栖草流、草月流の教授者や生徒など133人が出品。各流派の流儀にのっとった伝統的な生け方の作品や異素材を組み合わせたオブジェなど約120点が飾られた。
当番流の池坊酒田支部鶴岡地区代表の冨樫秀月さんは「猛暑のため、花展はもちろん日々のお稽古でも花材の調達に苦労した年だったが、それぞれが工夫して出品した。流派の特徴を楽しみながら鑑賞してほしい」と話していた。
訪れた人たちは気に入った作品を写真に収めたり、珍しい花材の名前を確認しながらじっくりと見入っていた。
展示は22日までで、開場は午前10時から、最終入場は午後5時。
酒田市華道会(土田紫蘭会長)の合同いけばな展が21日、同市の出羽遊心館で開幕、加盟流派の門下生らによる作品の数々が来館者を楽しませている。
市華道会は池坊、小原流、草月流、古流松應会の4流派が加盟し、毎年この時期に市民芸術祭参加事業として合同で「いけばな展」を行っている。今年は古流松應会を除く3流派の門下生ら51人が季節の花材を用いて計約60点を出品した。
組んだ竹に季節の花々を華やかに配置したもの、ハロウィーンの飾り「ジャック・オー・ランタン」に色とりどりの花を生けたユニークなものなど流派の特徴を生かした作品が並び、来館者は純和風の建物とマッチした作品に見入っていた。
同会は「基本は基本として、より現代にマッチした作品が並んだ。各流派の特徴ある作品を楽しんでもらえたら」と話した。展示は22日午後5時ごろまで。