2023年(令和5年) 06月04日(日)付紙面より
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鶴岡工業高等専門学校(太田道也校長)が企業と連携して取り組む「CO―OP(コーオプ)教育プログラム」の教育成果報告会が2日、同校で行われ、春休みを利用して就業体験した4、5年生合わせて9人が企業現場での技術習得などの成果を報告した。
同プログラムは、希望する3年生以上の学生が長期休みを利用して提携企業での2―3週間の就業体験を卒業まで継続し、講義と就業を繰り返しながら能力を向上する取り組みで、10年前から継続している。就業には基本的に報酬がある。今春は県内外5社が就業体験に協力した。
報告会はポスター発表形式で行われ、企業関係者も参加した。東北エプソン(酒田市)で就業した4年機械コースの伊藤和奏さん(18)は、壊れた基盤のはんだ付け修理・取り付けなどを経験し「学校で学んだ内容が実際の仕事にも生かせると知った。今後は学習の幅を広げ、新しいことにも積極的にチャレンジしたい」と報告。オリエンタルモーター(鶴岡市)で精密小型モーターの実用試験を担当した5年情報コースの久保田亮太さん(19)は「実際の業務を社員の人と同じタイムスケジュールで体験できて、就職に対するイメージが湧いた。失敗したときは原因を論理的に考え、効率的に仕事をこなすための知見を広げる必要があると学んだ」と語った。庄内ではこのほか鶴岡ガス(鶴岡市)、TBR(同)が協力した。
2023年(令和5年) 06月03日(土)付紙面より
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産婦人科「すこやかレディースクリニック」(鶴岡市東原町)を運営する医療法人・レスポアールの斎藤憲康理事長は1日、クリニックの不妊治療施設に関して2025年度当初をめどに日本海総合病院(酒田市あきほ町)に集約する方針を示した。同日夜に酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた庄内の地域医療連携推進法人・日本海ヘルスケアネット(栗谷義樹代表理事)の理事会で明らかにした。集約を経てクリニックは閉院するが、斎藤理事長による鶴岡市内での婦人科診療は継続するという。
地域医療連携推進法人は、地域の医療法人などが独立運営を維持しながら連携を強め、機能分担や業務連携で効率的で質の高い医療の提供を目指すもの。同ネットは日本海総合病院を運営する県・酒田市病院機構を中心に、いずれも酒田地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会の「3師会」、医療・福祉・介護計9団体・法人が2018年2月に設立、同4月に県知事の認定を受けスタートした。現在の構成は同市を含む13団体・法人に拡大、▽人事交流・派遣体制の整備▽電子カルテなどの共有▽地域包括ケアシステムの構築▽薬品や診療材料などの共同交渉▽病床調整―といった連携事業に取り組んでいる。
「体外受精」などの不妊治療が昨年4月から保険適用対象となり、庄内地域でも新規の患者が増える傾向にある。同地域で唯一、不妊治療を専門に行っている同クリニックを運営するレスポアールは同年、日本海ヘルスケアネットに参画、日本海総合病院が敷地内での設置を計画している不妊治療施設の整備を共に進めている。同病院によると、敷地内に新たな施設を建てるか、病院内の空きスペースを活用するか現在、検討中という。
理事会の報告事項として説明に立った斎藤理事長は「不妊治療が保険適用になってから事務手続きが複雑になり、鶴岡、酒田の2拠点で行うには人手が足りない。1カ所に集約し、より良い医療を提供したい」と述べた。看護師、精子・卵子を体外で扱う医療技術者「胚培養士」をはじめクリニック職員は集約後、同病院職員になる予定という。
一方、この日の社員総会で参加法人増加による定款変更に伴い、新たに理事4人を選任。その後の理事会では任期満了に伴う役員改選で、栗谷代表理事(県・酒田市病院機構医療連携顧問)を再任した。
2023年(令和5年) 06月03日(土)付紙面より
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出羽三山の「奥宮」とされる湯殿山神社本宮の開山祭が1日、鶴岡市田麦俣の同本宮で行われた。県内外から約250人が参列し、新緑の中でご神体を前に所願成就を祈った。
湯殿山(標高約1504メートル)は、羽黒山と月山で修行を積んだ修験者が生きながら仏の境地に入る聖地とされ、中腹にある霊湯が湧出する巨岩がご神体として祭られている。昔から「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められた霊場で、1689(元禄2)年に訪れた松尾芭蕉は「語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな」の句を残した。この日初めて参拝して霊湯に触れた若い女性は「湯殿山の『湯』って、本当のお湯なんだ」と驚いた様子で話した。
今年の開山祭は好天に恵まれ、隣県や関東方面からの白装束姿の信者も多く参列。ご神体へ向かう前に、はだしで祈祷(きとう)を受けた後、人形の依(よ)り代で手足を拭って汚れを取り除き、近くのせせらぎに流した。神事に先立ち、出羽三山神社の宮野直生宮司があいさつ。ほら貝の音が響き、祝詞が読み上げられるなどした後、参列者代表らがそれぞれの願いを込め、次々と玉串をささげた。
何代にもわたって毎年参拝に訪れているという仙台市の小林あけみさん(69)は「コロナ禍の昨年までとは違い、多くの人が訪れ、平常に戻りつつあること実感した。卯歳(うどし)御縁年の月山それに羽黒山と、今年も元気に三山参りに足を運びたい」と話していた。開山祭のこの日は一日で約600人が参拝した。