2023年(令和5年) 09月06日(水)付紙面より
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今年は糖度の高いブドウに仕上がりました―。庄内全89郵便局が取り扱う大粒ブドウのゆうパック出発式が4日、鶴岡市西荒屋の産直あぐりで行われた。
式では山西地区(庄内)統括局長で羽前本郷郵便局の難波忠夫局長(64)が「大粒ブドウのゆうパック販売を始めて今年がちょうど20年目。メロンやだだちゃ豆、庄内柿とともに主力商品に育った。今年も郵便局のネットワークで全国に届けたい」、鶴岡郵便局の藤井泰局長(57)が「品質の高いブドウの収穫が始まった。待ちわびている全国のお客さまに真心を持ってお届けし喜んでもらいたい」とそれぞれあいさつ。関係者がそろってテープカットした。
大粒ブドウのゆうパックは、櫛引地域の生産者が丹精込めて育てたシャインマスカットやピオーネ、ゴルビーなどを2キロの箱詰めにして届けている。産直あぐりの鈴木光秀代表取締役(61)は「生産農家にとっては日照り続きで大変だったが、糖度は20度以上と高い。フルーツの里で育ったブドウを楽しんでほしい」と話した。
今年も例年通り今月下旬まで約500箱の発送を予定する。すでに全国各地から多くの注文が舞い込んでいるという。
2023年(令和5年) 09月05日(火)付紙面より
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「直木賞の受賞は到達点ではなく出発点―」。鶴岡市出身の作家・藤沢周平(1927―97)の直木賞受賞50周年を記念した企画展が1日、鶴岡市馬場町の藤沢周平記念館で始まった。1973(昭和48)年に「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞した直筆原稿や正賞の腕時計(副賞は賞金30万円)などを展示している。
藤沢周平は小説を書き始めた昭和30年代後半から直木賞を意識していたという。新聞社に勤めながら小説を執筆。デビュー作の「溟(くら)い海」(オール讀物新人賞受賞作)が直木賞候補になってから4度目、45歳の時に受賞した。
企画展は「直木賞に対する藤沢周平の心情を伝えよう」と同記念館(沼沢紀恵館長)が約半年かけて準備を進めてきた。作家としてデビューした当時から直木賞を受けるまでの作品や、手帳につづられた内容を紹介している。
会場では受賞作「暗殺の年輪」の題名が最初は「眼」や「暗殺」と悩んだ足跡があること。さらに直して書き上げた時のタイトルは「手」だったことを草稿を元に伝えている。パネルには松本清張、柴田錬三郎といった選考委員の選評も取り上げた。藤沢は受賞してから12年後、直木賞の選考委員に就任し11年にわたって務めた。
同記念館の担当者は「藤沢周平の気持ちが伝わるような構成にした。文学ファンにとって興味深い企画展になっていると思う。ぜひ会場に足を運んでいただければ」と話している。
10月22日には荘内神社参集殿で文藝春秋・第二文藝部の川田未穂部長を講師に招いた記念講演会が開かれる。今月7日から申し込みを受け付ける。企画展は来年3月20日まで。時間は午前9時から午後4時半。入館料は大人320円、高校生・大学生200円、中学生以下無料。問い合わせは藤沢周平記念館=電0235(29)1880=へ。
2023年(令和5年) 09月05日(火)付紙面より
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酒田市出身の彫刻家、石黒光二さん(71)=埼玉県所沢市在住=の作品を紹介する企画展「石黒光二 彫刻展―心・空間・かたち」が2日、酒田市美術館(石川好館長)で開幕。初日午前に開幕式典が行われ、あいさつに立った石黒さんは「作品は人体がほとんど。『命をつくり出す』という心構えで制作に当たっている」などと述べた。
石黒さんは旧平田町山谷生まれ。酒田北高(現・酒田光陵高)から多摩美術大彫刻科に進学し、卒業後は同市千代田出身の彫刻家、高橋剛さん(1921―91年)に師事した。76年に日展初出品で初入選。78年以降は連続入選し、96年に会員となった。2016年の改組新第3回日展に出品した作品「月光」は、第3科(彫刻)で最高賞・内閣総理大臣賞を受賞した。
彫刻界で高い評価を受け全国各地で野外彫刻を多く手掛けており、中でも平田地域を中心に市内各所に設置されているブロンズ像の数々は地元の自然や人々の暮らしに溶け込み、市民に親しまれている。日展会員、市の知名度向上に協力する「酒田北前大使」。
2015年に松山文化伝承館で開催して以来、古里での個展は8年ぶり。今回は、人物と幾何形態によって生み出される心象空間を表現した近作を中心に52点を紹介している。最高賞受賞作「月光」は月の光が持つ神秘性や安らぎを女性像の中に表現、当たる光の加減や鑑賞者の気持ちでさまざまな表情を見せる。同じく日展に出品した「旅の終りに」は、ボストンバッグを前に石段にたたずんだ男性を力強く表す。
開幕式典には関係者ら約20人が出席。石川館長の主催者あいさつ、安川智之副市長、高橋千代夫市議会議長の祝辞を受け、石黒さんは「これからも人間の喜怒哀楽を自分なりに表現していきたい」と話した。
館内は撮影可。材質を体感してもらうため一部作品は触れることもできる。展示は10月22日(日)までで会期中は無休。期間中、デッサン会、身体表現・彫刻体験ワークショップ、学芸員によるギャラリートークといったイベントが企画されている。問い合わせなどは酒田市美術館=電0234(31)0095=へ。