2023年(令和5年) 05月18日(木)付紙面より
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標高約350メートルの高台にある鶴岡市羽黒町川代の月山高原牧場で16日、牛の放牧が行われた。
月山高原牧場の広さは約95ヘクタール。月山畜産振興公社(理事長・阿部真一鶴岡市副市長)が管理・運営し、例年5月から10月まで庄内一円の畜産農家から預かった牛を放牧している。この日は、トラックの荷台に乗せられた牛を下ろし体重や体高をチェック。検査終了後に若草が茂る牧草地に放した。開放された牛は残雪の月山を背景に青々とした牧草を食んでいた。
鶴岡市羽黒庁舎・産業建設課によると、昨年の放牧後の平均体重は63キロ増え、中には最大で220キロ増えた牛もいたという。今年は32件の畜産農家合わせて134頭(和牛118頭・乳牛16頭)を放牧する。
2023年(令和5年) 05月17日(水)付紙面より
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酒田市の鳥海やわたインタープリター協会(信夫効次会長)が主催したツアー「新緑の青沢峡探訪」が13日、同市青沢地区で開かれた。陽光に照らされ新緑がまぶしく輝く中、参加者が雄大な滝の流れに見入ったほか、山菜採りなどを楽しんだ。
同協会は2000年、旧八幡町が主体となり設立したボランティアガイド組織。行楽客に鳳来山、玉簾(たますだれ)の滝など八幡地域の自然環境を紹介している。今回のツアーは北青沢トンネル開通前に使われていた旧国道344号などを歩くコースで、例年春のイベントとして5月上旬に開催している。
この日は広く庄内地域から協会員を含め30―80代の計19人が参加。午前8時半に市八幡総合支所に集合した後、バスで川上神社へ移動し道中の安全を祈願。その後、バスや徒歩で日向川の支流・大俣川沿いの和滝(わだき)や慈光滝(じこうだき)を含む5つの滝を巡った。
道中にはアイコ、ルリソウ、ヤマウド、キジムシロ、シドケなど多くの植物が自生。参加者は信夫会長はじめ会員から植物や地層の解説を聞きながら、希少なシラネアオイを撮影したり、イタドリやミズなどの山菜を採ったり、思い思いに新緑を堪能した。滝が好きで参加したという酒田市上安町二丁目の遠田純子さん(72)は「たくさん山菜が採れたので楽しかった。花の名前を教えてもらったり、知らない滝を見ることができてとても良い体験になった」と感想を話した。
2023年(令和5年) 05月17日(水)付紙面より
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春の「交通安全県民運動」の実施中だ。最大の目標は「交通死亡事故ゼロ」。かつて全国の交通事故の死者が年間1万人を超え「交通戦争」という言葉も生まれた。警察庁のまとめで2022年の交通事故死者が2610人まで減ったのは、道路環境や車両の安全対策が進められ、交通安全意識の高まりによる。その意識をより高めていかなければならない。
一方、高齢者の運転に起因する事故防止が社会問題になっている。アクセルとブレーキの踏み間違いで大事故につながったという話はよく聞く。年を取れば瞬間的な判断力が衰えていくことがあり、運転免許証自主返納が話題になるが、高齢者の日常行動の“足”の確保も大きな課題だ。
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高齢者の車がスーパーの店内などに突っ込んだというニュースを聞く。いざという時、正常な判断行動ができるかなどを知るため、高齢者の免許更新時の講習で認知機能検査や、実際に教習所のコースでの運転講習もある。段差の前で停車し、アクセルを強く踏んで段差に乗り上げた瞬間にブレーキを踏んで停車させる講習も、とっさの判断力と動作を調べるためだ。
運転免許証自主返納が呼び掛けられて久しい。自主返納を促すため、高齢運転者に車を運転しない生活を1カ月体験してもらう「お試し自主返納」をしている県もあるという。県内各地の商業施設などでの割引サービスの特典、電車の1日乗車券割引購入、一部の自治体では乗り合いタクシーの回数券の無料配布もあるという。ただ、乗車券割引やタクシー回数券配布には制限があるだろう。
鶴岡市の庄交コーポレーションと庄内交通は、昨年10月から市内循環バスの運行経路とダイヤを大幅に改めた。循環バスを12人乗りのワゴン車にし、従来の1日12便から48便に、バス停は58カ所から80カ所に増やした。バス停の間隔を短くすることで高齢者らの行動を支えようという狙いだ。地方の公共交通機関は人口減少で経営は苦しい。そんな中で、運行形態の見直しには利便性の向上で“買い物弱者”の足になろうとの発想がある。
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高齢者に起因する事故が増えていることは事実としても、地方では車なしでは生活が成り立たない事情も多い。自宅の近隣にスーパー、医院などがない人はどうすればいいのだろうか。道路事情や公共交通機関がくまなく走っていないとなれば、車に頼らざるを得ないのも現状であろう。
4月から改正道路交通法で、自転車に乗る人もヘルメット着用が努力義務化された。もちろん大人も子どもも。自転車事故による死傷者の約6割がヘルメットを着用していなかったため、頭部に重い負傷を負っているという。自転車に乗る人は、我が身を守る身近な存在がヘルメットということを、心に命じたい。