2023年(令和5年) 08月25日(金)付紙面より
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鶴岡市消防本部の水難救助隊員3人が「第51回全国消防救助技術大会・水上の部」(25日、北海道札幌市・札幌平岸プール)に東北地区代表として2種目に出場する。23日に鶴岡市民プールで最終の練習を行った3人は「県、東北の代表として全力を尽くしたい」と闘志を高めている。
全国大会に出場するのはいずれも水難救助隊員で、温海分署所属の土肥隆輔さん(32)、中央分署所属の宮守智也さん(27)、西分署所属の齋藤創士さん(27)の3人。土肥さんが「基本泳法」、宮守さんと齋藤さんが「溺者搬送」にそれぞれ出場する。
同大会は、日頃鍛え抜いた救助技術を披露するとともに、複雑多様化する災害現場に対応できる救助技術と体力、精神力を養おうと毎年開催されている。陸上と水上の2部に分かれており、陸上の部の東北地区支部消防救助技術指導会が先月26日に鶴岡市消防本部で開催されている。
水上の部の東北指導会は先月19日、宮城県仙台市で行われ、本県で唯一水難救助隊がある鶴岡市消防本部は4種目にエントリー。このうち東北各地の消防隊員10人で争った基本泳法は、クロールと平泳ぎで計50メートル泳ぐ競技。要救助者から目を離さないよう常に水面から顔を上げた状態で泳ぐヘッドアップ方式で、土肥さんは減点無しの33秒2で優勝した。一方、溺者搬送は2人一組のチーム戦。20メートル先の要救助者役を救助者役の選手が確保し、髪の毛をつかんで泳ぐヘアキャリー方式で行われる。出場した宮守さんと齋藤さんは33秒2の好タイムで4チーム中2位となり、全国大会出場を決めた。
東北指導会の後、3人は週1回のペースで鶴岡市民プールを会場に練習を重ねてきた。全国大会を目前に控えた23日は、選手とサポートメンバー合わせて6人で入場からコール、競技開始まで本番と同じ状況での通し練習などが行われた。
チームリーダーの土肥さんは「県と東北の代表としての誇りを持ち、上位入賞を目指す」と士気を高めている。東北指導会と違って全国大会は50メートルプールで行われるため、非番の日は酒田市のプールに通い長水路に慣れるよう調整したという。23日の練習では32秒を切る自己ベストを出すなど調子が上がっている。
また、宮守さんは「正確かつスピードのある救助を心掛けたい」、齋藤さんは「鶴岡市消防本部の水難救助の技術を広くアピールするチャンス。現場で使う技術を意識して競技に臨む」とそれぞれ抱負を述べた。
2023年(令和5年) 08月24日(木)付紙面より
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全日本空輸は22日、1日4往復となっている庄内空港の東京線(羽田便)について、本年度下期(冬ダイヤ、10月29日―来年3月30日)を通じて、1便増の5往復(5便化)運航とすると発表した。上期については3月26日―5月31日に続き10月1日―同28日も期間増便が決定しており、10月1日から来年3月末まで半年間継続して5便化体制の期間増便となる。庄内空港羽田便はコロナ禍からの需要が回復基調にある上、これまでの増便期間の利用が好調に推移したこともあり、全日空が期間増便継続を判断した。
冬ダイヤで期間増便は、これまでと同様の時間帯に設定され、▽羽田発午後0時40分、庄内着同1時40分▽庄内発午後2時15分、羽田着同3時20分―の便。機材はエアバスのA320(座席数146)、A321(同194)、ボーイング737―800(同166)の3機種を需要に応じて使用する。
全日空が需要動向を踏まえた国際線を含む冬季の運航計画の見直しの中で、他の路線に比べてコロナ禍からの需要回復が好調に推移している庄内―羽田便の増便を決めた。県庄内空港事務所によると、今年1月―7月の羽田便の利用者数は18万3071人で前年同期比75・9%増と大幅に伸び、平均搭乗率も64・8%と高率で推移。5便化された4月は2万7769人の利用で前年同月比83・5%増、搭乗率59・7%、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した5月は3万4549人で88・0%増、搭乗率71・7%と好調だった。
今回発表された冬ダイヤの運航計画で、羽田空港発着枠で期間増便されるのは庄内、沖縄、長崎の3空港で、上期の夏ダイヤであった4空港(庄内、広島、鳥取・米子、沖縄・宮古)のうち期間増便の継続は庄内空港のみ。
期間増便継続を受け庄内空港利用振興協議会長の丸山至酒田市長は「コロナ禍からの回復に伴い旅行需要が高まりつつある中での増便延長は、国内外から庄内に足を運ぶお客さまの利便性向上とともに、地域産業への波及効果をもたらすものと大きな期待をしている。増便期間に各種キャンペーンを実施するなど利用拡大に向けた活動を集中的に実施し、通年5便化などさらなる運航拡充に取り組んでいく」とコメントした。
2023年(令和5年) 08月23日(水)付紙面より
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今月10日夕、鶴岡市鼠ケ関の海水浴場で小学生女子児童1人が溺れた事故で、児童を救助した余目一小5年、剱持柚夏(ゆずか)さん(11)=庄内町猿田=が19日、庄内町の余目第一まちづくりセンターで本紙の取材に応え、「初めは泳ぐ練習かなと思ったけど、近くに行ったら沈んでいく感じで、練習じゃないなと思った。同じくらいの子どもだったから救助は怖くなかった。助かって良かった」など当時の緊迫した様子を話した。
酒田海上保安部などによると、10日午後5時20分ごろ、鶴岡市鼠ケ関の海水浴場「マリンパークねずがせき」で、遊泳中の栃木県日光市の児童(10)が溺れ、近くを泳いでいた柚夏さんが救助。駆け付けた鶴岡市消防本部の救急隊に引き継いだ。
児童は家族4人で海水浴に来ており、1人でシュノーケルの練習中、シュノーケル内に海水が入り、溺れたとみられている。現場は砂浜から約5メートルの地点で、水深は約1メートル。事故当時、波はなかったという。
母親の幸さん(34)らと取材に応じた柚夏さんによると、当日はいとこらと3人で海水浴に来ていた。柚夏さん自身も今年5月ごろから泳ぎの練習を始めたばかりで浮き輪と足ひれを着けて泳いでいたという。児童とは最初2メートルほど離れていたが、徐々に近づき「ちゃぱちゃぱという音がした。近づいてみるとシュノーケルが外れ、沈んでいく感じだった。首と腰を持ってそのまま泳いで砂浜まで運んだ。『大丈夫ですか』と声を掛けたが、咳き込んでいて反応がなかった」(柚夏さん)。
この間約5分。その後、駆け付けたライフセーバーが児童に水を吐かせた際、「小さい声で『ありがとう』って言ってくれた」(同)。柚夏さんは心配で救急隊が来るまで近くで待っていたという。
幸さんの元には19日に児童の父親から「5日間入院したが、後遺症もない」などお礼の電話があったという。柚夏さんは「親も子どもから目を離さない。子どもも深いところに行くときには親から離れないことが大事」など事故を通して学んだことを話していた。